NBAドラフト2021は当初トップ3の選手が突出しているという触れ込みだったが、ケイド・カニングハム(デトロイト・ピストンズ)が負傷で出遅れ、ジェイレン・グリーン(ヒューストン・ロケッツ)は開幕からシュートの不調が続いている。
ここまで目覚ましい活躍を見せているルーキーたちの顔触れは、開幕前の予想を裏切るものとなっていると言ってもいいだろう。そんな新人たちを今回はピックアップしていこう。
エバン・モーブリー(クリーブランド・キャバリアーズ)
まずは当初から活躍が期待されていた、ドラフト全体3位指名のモーブリーだ。ここまで平均15.3得点、7.9リバウンド、2.5アシスト、1.3ブロックを記録している。
11月7日(日本時間8日)のニューヨーク・ニックス戦では、多くの選手の憧れでもあるマディソン・スクエア・ガーデンという大舞台で、26得点、9リバウンド、5アシストという大活躍を見せた。
211cmという長身でありながらも、ハンドリングスキルがしっかりしていることもあって、相手ビッグマンを外に引っ張り出してドリブルで抜き去ることもできるなど、規格外な選手であることをすでに証明し始めている。
ディフェンスでも積極的に相手のショットをコンテストしており、攻守での活躍が7勝5敗というサプライズスタートを切ったキャバリアーズの原動力の一部となっている。
スコッティー・バーンズ(トロント・ラプターズ)
平均17.0得点はルーキーの中でトップであり、さらに8.5リバウンド、2.6アシストも記録しており、強みとされていたディフェンスもNBAレベルで十分に通用することがわかった。
開幕からパスカル・シアカムがケガで出場していなかったことで得たプレイタイムだが、シアカム復帰後もバーンズはベンチに下がるのではなく、ともに先発メンバーとして試合に出場し続けているのも良い兆候だ。
対戦したブルックリン・ネッツのケビン・デュラントからも「試合の展開をゆっくりと見渡す稀有な能力を持っている」と称賛していた。デュラントほどの選手から褒められるということは、間違いなく良い結果を出せているということだろう。
クリス・ドゥアルテ(インディアナ・ペイサーズ)
ここまで平均15.2得点、3ポイント成功率40.8%、4.3リバウンド、2.3アシストを記録しているドゥアルテは、24歳とルーキーにしては高齢ではあるものの、逆にその経験と仕上がった体格が開幕からの活躍に繋がっている。
キャリス・ルバートやTJ・ウォーレンといった主力が離脱していたことがプレイタイムの増加に繋がり、そのチャンスを見事にものにしている。バーンズ同様、ここまで活躍できることを証明すれば、主力が戻ってきても共存する方法をペイサーズは見出すこととなるだろう。
開幕戦で27得点を叩き出してドゥアルテのプレイはルーキーらしからぬ自信に溢れており、自らショットを生み出すことができるのが強みだ。プルアップからの3ポイントショットは平均40%を超えており、効率よく得点を生み出すことができている。
ジョシュ・ギディー(オクラホマシティ・サンダー)
個人的に、ここまで一番驚いているのがジョシュ・ギディーの活躍だ。NBL(オーストラリア)での1シーズンでその才能の片鱗を見せていたが、そのままNBAでも同様の活躍を見せている。ここまで早くNBAのスピードと強度に対応してくるとは想像していなかった。
平均9.8得点、6.7リバウンド、6.2アシストとあらゆる面でチームに貢献している。外からのシュート力は変わらず懸念点ではあるものの、それを補えるほどのバスケットボールIQと視野の広さを持ち合わせているのが強みだ。さらにそこに、ガードでありながらも203cmという高さが加わることで、オフェンスの強力な起点となっているのだ。
ターンオーバーの高さ(2.7)など、改善しなければならない要素も多いが、ある程度の失敗を許されるサンダーのチーム状況も相まって、今季のギディーの成長は今後も注目に値する。
フランツ・バグナー(オーランド・マジック)
平均13.4得点、3P成功率36.2%、3.8リバウンド、2.0アシストと、飛び抜けて凄いスタッツを残しているわけではないが、キャッチ&シュートの3Pで平均試投4.5本、成功率40.0%を記録しており、バグナーはマジックにとって効率の良い得点オプションとなっている。
208cm、100kgという体格とその多様性あるプレイで、すでに信頼のおけるロールプレイヤーという役割を勝ち取った。20歳という若さながらも賢いプレイを選択する傾向にあり、今後プルアップも身につけることができれば、さらに伸びてくることが期待できるだろう。