ロケッツ、スティーブン・サイラス新HCとラファエル・ストーン新GMが就任会見

Michael C. Wright, NBA.com

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大きな期待と今勝ちたいというメンタリティーから、ヒューストン・ロケッツはマイク・ダントーニ・ヘッドコーチやダリル・モーリーGMに別れを告げた。

11月5日、ロケッツは正式にスティーブン・サイラス新HCとラファエル・ストーン新GMを就任会見で紹介し、その意向を明確にしている。

長くロケッツのフロントオフィスで務め、モーリーの後任として昇格したストーン新GMは「この15年で本当に、本当に特別なことを築いてきたと感じる場所だ」と話した。

「私たちは本当に、本当にクールなことを築いてきた。私は、集団として私たちが本当にバスケットボールやプレイスタイルの面でインパクトを与えることができたと感じている。グループとして、我々は本当に、本当にアグレッシブだった。見事なアグレッシブさで続けなければいけない。どこまでいけるかは分からない。だが、我々がそれを目指すことは保証できる」。

もちろん、そのためのプランはジェームズ・ハーデンやラッセル・ウェストブルックを中心に築くこと次第のところが大きい。

ストーンGMは「この8年ほど、我々は優勝を目指してきた。ハーデンがいたからだ」と述べている。

「今も我々にはハーデンがいる。目標はまだ優勝だ。彼がいれば、道のりの半分は達成だ」。

昨季のロケッツは44勝28敗を記録し、ウェスタン・カンファレンス・セミファイナルでロサンゼルス・レイカーズに第5戦で敗れた。まだ優勝を目指しているロケッツにとって、残る距離を縮められるかどうかは、47歳のサイラス新HC次第だ。

ポール・サイラスの息子で、長くNBAでアシスタントコーチを務めてきたサイラス新HCは、まだ作り上げている途中のコーチングスタッフの助けとともに、ロケッツの次の道を先導する能力が自分にあるとの自信を表した。

サイラスはスタッフに経験豊富なコーチがいることを望んでおり、ダントーニの下で選手育成を担ったジョン・ルーカスが残ることを認めた。ダントーニの後任探しでファイナリストとなった人物だ。ルーカスはサンアントニオ・スパーズ、フィラデルフィア・76ers、クリーブランド・キャバリアーズでヘッドコーチを務めた経験を持つ。

また、サイラスHCはハーデンやウェストブルックと面談した際の会話にも言及した。

サイラスHCは「私が望むプレイに関するビジョンや、チームの勝利に役立つように彼らの偉大さを生かしてほしいと伝えた」と話している。

「彼らは、チームが勝つための最善だ」。

サイラスのビジョンには、彼が「微調整」と表現したことも含まれる。だが、アイソレーションを重視したロケッツの攻撃システムを一変させることはない。ハーデンとウェストブルックは昨季、アイソレーションからの得点やポゼッション、頻度でNBAトップだった。チームとしても、ロケッツはアイソレーションでリーグを先導している。

アイソレーションで生きる選手たちとの仕事経験がサイラスHCにないわけではない。ダラス・マーベリックスで2シーズンにわたってオフェンシブコーディネーターを務め、サイラスは広範囲にわたってルカ・ドンチッチと仕事してきた。昨季、ドンチッチはアイソレーションからの得点でリーグトップ5にランクインしている。

サイラスHCは「多くのガードと仕事してきた。ルカやステフ(ステフィン・カリー)、ケンバ(ウォーカー)たちだ。もっと若いころはバロン・デイビスともやっている」と述べた。

「共通しているのは、そういう選手たちが強みを生かせるプレイができる場所を用意しなければいけないということだ。だが、彼らは他選手が強みを発揮する助けにもなれる」。

ロケッツのアイソレーション重視について、サイラスHCは「機能したし、それが素晴らしさの一部だった」と認めた。だが、特にハーデンとウェストブルックを無力化するために作られた守備を彼らが利用できるような攻撃要素を加えるのがプランだ。

サイラスHCは「攻撃で6位なのに、就任して私が一変させるのは理にかなっていない」と話した。

「彼らがもう少し簡単にやれるようにしていきたい。守備側が選ばなければいけなくなるようなアクションをもう少し組み込み、守るのをもう少し難しくさせる。攻撃ではもう少し万能にしたい。繰り返すが、彼らに強みを生かすプレイをさせる。だが、あちこちで微調整して、攻撃で6位から1位や2位に飛躍できるようにしたい。彼らが前にパスを出し、守備がセットされるまでに攻めるようにしたいね。ポゼッションの早い段階で守備を動かし、それを続けさせたりするんだ。アイソレーションタイプのようなことがたくさんとはならない。アイソレーションはあるだろうし、その時間帯もあるだろう。彼らが得意なのだからね。だが、私はグループとしてうまくやってきたことを取り除かない。加えて、強化するだけだ」。

そこで大きく影響するのが、ストーンGMとフロントだ。

2月にクリント・カペラや1巡目指名権を手放し、トレードでロバート・コビントンを獲得してから、昨季のロケッツがどれほどスモールボールにコミットしていたかは知られている。だが、ストーンGMは、来シーズンはスモールボールか伝統的なラインナップかで「もう少し選択肢をスティーブンに与える」と明かした。サイラスHCとストーンGMは面談で、ロケッツが攻守両面でより多次元的になるために必要なことについて話しあってきたという。

サイラスHCは「ラファエルと私がたくさん話してきたことのひとつが、現在のNBAではひとつのやり方だけでプレイすることはできないということだ」と述べた。

「複数のプレイ方法を持たなければいけない。だから、スモールボールはその一部になれる。だが同時に、おそらくはより大きな選手、伝統的なセンタータイプを加えることで、リングに向かったり、マッチアップがもう少し伝統的で良くなるような、違うことをやれるようになる」。

アシスタントコーチとしての20年以上のキャリアの中で、サイラスHCは5シーズンにわたり、ゴールデンステイト・ウォリアーズのアシスタントコーチとしてドン・ネルソンの下で働いた。新シーズンに向けてロケッツのロスターを研究する中で、サイラスHCはすでに「ウォリアーズでやってきたことで、このグループでもやれることをたくさん見つけた」と話している。サイラスHCは、近年のロケッツに見られた、攻守両面で予測できるところをなくしていくつもりだ。

サイラスHCは「攻撃ではもう少し予測されないようにしたい」と述べた。

「そして守備も同じだ。たくさんスイッチし、おそらくは少しゾーンディフェンスをすることで、もう少し予測できなくできる。この2年でオフェンシブコーディネーターを務めたが、異なる守備の仕方を持つチームとの対戦は本当に大変なんだ。それへの準備は多くの時間を要する。だから、そういうチームを望んでいるよ。ロケッツ戦の準備に丸一日を費やさなければいけなくなるようにね」。

ストーンGMは「非常に才能あるロスター」があるとした上で、NBAドラフト(ロケッツは指名権なし)とフリーエージェントが近づく中、「本当に今の選手たちを補完できる選手を1、2名加えるのが目標」と述べた。

高額な人件費で柔軟性がないロケッツだけに、それは難しいことだろう。だが、ストーンGMはすぐに、オーナーのティルマン・ファティータにとって金は障害ではないと指摘した。「勝利につながるのであれば」、だ。

ストーンGMは「最優先が勝利であり、金は2番目で、それほどではないということを彼から繰り返し聞いている」と述べた。

「人事に関しては、NBAのルールやサラリーキャップ、ラグジュアリータックスがある。それらがあれば実際に柔軟性が制限される。私は、この球団にとって問題ではないと知っている。我々は非常に幸運だ。すべての球団がそうではないからね。だが、私たちはそうなんだ」。

原文:Rockets introduce new head coach Silas, GM Stone by Michael C. Wright/NBA.com(抄訳)


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