4月20日、渡邊雄太がNBAキャリアを終えたことを発表した。
2018-2019シーズンにメンフィス・グリズリーズの2ウェイ契約選手として始まった彼のNBAキャリアは、4チームで6シーズンも続くものとなった。NBA選手の平均キャリアは4.5年と言われており、約60%の選手が2シーズン以下でキャリアを終えることを考えると、6シーズンという数字の凄さがより伝わってくる。
キャリア通算213試合に出場した渡邊は、平均13.3分のプレイで4.2得点、2.3リバウンド、0.6アシスト、0.4スティール、0.3ブロック、0.4ターンオーバー、1.1パーソナルファウル、フィールドゴール成功率42.6%、3ポイント成功率37.0%、フリースロー成功率67.5%をマーク。9試合で先発出場したレギュラーシーズン213試合に加えて、プレイオフでも5試合に出場した。
2ウェイ契約だったキャリア初期はNBAの下部リーグであるGリーグでプレイすることも多く、メンフィス・ハッスルとラプターズ905で合わせて56試合に出場、そのうち55試合で先発出場している。Gリーグでの成績は平均33.5分のプレイで15.6得点、6.7リバウンド、2.4アシスト、0.9スティール、1.1ブロックで常にチームの主力として活躍していた。
リーグ入りから数年は2ウェイ契約で、その後はキャンプ契約やエグジビット10契約スタートからの本契約という流れを繰り返し、常に「崖っぷち」の状態にいると渡邊は以前語っていた。今季はオフシーズンにフリーエージェントとして契約し、開幕から契約の心配をしなくても良いというこれまでにはない状況だった。
そして来季もプレイヤーオプションを保持していることから、渡邊自身が望めば契約を継続することができる状況だったのだが、その権利を破棄して日本に帰国することを選んだ。これまでNBAという世界に食らいついてきた渡邊が自らオプションを破棄するという決断は、それだけ重みのあるものなのだ。
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華々しい渡邊雄太のチームメイトたちの変遷
6シーズンプレイしたこともあって、渡邊はこれまでに多くのチームメイトと共にプレイをしてきた。最も一緒に試合に出場したのはトロント・ラプターズのクリス・ブーシェイで、82試合を一緒にプレイしている。他にもパスカル・シアカム(72試合)、マラカイ・フリン(66試合)、フレッド・バンブリート(62試合)と、2シーズンを過ごしたラプターズの選手たちが名を連ねる。
特にお世話になった、印象に残っているチームメイトはという質問に対して、渡邊はまずリーグ入り1年目に在籍したグリズリーズのスター選手の名をあげた。
「1年目あの時のチームの中心選手であったマイク・コンリーやマルク・ガソルといった選手に会えて、スーパースターなのに本当に人間としてできているなと感じた。本当にどこの誰なのかもわからない僕にすごく優しく接してくれました。1年目、僕はGリーグと行ったり来たりであまりグリズリーズと帯同していた時間はなかったのですが、コールアップされた時はいつも彼らのリーダーシップや色んなことを学ぶことができました」
グリズリーズで同じルーキーだったジャレン・ジャクソンJr.の話になると、渡邊はほのかに笑顔を覗かせる。「同じ時期にNBA入りしたジャレン・ジャクソンJr.とは本当に仲良くなることができました」と当時のことを話した。
「今回のトレードが決まった時も、彼からすぐに連絡をくれて、僕がちょっとメンタル的に休むということをチームに告げた時も、彼を含めチームメイトのみんなが僕に対して毎日声をかけてくれて、僕のことをすごい気遣ってくれて、本当にそれにすごい助けられたので感謝しています」
ラプターズ時代の話になると、渡邊は「カイル(・ラウリー)だったりパスカル(・シアカム)だったりいますけど、特にフレッド(・バンブリート)」と当時のチームリーダーの名をあげた。
「彼のリーダーシップだったり、(自分と)同じようにドラフト外だった選手が、今はオールスターになるまでの選手になっていった彼と同じユニフォームを着て、同じコートに立てたことは僕の中で大きな経験になりました」
そして昨季から最もよく渡邊が話にあげていたのがケビン・デュラント。ブルックリン・ネッツとフェニックス・サンズでチームメイトとしてプレイし、3ポイントシューターとしての信頼を勝ち取った渡邊はデュラントからサンズへの勧誘を受けていたほどだ。
「KD(デュラント)だったりカイリー(・アービング)だったり、今回だとブック(デビン・ブッカー)だったりブラッド(ブラッドリー・ビール)だったり、本当に沢山のスーパースターとチームメイトにならせてもらって、そういう人たちに共通しているのは、とにかくみんな凄く練習するということでした」と渡邊はチームメイトたちの印象を振り返った。
彼らから得た知識やバスケットボールに取り組む姿勢は今の渡邊を形成する大きな要素となっている。今後は日本で続くキャリアを通して、渡邊は「日本に戻ってそういう姿っていうのを、これからBリーグに入ってくる選手たちに対して、見せていけたらなという風に思っています」と語った。
代表ですでに感じられた渡邊のリーダーシップが、今後は日本のBリーグで発揮される。渡邊がNBA入りしたことで一気に前進した日本バスケットボール界、これからは彼がNBAで培った知識と経験がより身近なところで、バスケ界の未来へと引き継がれていくこととなる。
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