新人王ビクター・ウェンバンヤマが達成した偉業の数々

大西玲央 Reo Onishi

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NBAは5月6日(日本時間7日)、サンアントニオ・スパーズのビクター・ウェンバンヤマが、2023-2024シーズンのKia NBAルーキー・オブ・ザ・イヤー(最優秀新人賞)に満場一致で選出されたことを発表した。

NBAドラフト2023の全体1位指名として、世界的な注目を浴びながらリーグ入りを果たした224cmのウェンバンヤマは、その期待に応えるどころか、多くの予想を遥かに超える目覚ましい活躍を見せた。

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ここでは彼が今季達成してきた数々の偉業を振り返ってみよう。

NBAデビューとなった開幕戦ではダラス・マーベリックスに敗れはしたものの、23分間の出場で3本もの3ポイントショットを沈め、15得点、5リバウンド、2アシスト、2スティール、1ブロックを記録した。

当初はザック・コリンズの横でのパワーフォワード起用だったウェンバンヤマだが、開幕から20試合ほどでセンターにシフトし、そこからさらに能力が開花していった。

プレイタイムは常に抑えつつも、最終的にウェンバンヤマは今季の平均得点(21.4)、リバウンド(10.6)、ブロック(3.6)で新人トップを記録。また、平均アシスト(3.9)は4位、スティール(1.2)は2位だった。ブロックに関しては新人だけでなくリーグでもトップであり、身長とスキルの高さで堅い守備力を見せつけた。

新人王受賞後にリーグが投稿したこのグラフィックを見るだけでも、彼が達成した凄まじい記録の数々がわかる。

  • 平均30分未満でありながらも平均20得点以上、10リバウンド以上、3ブロック以上を記録した史上初の選手
  • 1シーズンで通算1500得点以上、250ブロック以上、3P100本以上成功を記録した史上初の選手
  • 1試合で30得点以上、15リバウンド以上、5アシスト以上、5ブロック以上、3P5本以上成功を記録した史上初の選手
  • スティールとブロックで合計300本以上を記録したルーキーは1992-93シーズン以来初
  • 1試合で35得点以上、15リバウンド以上、5アシスト以上を記録した史上初のスパーズルーキー
  • 1試合で25得点以上、10リバウンド以上、5アシスト以上、5スティール以上、5ブロック以上を記録した史上2人目の選手
  • 5x5を記録した史上2人目のルーキー
  • 平均20得点以上、10リバウンド以上、3ブロック以上を記録した史上4人目のルーキー
  • ブロックでのトリプルダブルを達成した史上4人目のルーキー
  • 1試合で40得点以上、20リバウンド以上、5アシスト以上を記録した史上5人目のルーキー
  • 平均20得点以上、10リバウンド以上、3ブロック以上を記録した史上9人目の選手

今季の最優秀守備選手賞に選ばれなかったものの、投票では受賞したルディ・ゴベアに次ぐ2位に堂々ランクイン。今後は彼が何度受賞するのかに注目が集まる。これまでの記録は通算4回が最多だが、その記録さえ更新されても驚きはない。

守備力だけではないウェンバンヤマの魅力

身長の高さから彼のブロックの多さや、守備力の高さはある程度の想像ができたかもしれない。しかし彼の魅力はそこで止まらない、3Pショットも武器として利用でき、パス能力もシーズンを通して向上させてきたことが彼をさらにスペシャルな選手としているのだ。

3P成功率は最終的に32.5%に終わった。7フッターであることを考えれば、十分に高い数字だが、プルアップ3P(ドリブルからの3Pショット)に絞ると、その数字はなんと37.5%まで上昇する。キャッチ&シュートよりも難しいショットでありながら、より高い成功率を記録している。比較として、7フッターとして優れた3Pシューターであるカール・アンソニー・タウンズは3P成功率41.6%を記録しているが、プルアップ3Pは31.0%まで落ちる。

アシストもまたウェンバンヤマの魅力のひとつだ。シーズンを通して見ると3.9アシストと少なく感じるかもしれないが、開幕当初の10月の平均1.5アシストから毎月平均アシストを伸ばし続け、レギュラーシーズン最終月となった4月は平均6.8アシストを記録した。

正式なトリプルダブル数こそ2回と少なかったものの、1回は得点、リバウンド、アシストで、もう1回は得点、リバウンド、ブロックで達成しており、1994年のデイビッド・ロビンソン以来となるクアドルプルダブル達成が期待される。実際、4月2日(日本時間3日)の試合では23得点、15リバウンド、8アシスト、9ブロックという非常に近い数字を残している。

オリンピックでは日本代表と対戦へ

この夏、ウェンバンヤマの母国であるフランスにてパリ・オリンピック(五輪)が開催される。ウェンバンヤマはフランス代表として出場することが期待されており、そのフランス代表は日本代表と同じグループBに属している。

NBAファンだけでなく多くの人が注目するオリンピックという舞台で、ウェンバンヤマが日本代表と対戦する。オリンピックを通して多くの海外スポーツ選手が日本国内で注目の存在となることはよくあることだが、今年の夏はウェンバンヤマがその対象となりそうだ。

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大西玲央 Reo Onishi

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アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。