12月25日(日本時間26日)に、第72回目となるクリスマスゲームが開催され、今年も5試合が行なわれる。
昨季のシーズンMVPを受賞したミルウォーキー・バックスのヤニス・アデトクンボ、MVP受賞経験者(レブロン・ジェームズ、ジェームズ・ハーデン、ラッセル・ウェストブルック)、今後MVP受賞が期待されるスター(アンソニー・デイビス、ポール・ジョージ、カワイ・レナード、ジョエル・エンビードら)が顔を揃える今年のクリスマスゲームの見どころを紹介しよう。
ボストン・セルティックス x トロント・ラプターズ
日本時間12月26日(木)AM2:00~
見どころ
今季20勝7敗のセルティックスは、ダイナミックなデュオが乱立するシーズンにおいて、ケンバ・ウォーカー、ジェイソン・テイタム、ジェイレン・ブラウンのビッグ3の活躍が目立つ。その実力を証明する相手としては、昨季の王者はうってつけだ。ラプターズは、パスカル・シアカム、マルク・ガソル、ノーマン・パウエル、スタンリー・ジョンソン、マット・トーマス、新人のドゥワン・ヘルナンデスが離脱中だが、今季第9週目のイースタン・カンファレンス週間最優秀選手に選出されたカイル・ラウリーの活躍などで、21勝9敗という好戦績を残している。ラウリーは、チームに向けられる疑念を晴らす機会を楽しんでいる。
必見選手: カイル・ラウリー vs ケンバ・ウォーカー
試合開始から終了まで、ウォーカーとラウリーによるオールスターガードのマッチアップが実現する。両者の実力は互角と言ってよく、大きな舞台でテンションも上がるはずだ。ウォーカーが今季やろうとしていることは、1年前にラウリーがレナード、シアカムとやったことと同じだ。結果として、ラプターズは昨季終了後に優勝パレードを実施する栄誉に浴した。
5つの注目スタッツ
1. セルティックスは、ロードよりホームで10.6得点も多く記録している。ホームゲームでは100ポゼッションあたり117.1得点(ホームでのオフェンスレーティングでリーグ1位)を記録しているのに対して、ロードでは106.5得点(ロードでのオフェンスレーティングで同16位)にとどまっており、この差はリーグ最多となっている。ディフェンスでもホームとロードで見られる数字に開きがあり、敵地での試合では100ポゼッションあたり101.7失点(ロードでのディフェンスレーティングで同2位)なのに対して、ホームでは105.7失点(ホームでのディフェンスレーティングで同14位)というスタッツを残している。
2. ラプターズは、ダラス・マーベリックスとニューオーリンズ・ペリカンズと共に、今季の3ポイントショット成功率(37.2%、同4位)と、チームが放ったショットの中での3Pの割合(40.6%、同7位)がトップ10にランクされている3チームのうちの1チーム。
3. セルティックスのジェイソン・テイタムは、自身初となる直近3試合で20得点以上を記録している(24得点、26得点、自己最多の39得点)。2018年のプレイオフでは、7試合続けて20得点以上をあげた。
4. セルティックスのエネス・カンターは、奪取可能なオフェンシブリバウンドの獲得率でリーグ1位(15.8%)をマークしている。ラプターズは、ディフェンシブリバウンド率で同28位。
5. 今季の試合でリードを二桁に広げてから無敗なのはラプターズのみで、18勝0敗という圧倒的な戦績を残している。
ミルウォーキー・バックス x フィラデルフィア・76ers
日本時間12月256日(木)AM4:30~
見どころ
ヤニス・アデトクンボとジョエル・エンビードの対決以外にも、見どころは多い。バックス(27勝4敗)は、昨季に続いてリーグ首位でクリスマスゲームを迎えた。今季のチームはオフェンスとディフェンスでトップ5の数字を残し、100ポゼッションあたりの得失点差(ネットレーティング)もリーグ1位だ。一方の76ers(22勝10敗)は、どのチームも欲しがる、万能性が高く、リーチも長く、身体能力に優れる選手を擁していながら現在もチームとしての形を模索している最中だ。それでも、勝率5割を下回るチームとの戦績では11勝3敗という好成績を記録している。ヤニスとエンビードのマッチアップが注目されるだろうが、イースタン・カンファレンス決勝の前哨戦になるかどうかは、両チームのサポーティングキャスト次第になるだろう。
必見選手: ベン・シモンズ
76ersのポイントガード、ベン・シモンズはフィジカルに優れ、対戦相手にとって厄介な存在だ。デトロイト・ピストンズ戦では16得点、13リバウンド、自己最多の17アシストを記録し、今季2回目のトリプルダブルを達成したばかり。バックスのマイク・ブーデンホルザー・ヘッドコーチは、シモンズ対策としてスモールラインナップ、もしくはビッグラインナップを採用することになるが、どちらにしてもアグレッシブなプレイをしているときに素晴らしい能力を発揮するシモンズには関係ないかもしれない。この試合に76ersが勝てるかどうかは、シモンズの出来にかかっている。
5つの注目スタッツ
1. 今季のバックスは、100ポゼッションあたり第1クォーターに相手を18.1得点上回っている。76ersも第1Qに強く、同様に100ポゼッションあたり13.4得点も相手を上回っている。
2. バックスは、ペイント内での被フィールドゴール成功率(54.4%)でリーグ1位、ペイント内での被FG率(25.6%)で同最少の数字を残している。
3. 『Second Spectrum』によれば、76ersはポストアップから平均19.8得点(リーグ1位)を記録。ジョエル・エンビードはポストアップから最多の10.7得点、アル・ホーフォード(4.6)、シモンズ(3.9)もトップ20にランクインしている。
4. ヤニス・アデトクンボは、ペイント内で平均18.4得点を記録している。これは、2002-03シーズンのシャキール・オニール(19.6)以来最高の数字だ。またアデトクンボは、ペイント内で放ったショットの割合が75.5%で、これは制限区域内でのフィールドゴール試投数を今季最低100本以上記録している88選手中2位の数字だ。
5. 76ersは今季の3P成功数(346)でリーグ19位ながらも、シモンズは3P成功のアシストでリーグ最多の119を記録。同2位以下は、レブロン・ジェームズ(101)、アデトクンボ(100)、ドリュー・ホリデー(93)。
ヒューストン・ロケッツ x ゴールデンステイト・ウォリアーズ
日本時間12月26日(木)AM7:00~
見どころ
ベイエリア以外の誰もが、王朝時代を築いたウォリアーズにリベンジを果たしたいロケッツを責めたりはしないだろう。今季は7勝24敗と苦しんでいるウォリアーズだが、リーグを席巻したこの5年で、最も彼らに煮え湯を飲まされたのはロケッツ(21勝9敗)だった。ジェームズ・ハーデンとラッセル・ウェストブルックは、完成したばかりのチェイス・センターで、ホームチームを完膚無きまでに叩き潰すため、決して手を抜かないだろう。今年のクリスマスゲームの中で2チームの実力差が最も不釣り合いなカードになってしまったが、当初はステフィン・カリーとディアンジェロ・ラッセルのシュート対ロケッツという、伝統的な図式が成立する一戦と見られていた。
必見選手: ジェームズ・ハーデン&ラッセル・ウェストブルック
ロケッツで最もスポットライトを浴びる存在は、今季平均40得点近い数字を残しているハーデンだ。近年で最高レベルのスコアリング能力を発揮しているハーデンだが、ロケッツが4連勝、直近10試合で8勝を収められた最大の要因は、ここ10試合で平均28得点(FG成功率47%)、8.3リバウンド、7.4アシストを記録したウェストブルックだ。彼がこの調子を維持できれば、プレイオフでも期待できる。
5つの注目スタッツ
1. 今季のハーデンは、出場1分あたり1得点以上(1.128分あたり1.158得点)を記録している。NBA史上、規定数を満たした選手で同様のスタッツを残した選手は、1961-62シーズンのウィルト・チェンバレンしかいない。クリスマスの時点で、ハーデンはフィールドゴール成功数で98本、3P成功数で108本、フリースロー成功数で68本もほかの選手を上回っている。このペースが続けば、ステフィン・カリーが2015-16シーズンに達成した年間最多3P成功数(402)、ジェリー・ウェストが1965-66シーズンに達成した年間最多フリースロー成功数(840)を上回る。
2. ウォリアーズのラッセルは、今季ミッドレンジから最低50本以上FG試投数を記録した選手の中でリーグ3位の成功率(54.3%)を記録している。チームメイトのジョーダン・プールは、同部門でリーグ最低の成功率(23.6%)だ。
3. ロケッツは、4シーズン続けて3Pレンジからの試投率(49.5%)でリーグ1位を記録している。3Pでの得点で対戦相手を平均8.8得点(同2位)上回っている。一方のウォリアーズは、3Pレンジからの試投率(32.7%)で同28位、3Pによる得失点差で同30位(マイナス11.3)を記録している。
4. ロケッツの先発ラインナップ(ハーデン、ウェストブルック、ダニュエル・ハウスJr.、P.J.・タッカー、クリント・カペラ)は、今季最低200分以上プレイした15通りのラインナップの中でリーグ最少失点(95.8)を記録している。
5. ウォリアーズは、今季初の連勝を記録してクリスマスゲームに臨む。この2試合は今季1ポゼッションあたりの失点を1点未満に抑えた3試合目と4試合目になった。
ロサンゼルス・クリッパーズ x ロサンゼルス・レイカーズ
日本時間12月26日(木) AM10:00~
見どころ
レイカーズ(21勝8敗)がクリスマスの試合に出場するのは伝統のようなものだ。リーグで最長となる21年連続でクリスマスゲームに登場し、聖夜の試合で歴代最多勝利(23勝)をあげている。今回は、同郷のライバルであるクリッパーズ(18勝9敗)が相手だが、今年の夏の移籍に関するサイドストーリーも忘れてはならない。当初は、フリーエージェントになったカワイ・レナードが、レブロン・ジェームズ、アンソニー・デイビスと同じチーム(レイカーズ)でプレイすることになると思われていた。しかし、彼が選んだのは、同じステイプルズ・センターを本拠地とするチーム(クリッパーズ)で、ポール・ジョージとプレイするほうだった。レイカーズは、ジェームズとデイビスが明日の試合に出場できるか微妙な状態だが、現時点では出場すると見られている。
必見選手: パトリック・ベバリー vs ラジョン・ロンド
開幕戦での対決を肩のリハビリのために欠場したジョージにとっては、初のライバル対決出場となる。だが、この対戦で注目すべき2人は、クリッパーズのポイントガード、パトリック・べバリーと、レイカーズのポイントガード、ラジョン・ロンドだろう。彼らは冷徹で、獰猛な競争者だ。どんな試練を目の前にしても、彼らは決して引き下がらない。試合開始から終了のブザーが鳴るまでの間、2人は激しくやり合うだろう。そうならなければ、残念でならない。
5つの注目スタッツ
1. オフェンシブならびにディフェンシブ・エフィシエンシーでトップ10に入っているチームは、セルティックスとバックス、そしてレイカーズとクリッパーズしかいない。
2. アンソニー・デイビスは、ペイント内で62.9%のFG成功率を残し、ペイントの外ではエフェクティブ・フィールドゴール・パーセンテージ(eFG%=3ポイントショットを加味したFG成功率)が38.7%に落ちる。これら両カテゴリーの差は、今季最低でもペイント内外で75本のFG試投数を記録している149選手中2番目に大きい。
3. 今季4選手が平均18得点を超えているチームはクリッパーズしかいない。同一チームで3選手が平均18得点を超えているのは、セルティックスとオクラホマシティ・サンダーだけだ。
4. レブロン・ジェームズがチーム内で最もアシストを提供しているのはデイビス(90)で、ほかの選手より17も多い。ジェームズが過去最多アシストを提供したチームメイトは2013-14シーズンのクリス・ボッシュで、142アシストだった。
5. クリッパーズは、ジョージとレナードが出場した試合で11勝3敗という成績を残し、これらの試合では、2人が揃ってコートに立った356分で100ポゼッションあたり対戦相手を14.6得点上回っている。ジョージが欠場し、レナードだけが出場した試合では、356分で100ポゼッションあたり対戦相手を13.8得点上回った。その一方で、レナードが欠場し、ジョージだけが出場した試合では、287分で100ポゼッションあたり対戦相手を0.3得点しか上回っていない。
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ニューオーリンズ・ペリカンズ x デンバー・ナゲッツ
日本時間12月26日(木) PM12:30~
見どころ
シーズン序盤は不安定な時期もあったが、ナゲッツは29試合を終えた時点で球団史上最高の21勝8敗というスタートを切った。ウェスタン・カンファレンス首位を走るレイカーズとのゲーム差はわずか2.5で、トップスポットを狙える好位置にもつけている。昨季のオールNBAファーストチームに選出されたセンターのニコラ・ヨキッチも、本来の調子を取り戻しつつある。ナゲッツがクリスマスゲームに出場するのは1994年以来で、普段から熱気あふれるペプシ・センターの雰囲気は最高潮に達するだろう。対戦相手のペリカンズ(8勝23敗)も、徐々に調子を上げきている。ドリュー・ホリデー、ブランドン・イングラムを先頭に、直近3試合で2勝を記録。JJ・レディックのシュートも火を吹き、チームが23日(同24日)のポートランド・トレイルブレイザーズ戦のようなパフォーマンス(35本中15本の3P成功、成功率43%)を見せられれば、面白い試合になるはずだ。
必見選手: ジャマール・マレー(ナゲッツ)
対戦カードが発表された時期は、ザイオン・ウィリアムソンにスポットライトが集中していた。しかし、ひざの手術により欠場が決まり、夢のようなシナリオもご破算となった。若手で注目すべき選手は、ナゲッツのジャマール・マレーだ。大舞台に強く、今季は得点(17.8)とスティール(1.4)でチーム最多の数字を残し、美しいパスを出すヨキッチの相棒として完璧な存在だ。ホームの観客、そして世界中が注目するこの試合で、きっと見事なショーを見せてくれるだろう。
5つの注目スタッツ
1. ナゲッツの先発ラインナップは、すでに509分もプレイしている。これは昨季記録した430分を大きく上回る数字で、今季これまでに採用したどのラインナップより118分も多い。
2. 『Second Spectrum』によれば、ペリカンズは今季24分あたりのポゼッションでリーグ2位の377本のパスを通している。また、同じく24分あたりのポゼッションでの走行距離は、同1位の12.3マイル(約19.8km)。
3. 今季のナゲッツは、100ポゼッションあたりの平均失点(103.5)がリーグで2番目に少ない。ペイント内での被FG成功率はリーグ24位(57.3%)ながら、ミッドレンジでの被FG成功率(32.6%)と被3P成功率(30.7%)は同1位となっている。
4. ホリデーは、ディフレクション(ポゼッション奪取にならなかったボールカット)でリーグ最多となる1試合平均4.6を記録。ロンゾ・ボールは同13位の3.1。
5. ナゲッツのアシスト率はリーグ2位で、これまでに成功させたFGの65.2%でアシストが記録された。アシストが付いたプレイが最も多い組み合わせはヨキッチとマレーで、合計120アシスト(ヨキッチがマレーの得点をアシストしたのは63回、マレーがヨキッチの得点をアシストしたのは57回)を記録。2人以外にお互いに31アシストを記録しているペアはいない。
原文:Reasons to watch NBA on Christmas Day by Sekou Smith/NBA.com(抄訳)