【一問一答】八村塁との2年ぶりのNBA日本人対決を前にした渡邊雄太「あえて連絡も取っていない」

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杉浦大介 Daisuke Sugiura

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渡邊雄太と八村塁の約2年ぶり、通算3度目のNBA日本人対決として注目される1月21日(日本時間22日)のトロント・ラプターズ対ワシントン・ウィザーズの試合前のチーム練習後に、渡邊雄太が現地メディア向けにメディア対応を行なった。2人の対戦を前にした渡邊が心境を語った。

※現地1月21日に行われた会見の抜粋。質問は概略。

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――安全衛生プロトコル入りも経験したが、今の体調は。

渡邊:体調は全然いいと思っています。コロナにかかったときも別に悪くなったわけではないので、体調に関しては全然心配していないです。

――過去2戦はDNP(出場なし)だったが、早く試合に出たいという思いが強いか。

渡邊:そうですね。やっぱり復帰してからなかなかリズムがつかめなくて、今、ローテーションから外されてしまっている状況です。それは完全に自分のせいだと思いますし、やっぱりプロである以上は体調管理も含めてやっていかなければいけないので、だからそこに関しては絶対に言い訳はできません。こういう状態でも絶対にまた自分のチャンスは来ると思っています。試合に出れない状況は初めてじゃないですし、今までも何度も経験してきているので、焦ったりとかそういうのは全然ないです。

――ウィザーズ戦はプレイオフを目指す上でも大事な一戦になるが。

渡邊:見ている人たちからしたら、やっぱり去年実現しなかった僕と(八村)塁の対戦というのを楽しみにしている方が多いと思います。ただ、僕にしたら、あくまで全部大事な一戦の中のひとつ。塁がいるから特別っていうわけではないですし、僕にとっては毎試合毎試合がすごい大事になってくるなかで、気持ち的には特別な試合っていう感じではないです。今は試合に出れていない状況のなかで、もし今日出させてもらったら、自分がやれることっていうのをしっかり証明して、またローテーションに戻っていけるようにしていかなきゃなっていうふうに思っています。

――今日は『ジャパン ヘリテージ ナイト』(日米友好を祝うイベント)ということで日本人ファンも多いはずだが、楽しみではあるか。

渡邊:たくさんの方に応援していただいたり、楽しみにしていただけているというのは僕たちにとってもすごい嬉しいこと。真剣勝負しつつ、見ている人たちにはそういう部分も楽しんでもらえたらなとは思っています。

――八村と会うのは東京五輪以来か。

渡邊:そうですね、かなり久しぶりですね。

――今日の試合について八村と連絡は。

渡邊:会うのは久しぶり。コート上で会うのを楽しみにしようと思って、(事前には)あえて連絡も取っていないです。

――今季はすでにダブルダブル達成や自己最多の26得点など好成績も残してきたが、手応えは。

渡邊:手応えは正直、めちゃめちゃ感じています。昨季までは試合にちょっと使ってもらえ出して、また試合に出れない日が続いて、という感じで大きい波があったと思うんですけど、(今季に)関しては、コロナにかかる前までは安定した結果がある程度出せていたと思っています。自分に実力があるというのは間違いないと思うんで、あとはコートに戻れたときにしっかりと自分の力を発揮するだけかなと思っています。

――その確固たる自信は今シーズンに得られたのか。

渡邊:ケガから復帰してからの自分のやってきたことというのを見ても、NBAのレベルでやれるっていう実力はついていると思うので、今は焦らずにチャンスを待つだけかなっていうふうに思っています。

――プロトコルに入った際、症状はなかったのか。

渡邊:(コロナ)陽性は出ましたが、症状はほとんどなかったですね。ただ、陽性になるとやっぱりどうしても何もできなくなってしまいます。家でできることはやっていましたけど、それでも限界はありました。1週間くらいですかね、僕が抜けていたのは。1週間、練習ができないとかなるとやはりちょっと厳しいという部分はありました。ただそれも含めて体調管理。言い訳せずにまたやっていかなきゃいけないと思っています。

――とはいえ、好調だった時期に、チーム内のクラスターで感染する1人になって離脱したのは不運に思えた。

渡邊:自分が気をつけられること、自分ができる最大限のことはやっていたと思います。もともと僕は全然、外出もしないですし、パンデミックになってから余計にしなくなりましたし。みんな一緒にやっているので、チーム内でももらってしまうのは正直しょうがないというか、昨シーズンも含めて、逆にあそこまでかかっていなかったのが不思議なくらい。ただ、やっぱりこのリーグで生き残っていくためには運も必要です。前も言ったことがあるかもしれないですけど、運、実力、才能と、このリーグで生き残っていくには大切なことがいろいろあるので、そういうのも含めて日頃から準備が大切だなっていうふうに改めて思いました。

――八村選手との対戦は特別ではないかもしれないが、試合に出た場合には直接マッチアップする可能性がある。ガードする際に気をつける部分は。

渡邊:彼はエルボーあたり(フリースローラインの両端付近のエリア)からのアタックをすごい得意にしています。日本代表でも一緒にやっていて、彼にそこでボールを集めてアタックさせる機会を僕たちも作るようにしていました。そういう彼の得意としている部分をまずしっかり止めて、どっちかというと苦手な方にディフェンスとしてはやっていく。そういうことを心がけなければいけないなと思っています。

――昔から日本バスケットボール界のことを意識して取り組んでいた。改めてこの対戦を感慨深く思うことは。

渡邊:(メンフィス)グリズリーズのときに短い時間でしたけど、対戦はさせてもらいました。ただ、あのときは彼はたくさん試合に出ていましたけど、僕はお情けで出してもらったみたいなところがありました。特に1戦目(現地2019年12月14日/日本時間15日)に関しては僕は4分くらいの出場でした。2戦目、ここ(ワシントンDC)でやったとき(現地2020年2月9日/日本時間10日)は僕も15分くらい出たんですけど、ちょうどお互い入れ替わりで同じ時間にコート立ったことがなかった。

だからこそ、やっぱり自分がローテーションの一員としてしっかりやれているときにやりたかったっていう部分は正直あったりもします。でもそれを今、言ってもしょうがないですし、僕は僕で今は自分にとって大事な時期でもあります。やれることっていうのをしっかりやればまたプレイタイムが絶対増えてくるし、そうすることによってたくさんの人に見てもらえると思っています。僕はやっぱりまず自分のことを最大限、一生懸命やらなければいけないですし、その結果、日本のバスケット界にもいい影響が出てくると思っています。

――八村選手が復帰して元気にプレイしているのを見てどう感じたか。

渡邊:心配していましたし、僕としてもやっぱり焦って戻ってきて欲しくないなっていうふうにすごく思っていました。本当に彼の中で100%大丈夫で、戻ってこれるっていう状態になったときに、戻ってきて欲しいっていうのが僕の願いでした。彼のプレイを今見ていても、楽しそうにやっているなって思いますし、それがやっぱり一番だと思います。バスケットをやっている理由ってみんな好きで楽しいからやっているんで、そういう彼の元気な姿をまた見れるっていうのは嬉しいですね。

――2021年は本契約、東京五輪と大変な年だったが、2022年の目標は。

渡邊:今年で契約が切れてFA(フリーエージェント)になります。僕はラプターズで今後もプレーし続けたいと思っているんで、ラプターズからまた『来シーズンからも雄太が必要な選手』って思ってもらえるようなプレイを今後も続けていかなきゃいけないと思っています。そういった意味でも、僕にとっては毎試合、一戦一戦がすごく大事になってくる。コロナ明けの3試合は自分でも全然良くなかったと思っているので、しっかり修正して、後半戦をしっかり戦っていけたらなと思っています。

取材、一問一答構成、写真:杉浦大介 @daisukesugiura

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ

杉浦大介 Daisuke Sugiura

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東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している。