ロイド・ピアースは、かつてラジョン・ロンドの代役を務めたことがあった。
ホークスを率いる44歳のピアース・ヘッドコーチと、34歳のロンドとの関係性は、おそらく周りが思っているものと違う。
2010年、クリーブランド・キャバリアーズのHCだったマイク・ブラウンは、ボストン・セルティックスとのイースタン・カンファレンス・セミファイナルに備えるため、練習で仮想ロンドの役をやれるスタッフを探していた。そこで、当時キャブズの選手育成コーチだったピアースHCがロンドの代わりを務めた。
ピアースHCは、当時の練習を鮮明に覚えていると言う。
「足首を捻挫してボストン行きの飛行機に乗ったこと以外で記憶にあって、誇らしいことは、練習でスティールを記録したこと。当時の私たちが特に意識したのは、ディフェンシブリバウンドを奪った後のプレイだった。ロンドはビッグマンからボールを奪うのが上手い選手だった。同じことを私も練習でやれて爽快だった」。
2009-10シーズンにキャリア初のオールスターに選出されたロンドは、スティール王に輝き、オールディフェンシブ・ファーストチームにも選ばれた。ピアースHCに課せられた役割は、フルコートでプレッシャーをかけるロンドの真似だった。
ロンド対策を十分にしてシリーズに臨んだキャブズだったが、セルティックスはゴール近くでスクリーンを張って相手のピック&ロールを攻略し、ロンドにペイント内で自由にプレイするスペースを作り出した。結果、ロンドはキャブズとのシリーズで平均20.7得点、11.8アシスト、6.3リバウンド、1.8スティールの大活躍。セルティックスが第6戦でキャブズを下した。
あれから10年が経ち、今度はロンドがピアースHCの代役を務める番がやって来た。
ホークスは、控えポイントガード、それからコート内でのベテランコーチとしての役割をロンドに求めている。また、すでにオールスターゲームにスターターとして出場したトレイ・ヤングがリーダーシップ、戦術眼、守備、ゲームマネージメントをレベルアップさせるため、指導する役割も期待している。
ピアースHCは「ラジョンはこのリーグでトレイと同じポジションでプレイし、2度も優勝している。トレイのレベルアップ、メンターシップを向上させるには、ラジョンのような選手と一緒にプレイすることが欠かせない。これこそ、ラジョンがここにいる理由のひとつだ」。
2年目の昨季に平均29.6得点、9.3アシストを記録したヤングも、球団の方針に従っている。
ヤングは「彼は2度も優勝している。レギュラーシーズンで良いプレイをして、プレイオフでチームを優勝に導くためには、踏まないといけないステップがある。ロンドはこれらの過程を踏んだ選手で、このリーグでハイレベルなプレイができるポイントガードになった。僕はまだ答えを見出せていないので、学習することが大事」と、ロンドを称えている。
ロンドも新たな役割を快諾している。これまで一緒にプレイしたケビン・ガーネット、ポール・ピアース、レブロン・ジェームズ、ダーク・ノビツキーを例に挙げ「一周して今度は自分が教える番」と語った。
ホークスもまた、ロンドの力を最大限に生かすためには、プレイオフに進出する必要がある。彼はレギュラーシーズンよりポストシーズンで実力を発揮する珍しいタイプで、ロンドのベストパフォーマンスを引き出すには大舞台に上がらなければならない。
ロンドは、ヤングらホークスの若手について「トレイ・ヤング、ジョン(コリンズ)、ケビン・ハーターの伸びしろは多い」と話す。
「今季のイーストのタレントレベルはそこまで高くないから、どのチームも首位を狙える。過去の例を見てもわかるように、プレイオフではどういう結果になってもおかしくない」。
ロンドはアトランタに慣れるため、ホークスのレジェンドに頼っているという。
「兄弟のようなジョシュ・スミスがアトランタに住んでいるんだ。ずいぶん昔の話だけれど、僕たちはオークヒル(アカデミー)時代にルームメイトだった。まだ住むところが決まっていないから、ここ数日は夜に彼の家に行っていたね」。
原文:Rajon Rondo Sees Opportunity in Hawks' Current Roster by Kevin L. Chouinard/Hawks.com(抄訳)