対戦チームも八村塁を警戒「彼のような選手の傾向を把握して仕事をさせないことが大事」

YOKO B

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このところ好調を維持し、二桁得点を続けてきたワシントン・ウィザーズの八村塁が、1月7日(現地時間6日)のオクラホマシティ・サンダー戦では5得点に終わった。一桁得点は、復帰戦となった12月23日(現地22日)のユタ・ジャズ戦以来のことだ。チームはこれで2連敗となった。

4日(現地3日)のミルウォーキー・バックス戦で、八村は3本の3ポイントショットを沈めて12得点を記録したが、チームとしてはヤニス・アデトクンボに55得点を許し、113-123で敗戦。悔しい負け方をした2日後、サンダー戦を前に「彼はやる気満々だ」と、アンセルドHCは言っていた。

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「彼はとても積極的に攻めていると思う。彼のサイズと強さがあれば、私たちがスモールボールやポストプレイをしたいときに大きなダメージを与えられる。このところ、彼はそのエリアで本当によくやってくれている。さらに昨シーズンのような3ポイントショットも決められるようになりつつある」

しかし、サンダー戦での八村の結果は、18分42秒間のプレイで3ポイントショット1試投を含むフィールドゴール9本中2本成功、フリースロー1本中1本成功の5得点。そのほか、1アシスト、1スティールを記録した。ターンオーバーとパーソナルファウルは各3、出場時のチームの得失点差を示すプラスマイナスは-15。思うように仕事をさせてもらえなかった。

サンダーが八村をどう見ているのか。試合前に、マーク・デイグノート・ヘッドコーチに八村について尋ねると、「ミッドレンジが得意なタフな選手だ」という答えが返ってきた。

「身体能力もとても高く、チームをダイナミックにするし、攻守にわたって万能な面もある。彼のミドルレンジは素晴らしいく、タフな選手だ。このところ定着してきた7〜8人の選手はまとまった時間を与えられていて、塁を含め、試合に出る選手はみんな脅威だと思っている」

八村にマッチアップしたケンリッチ・ウィリアムズは「この5試合くらい、彼は良いプレイをしているとコーチ陣が言っていたんだ」と言う。

「彼に限らず、とにかく相手の動きを遅くすることがゲームプランだった。彼はミドルレンジを得意とする身体能力の高いウイングだと知っていたから、とにかくペースを乱すことに集中したんだ」

八村はウィザーズにとって必ずしも常に主な得点源というわけではないが、ここ最近の八村がベンチから安定した活躍でチームの勝利に貢献していたことは、対戦相手にとっても周知の事実のようだ。

ウィザーズのシックスマンである八村を抑える重要性について、ケンリッチはこう続ける。

「(それは)とても重要だ。自信を持たせてチームに弾みをつけさせたくはないからね。もし彼が出てきて3本の3Pを決めたりしたら、先発メンバーの調子が戻ってしまうこともある。だから、彼のような選手の傾向を把握して仕事をさせないことが大事なんだ」

試合序盤からペースの早いフィジカルなプレイを展開したサンダーにスターティングラインナップが翻弄されたのと同様に、ベンチ出場した八村も苦戦を強いられた。

「彼は早い段階でファウルが2つ重なった時点で少しリズムが掴めなくなって、それがその後も少し影響していたと思う」と、アンセルドHCはこの日の八村について振り返る。

「全体的に苦戦を強いられた。それで、ジョーダン・グッドウィンやウィル・バートンを起用して流れを変えるように試みた。(塁)だけでなく、主力選手たちにはエナジーがまったく足りなかった。全体として競争力のあるグループを見つけることができなかった」

八村の調子が上がれば上がるほど、対戦相手から警戒されて対策を打たれるのは当然だ。それは、次のレベルへと進化するための課題であると同時に、八村の成長の証でもある。

彼の可能性について、「彼はこのリーグではまだ若い選手で、将来有望な選手だと思う」とウィリアムズは言う。

「僕が見た感じでは、彼は正しいマインドセットを持っていると思うし、これからもっと良くなっていくだろうね」

試合後、「あまりリズムに乗れなかったので、切り替えて次の試合に臨みたい」と話した八村が、ここからもっと良くなるためにどんなプレイを見せてくれるのか。さらなる飛躍のシーズンを迎えられるかどうかは、彼自身にかかっている。

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YOKO B

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静岡県出身。大学卒業後渡米し、オクラホマ大学大学院修士課程修了。2014年よりオクラホマシティ在住。移住前にNBAのオクラホマシティ・サンダーのファンとなり、ブログで情報発信を始める。現在はフリーランスライターとして主にNBA Japan/The Sporting Newsに寄稿。サンダーを中心に取材するかたわら、英語発音コーチも務める。