【インタビュー】上昇を続けるサンダーのデイグノートHC

YOKO B

Steve Aschburner, NBA.com

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「勝利数よりも多くの将来のドラフト指名権を」という掛け声はこのリーグではあまり聞かないが、それがここ最近のオクラホマシティ・サンダーにできる精一杯だった。サンダーのエグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネジャーであるサム・プレスティは確かに若いタレントをロスターに加えてはいたが、指名権や黒星が増えるスピードには及ばなかった。

その数字には議論の余地がなかった。サンダーは2020-2021シーズンに22勝をあげ、翌シーズンは24勝で終わった。その一方で、この6月に3つの指名権を使った後も、プレスティGMは今後7年間で15個の1巡指名権を含む35個の指名権を確保している。

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昨シーズンは状況が変わった。サンダーは40勝を記録し、ウェスタン・カンファレンスのプレイイン・トーナメントに進出。前シーズンから16勝増という成績を残したマーク・デイグノート・ヘッドコーチは最優秀コーチ賞の投票で2位となり、今シーズンへの期待が高まっている。

先日シカゴで行われたNBCA(コーチ協会)の会議の際に、デイグノートHCが新シーズンについて『NBA.com』に話してくれた(※以下の質疑応答は要約・編集されている)。

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――トレーニングキャンプがまもなく始まるが、このオフシーズンをどのように感じているか?

私たちにとってのオフシーズンは、特にチームが若い分、彼らの成長がとても早いので非常に重要だ。特に肉体的にね。5~6か月間、ただひたすらウェイトルームで身体を鍛えてスキルワークだけを行うことで彼らの成長率はかなり高くなる。それが最もエキサイティングなことだね。それから、この期間には常に動きがある。

――小さな一歩から大きな飛躍を遂げたことでこのチームへの期待も加速しているが、その期待と忍耐強さのバランスをどう取っているのか?

(注目されるのは)自然なことだ。チームの選手たちはここ来るまで懸命に働いてきたから注目に値する。今の私たちの課題は、若いチームを長い目で見守り続けること。このチームにはまだ多くの猶予期間がある。長期的な展望を損なうことになるのであれば、目先の結果を追求して、短期的なステップを飛ばしてしまうのは最悪だ。将来を見据えていれば、その過程でいろいろな項目をクリアしていけるようになると信じているんだ。

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――全力で勝ちに行くべきタイミングだとわかるのはいつなのか?

それはサム(プレスティ)にする質問だね。しかし、私たちは今いる若い中心選手たちにとても興奮しているんだ。昨年は、継続の力を示した最初の例だった。私たちだけじゃない。優勝したデンバー・ナゲッツもそうだ。もちろん、彼らは何年にもわたってロスターの入れ替えもしてきたが、同時に長年ずっと一緒にプレイして積み重ねたものもある。私たちにとってはそれが非常に重要なんだ。

だからといって、対外的なことを決して追求しないという意味ではない。そこは目を離してはいけないし、サムもそうしている。しかし、私たちはこのグループを評価しているし、彼らとともに築いている継続性も大切にしている。

――シェイ・ギルジャス・アレクサンダーは、他所からスター選手を加えるという考えについて「もう僕がいる」と言うかもしれない。昨シーズンと今夏のFIBAワールドカップは、彼にどんな影響を与えたか?

私たちは常に、成長というレンズを通して選手を見ている。どれだけ優れていて成熟していても、彼はまだ若手選手であり、まだ成長している途中だ。成長において強力なもののひとつは、状況を変えること、環境を変えることで、 今回は彼がこれまで属してきた環境とはまったく異なるものだった。

国を代表しているときに直面するプレッシャーの種類も違う。異なるゲームであり、(ファウルの)コールのされ方も違うし、スタイルも違う。サンダーからは、(ダービス)ベルターンス、ルー(ドート)、シェイ、ジャック・ホワイト、(ジョシュ)ギディーなど多くの選手が出場した。彼らにとって本当に貴重な経験だったはずだ。

――昨年、サンタクララ大から12位指名で入団したジェイレン・ウィリアムズは、新人王の投票で2位を獲得し、日に日に調子を上げているようだが、彼の次のステップは?

彼は本当によく頑張っている。肉体的にも技術的にも、とても充実した夏を過ごした。チームUSAの選抜チームにも選ばれた。…これから変わっていくことに具体的に期待するのは難しいが、彼が上達したことはわかっている。彼のこれまでの努力の仕方は大したものだよ。彼はゲームにおける細かなことの重要性を理解している。カッティングを理解し、スペーシングを理解し、ランニングを理解し、シンプルなボールの動きを理解しているんだ。あのサイズで懸命に戦うから素晴らしいディフェンダーでもある。

彼は自分のゲームのためにとても強力な基礎を築いたね。彼が最高のパフォーマンスを発揮できなかったり、一番起用されなかったりする試合でも、彼はほかのすべてのことをこなしているからこそ高い効果を発揮しているんだ。

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――ブレイク・グリフィンやベン・シモンズなど、最初のシーズンをケガで棒に振ったルーキーが翌年には奮起して新人王を受賞した歴史も少しはある。チェット・ホルムグレン(※)もそうなるだろうか?

それは様子を見ないとわからないね。彼は競争心が強い選手で野心家だ。自分に対する期待も大きいし、その期待に見合うだけの仕事ぶりを見せている。彼は努力を惜しまないんだ。彼はリハビリ中もそうだった。あれは長くて暗いリハビリだったが、彼はそのリハビリ中も言行一致で素晴らしかったよ。

※ゴンザガ出身の身長213cmのホルムグレンは、右足のリスフラン関節損傷で2022-23シーズンの全試合を欠場している。

――その間、どうやって彼をチームの一員として巻き込んでいたのか?

彼はすべてのことをサンダーの施設内で行なった。だから、チームのあらゆる場面でチームと一緒だったんだ。フィルムセッションにも参加していた。ケガをしていると自然と距離を置くようになるものだが、私たちは彼を巻き込むように精一杯努力したんだ。

選手たちも彼と一緒に頑張ってくれた。彼がジムに入ってきたら、みんなに衝撃を与えるだろうね。彼という選手だからというだけでなく、彼が耐えてきたことやそれにどう対処してきたかをみんな見てきたから。彼が初めて試合に出るときには誰もが喜ぶと思うよ。

――あなた自身はどう成長したか?

この特別な選手たちと仕事をしているが、みんな違うんだ。シェイやルーの場合は、彼らがサンダーの1年目のときに私はアシスタントコーチをしていたから、今年で一緒にやって5年目になる。そして、ギディーやあの年にドラフトされた選手たち、(アーロン)ウィギンズや(ジェレマイア)ロビンソン・アールやトレイ・マン)は3年目に入るし、(アレクセイ)ポクセフスキーは4年目に入る。それはとても自然に起きていることで、そして、そうなったのはあくまで意図的だ。

最も大きな進化は、このグループのことを学ぶことだ。自分自身や私たちのスタッフに集中しすぎて、間違った目標に向かってしまわないように心がけている。私たちがすべきことは、今このチームにいる選手たちを援助することで、私たちはそれに集中しているんだ。

原文:Q&A: Thunder coach Mark Daigneault on continuing the climb
翻訳:YOKO B Twitter:@yoko_okc

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静岡県出身。大学卒業後渡米し、オクラホマ大学大学院修士課程修了。2014年よりオクラホマシティ在住。移住前にNBAのオクラホマシティ・サンダーのファンとなり、ブログで情報発信を始める。現在はフリーランスライターとして主にNBA Japan/The Sporting Newsに寄稿。サンダーを中心に取材するかたわら、英語発音コーチも務める。

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