NBAプレイオフ2017も1回戦が終了し、勝ち進んだ合計8チームによるウェスタン/イースタン・カンファレンス決勝進出をかけた準決勝が4月30日(日本時間5月1日)からスタートする。
ここでは各対戦カードの注目ポイントを紹介。今回はイースト2位クリーブランド・キャバリアーズ vs 同3位トロント・ラプターズのシリーズだ。
NBAプレイオフ2017 イースタン・カンファレンス準決勝
クリーブランド・キャバリアーズ(2位)対トロント・ラプターズ(3位)
背景
キャブズとラプターズがポストシーズンで対決することに驚きはしない。サプライズだったのは、今回の対戦がカンファレンス決勝ではなく準決勝で実現したことだ。昨年はカンファレンス決勝で対戦し、キャブズが第6戦で勝ち上がりを決めた。今季はキャブズがイースト1位を逃したために準決勝で激突する。ファーストラウンドではインディアナ・ペイサーズをスウィープ(4勝0敗)で下したとはいえ、キャブズは準決勝から厳しい相手と戦うこととなった。
今季の対戦成績は、キャブズが3勝1敗で勝ち越している。レギュラーシーズン最終戦ではラプターズが98-83で勝利したものの、レブロン・ジェームズ、カイリー・アービング、ケビン・ラブのビッグ3は揃って欠場。それ以外の3試合はいずれも今季序盤の対戦で、3試合の得点差の合計はわずか11点ということを考えても、レギュラーシーズンの対戦成績は参考にならない。
ラプターズのドウェイン・ケイシー・ヘッドコーチの決断にも注目が集まる。ミルウォーキー・バックスとのファーストラウンドでは、1勝2敗で迎えた第4戦でセンターのヨナス・バランチュナスをベンチスタートとし、スモールフォワードのノーマン・パウエルを先発に抜擢。そしてサージ・イバカをセンターにコンバートするスモールラインナップで活路を見出した。キャブズとのシリーズでも必要に応じてスモールラインナップに変更する可能性はあるが、まずはビッグラインナップで様子を見るのではないだろうか。
キープレイヤー
注目選手は、もちろんジェームズだ。キャブズのロスターは平均年齢が上がり、今季を通じて不安定で、付け入る隙もあると見られていた。だが、大きな違いを生み出す選手こそ、イーストのベストプレイヤーという称号を欲しいままにしているジェームズに他ならない。つまり、ジェームズが全盛期の間はキャブズを攻略するのは非常に難しいと言える。ファーストラウンドで対戦したペイサーズは、スター選手のポール・ジョージがチームをプレイオフに導いた。だがキャブズの場合、『スーパースター』のジェームズがチームをNBAファイナルに導くのだ。
ペイサーズとのシリーズを振り返ってみても、ジェームズのパフォーマンスに驚かされるばかりだ。ジェームズは、ペイサーズとの4戦で平均32.8得点、9.8リバウンド、9.0アシストを記録。レギュラーシーズンに記録した平均得点(26.4)より1試合平均6.4得点も多いばかりか、リバウンドとアシストの数字も上がっている。また、プレイオフに入り平均スティール(3.0)もレギュラーシーズンの約2倍、ブロック(2.0)にいたっては約3倍の数字を残している。3ポイントショット成功率は45%で、フィールドゴール成功率はレギュラーシーズンをやや下回る54.3%。意外にもフリースロー成功率は57.9%と低く苦しんでいる。
イーストにジェームズを1対1で抑えられる選手はいない。ラプターズはパウエル、デマーレイ・キャロル、そしてベンチからPJ・タッカーがジェームズとマッチアップすることになりそうだ。幸運を祈る。
注目の数字
1.08
注目したいのはピック・アンド・ロールの守備に関する数字だ。今季を通じてキャブズにとって最大の弱点の一つでもある。スウィープで勝ち上がりを決めたとはいえ、ペイサーズとのファーストラウンドでもキャブズはピック・アンド・ロールに対する守備に苦しんだ。特にキャブズの対応が万全でなかったのはボールハンドラーに対する守備で、ポゼッションあたりリーグワーストの1.08失点を記録。ペイサーズはシーズンを通じてピック・アンド・ロールに優れたチームで、レギュラーシーズンではポゼッションあたり0.89得点(同9位)だったが、キャブズとのシリーズでは猛威を振るった。
ラプターズはリーグ屈指のオフェンシブなチームで、レギュラーシーズンではピック・アンド・ロールにおけるボールハンドラーの平均得点でリーグ1位の24.5得点を記録した。ラプターズは決してボールを動かすチームではなく(レギュラーシーズンの平均アシストはリーグワーストの18.5)、得点の大半はデマー・デローザンとカイル・ラウリーにボールを託し、2人がスクリーンを使うプレイから生まれている。
だがファーストラウンドでは、長身でリーチの長い選手が多いバックスがペイントを塞ぐ守備に苦しめられた。レギュラーシーズンではピック・アンド・ロールから平均10.7得点を記録したデローザンがプレイオフでは7.5得点、同様にレギュラーシーズンでは8.5得点を記録したラウリーも5.8得点に減少した。だがラプターズにとっては、ピック・アンド・ロール時のボールハンドラーに対する守備が改善されていないキャブズが相手なのは幸いとも言える。
予想
イーストでキャブズに勝てるのは、ラプターズくらいだろう。サイズがあり、戦術に優れ、経験も豊富で、カンファレンス内の他チームには真似できないミスマッチを生み出す力が備わっているからだ。そろそろキャブズが落ち目という意見もあるが、ジェームズが健在な間の攻略は極めて難しい。そしてジェームズの全盛期が終わりを迎える頃、ラプターズにキャブズを倒せるだけの力が残っているかは疑問だ。今シリーズは第6戦までにキャブズが勝ち上がりを決めると予想したい。
原文:NBA playoffs 2017: Do the Raptors have any chance of stopping LeBron James? by Sean Deveney/Sporting News