NBAプレシーズン評価:MVPやオールNBAを選出するなら?

Stephen Noh

坂東実藍 Miran Bando

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NBAのプレシーズンは意味がないと考えている人は多い。だが、驚きの傾向をいち早く示すこともある。

昨季もプレシーズンを研究していたら、サクラメント・キングスとオクラホマシティ・サンダーの驚きの成長ぶりを先取りできただろう。シャーロット・ホーネッツが白星を16も減らすことや、トレードデッドライン(トレード期限)までロサンゼルス・レイカーズが苦戦することも予想できたかもしれない。

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多くのファンはプレシーズンを完全に無視するが、ここではアウォードの形式を通じて、プレシーズンで見逃したかもしれないことをまとめる。

NBAプレシーズンMVP:ジョナサン・クミンガ(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)

ウォリアーズはクミンガが素晴らしいシーズンとするのを待ってきた。昨季はプレイオフでローテーションに定着できなかったが、今季がそのシーズンとなるかもしれない。

スティーブ・カー・ヘッドコーチがベテラン選手たちの多くの出場時間を制限した中で、クミンガはプレシーズン最終戦を前に最多得点をあげている。フィールドゴール成功率53.4%で平均24.0得点という数字だ。

クミンガはフットワークやクローズアウトの技術を大きく向上させ、守備が素晴らしくなったようだ。また、リムへのアタックでも非常に効果的で、リバウンドも見事だった。3ポイントショットは成功率45.5%をマークしている。

もちろん、シーズンが進んでいく中で、クミンガがチームの主たるスコアラーのひとりになることはないだろう。だが、彼が堅実なベンチ要員に成長できれば、昨季からのウォリアーズの最大の弱点のひとつが改善されることになる。クミンガはようやく、計り知れないポテンシャルでもっと安定したパフォーマンスを見せる準備を整えたようだ。

Kristaps Porzingis
Getty Images

プレシーズンのオールNBAチーム

枠のひとつはクミンガだ。残り4選手は以下となる。

フォワード:クリスタプス・ポルジンギス(ボストン・セルティックス)

オフシーズンに移籍したビッグネームのうち、ポルジンギスほど良かった選手はいない。1試合平均の出場が23分ではあったが、FG成功率54.1%、3P成功率50.0%で平均15.5得点、7.5リバウンドを記録した。

レギュラーシーズンになれば、3Pを半分も決めることはないだろう。だが、彼にとってこれまでで最高のチームメイトたちに囲まれ、素晴らしいかたちでショットを打てるようになっている。ジェイレン・ブラウンとジェイソン・テイタムの両選手とすぐにケミストリーを築き、ジョー・マズーラHCがチームに臨む戦略に完璧にフィットしている。

また、ポルジンギスは守備でもうまく馴染んでおり、リムプロテクションが素晴らしく、ディフレクションも多い。まずまずの機動性も見せ、周囲の予想より高い位置でもプレイできた。ロバート・ウィリアムズ三世を失ったにもかかわらず、セルティックスの守備はリーグ屈指のままだ。

フォワード:ビクター・ウェンバンヤマ(サンアントニオ・スパーズ)

ソーシャルメディアを見ていれば、ウェンバンヤマが試合に出るたびに、そのハイライトが大きく騒がれたのを目にしたのではないだろうか。プレシーズンのウェンバンヤマは、このサイズの選手では今まで目にしなかったようなことをやってみせている。

ただ、ハイライトのことは少し忘れよう。もっと印象的なのは、彼の安定ぶりだ。無理やり打たされたショットは非常に少なく、FG成功率55.3%を記録し、平均19.3得点はスパーズ最多。守備でも出場した試合のすべてで圧倒的に最高の選手だった。

ウェンバンヤマがリーグに適応するには時間が必要と考えていた。だが、極めて大きな間違いだったようだ。プレシーズンのプレイを続けることができれば、ルーキーながらオールスター選手となるだろう。

ガード:ジュリアン・ストローサー(デンバー・ナゲッツ)

ウェンバンヤマ以外で最高のルーキーだったのがストローサーだ。あらゆるレンジからショットを決め、ナゲッツで平均17.8得点をあげた。

ストローサーはナゲッツのシステムにうまくフィットしており、ニコラ・ヨキッチとの連係で何度か素晴らしいカッティングを見せている。1試合平均8本試投で成功率45.2%と、素晴らしい3Pでフロアを広げることもできた。大学時代からの巧みなフローターをプロでも見せており、相手がクローズアウトしてきた時の武器となっている。

ナゲッツはすぐに貢献できることを期待し、新人ではより年長のストローサーを指名した。この序盤を見る限り、それは賢明な選択だったようだ。

ガード:ジョーダン・プール(ワシントン・ウィザーズ)

ウィザーズは厳しくなるだろう。だが、楽しみもある厳しさとなるかもしれない。その筆頭がプールだ。新チームで平均23.1分間出場の23.3得点を記録している。ニューヨーク・ニックス戦では41得点をあげた。

プールがショットの機会を見過ごすことはほとんどない。ドリブルで攻め上がり、ロゴからでもすぐにショットを放つ。ドリブルとクロスオーバーを駆使し、そのショットセレクションはデニ・アブディヤを怒らせた。

プールが平均得点や話題となる場面でウィザーズをけん引するのは確実だ。

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プレシーズンで最も想定より成功したチーム:トロント・ラプターズ

今季のラプターズはあまり期待されていない。フレッド・バンブリートを失ったとはいえ、昨季41勝のチームにしては低すぎるほどの期待値だろう。プレシーズンでもキングス、ケアンズ・タイパンズ、シカゴ・ブルズを下し、3勝0敗という成績だ。

この3試合すべてにおいて、ラプターズは守備が良かった。ヤコブ・パートルがフルシーズン戦うようになる今季は、守備でトップ10のチームに返り咲くはずだ。デニス・シュルーダーは相手の攻撃の起点となる選手にとって厄介だし、スコッティー・バーンズはスイッチできるディフェンダーとして再生したようだ。

3Pは成功率33.5%にとどまり、平均試投もリーグのボトム10と、いずれにしてもショットで苦しむかもしれない。昨季も最大の弱点のひとつだった。それでも、リーグ11位と全体的な攻撃はうれしいサプライズだった。

近年、プレシーズンで最も想定以上に成功したチームは、勝利数でも予想値を上回ってきた。ラプターズがその流れを続けるか注目だ。

プレシーズンで最も想定を下回ったチーム:ニューオーリンズ・ペリカンズ

ペリカンズはようやくザイオン・ウィリアムソンとブランドン・イングラムが健康になった。だが、それ以外のメンバーが今度は負傷している。

スターティングラインナップをまとめるのに貴重だったトレイ・マーフィー三世は、半月板断裂でシーズン序盤を欠場する。ナジ・マーシャル、ラリー・ナンスJr.、ホゼ・アルバラードも軽傷で失っている。

そういったケガにより、ペリカンズはなかなか機能的なラインナップを形成できていない。結果としてプレシーズンでは苦戦し、3敗のうち2つは大敗だった。

そしてそれ以上に問題なのは、負け方だ。CJ・マカーラムはショットの成功率が40%を下回るなど、下り坂にある様子。ターンオーバーも2試合で50に近い数字と多い。ウィリアムソン、マカーラム、イングラムのケミストリーもあまり見られなかった。

ペリカンズは非常に才能のあるチームだ。だが、今季のウェスタン・カンファレンスは非常に厳しい競争となる。プレイオフに進出したければ、スロースタートにするぜいたくは誰にも許されない。

原文:NBA preseason awards: Jonathan Kuminga, Jordan Poole lead All-NBA selections; Raptors biggest overachievers(抄訳)

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Stephen Noh

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。