デンバー・ナゲッツとの激しいシリーズを制し、ポートランド・トレイルブレイザーズが2000年以来となるカンファレンス・ファイナル進出を決めた。昨シーズン、プレイオフ1回戦でニューオーリンズ・ペリカンズに4連敗を喫した屈辱を糧に、勝ち上がってきたブレイザーズの注目3選手をピックアップしよう。
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デイミアン・リラード
リラードは文句なしのチームリーダーであり、土壇場での勝負強さはNBAトップクラス。オクラホマシティ・サンダーとのプレイオフ1回戦では、第5戦で決めたブザービーターがこの日10本目の3ポイントショット、50得点目という驚異的なパフォーマンスでシリーズに決着をつけた。
得点力が武器のポイントガードであり、ドライブ、ミッドレンジ、3Pと様々なパターンで得点する術を持つ。今年のプレイオフでは12試合中5試合で30得点超え、3P成功数が45本、フリースローも1試合あたり6点以上成功させながら成功率81.8%を記録していることでも、頼りになるエースであることがわかるだろう。
ナゲッツとのセミファイナル第7戦では、フィールドゴール17本中3本の成功にとどまるなどシュートで苦戦を強いられたが、10リバウンド、8アシストと得点以外でしっかり仕事を果たした。勝負強さを発揮できる第4クォーター終盤の局面で、この日オフェンスを牽引していたマッカラムにボールを預けて1対1で得点させたシーンは、チームメイトを信頼していることを示すものだった。
高校時代のリラードは注目度の低い選手だったが、ウィーバー・ステイト大学でスコアラーとして脚光を浴び、ブレイザーズにドラフト指名されてからNBAのオールスターへと飛躍した。チャンピオンシップリング欲しさに移籍するスター選手が少なくないなか、「シティは100%我々をサポートしている。それがプレイする理由だ」と語るなど、ブレイザーズとポートランドの街に対する愛着は非常に強い。
故郷のオークランドに本拠地を置くゴールデンステイト・ウォリアーズ相手に、リラードはあらゆる予想を覆そうと最後までハードに戦い続けるはずだ。
CJ・マッカラム
リラードとガードコンビを組むマッカラムは、ドライブ、ミドルレンジ、3Pとあらゆるスポットから決められるシュート力と、ゲームメイクもできるコンボガードだ。ナゲッツとのセミファイナル第7戦では37点と大爆発し、第4Q残り12.4秒にはリードを3点に広げるジャンプショットも沈めた。現在のNBAで確実に決められる選手が非常に少ないことから「失われた芸術」と例えられるミドルレンジからのショットは、マッカラムの大きな武器となっている。
レギュラーシーズンで平均21点を記録したマッカラムは、このプレイオフで平均25.6点までアベレージを伸ばしている。ナゲッツとのシリーズでは、2勝3敗と王手をかけられた後の2試合で、いずれも30点以上を奪って勝利に貢献した。これは、ビッグゲームで実力を発揮できる選手であることの証明と言える。4年連続で平均20点以上を記録しながらオールスターに一度も選ばれていないことから、NBAで最も過小評価されている選手なのはまちがいない。
高校生になった当時は、身長が160cmに満たなかったマッカラムは、NCAAでもリーハイ大学という知名度の低い学校でしかチャンスをもらえなかった。しかし、2012年のNCAAトーナメントの強豪デューク大学戦で30点を奪って飛躍への道のりを歩み始めた。
ナゲッツを撃破した後に残した「僕は今まで誰もNBAからドラフト指名されていなかったリーハイ大の出身だ。モチベーションは十分にある。マイナー校のプレイヤーたちがNBAの扉を開くことができるように、僕は毎試合プレイしているんだ」との言葉は、まさにマッカラムの負けず嫌いとプライドを象徴するものである。
エネス・カンター
ブレイザーズのフロントラインで注目すべき選手は、今シーズン途中に出場機会を失っていたニューヨーク・ニックスをカットされた後に入団したエネス・カンターだろう。ディフェンスが弱点と言われ続けてきたものの、3月にユスフ・ヌルキッチが大ケガに見舞われた後にステップアップ。プレイオフに入ってからは、FG成功率51.2%、平均12.9点、10.6リバウンドの数字を記録している。
基本に忠実で派手なプレイはしないものの、フットワークとタイミングの良いペイント内へのカットで着実に得点できるのが特徴。また、オフェンシブリバウンドで平均3.6本を記録するなど、ハッスルプレイでもチームに貢献できる。ニックスで構想外になっても、機会が巡ってきたときのためにあきらめることなく練習してきたことが、ブレイザーズで報われたと言っていい。
トルコ出身でイスラム教徒のカンターは、5月5日から約1か月間、ラマダン(断食)の月ということで日の出から日没まで飲食できない生活をしている。午前3時に起床して朝食を摂っているものの、試合が日没前に行なわれる場合はタイムアウト中の水分補強もできない。断食中ながら質の高いプレイをしている点でも、カンターから目が離せない。
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