NBAサマーリーグ2021で活躍を見せた注目選手たち

大西玲央 Reo Onishi

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今年のNBAドラフトクラスは層の厚さはレブロン・ジェームズ、カーメロ・アンソニー、クリス・ボッシュ、ドウェイン・ウェイドらを輩出した2003年のドラフトと比較されることも多く、8月8~17日(日本時間9~18日)までラスベガスで開催されたMGM Resorts NBAサマーリーグは注目イベントとなった。

NBAの全30チームが参加し、各チームが5試合をプレイ。4試合を消化した時点で最も成績の良い2チームが、優勝決定戦を行ない、サクラメント・キングスがボストン・セルティックスを破りサマーリーグ王者の座を獲得した。

ここではサマーリーグで注目される活躍を残した選手たちを何人かピックアップする。


2年目の選手たち

基本的にはルーキーお披露目の場として利用されるサマーリーグだが、今年は例年と比較して多くの2年目選手が参加している。昨季は新型コロナウイルスの影響でサマーリーグが開催されず、2年目選手も初めての参加となったのだ。

サマーリーグの得点ランキングを見ても、上位を占めるその多くは2年目選手だ。特に際立っていたのは、平均26.0得点(得点ランキング2位)を記録したタイリース・マクシー(フィラデルフィア・76ers)、3ポイント試投数6.5本で成功率69.2%を記録したデズモンド・ベイン(メンフィス・グリズリーズ)、トレイ・ジョーンズ(サンアントニオ・スパーズ)、ボル・ボル(デンバー・ナゲッツ)、オビ・トッピン(ニューヨーク・ニックス)、イマニュエル・クイックリー(ニックス)、パトリック・ウィリアムズ(シカゴ・ブルズ)、ペイトン・プリチャード(ボストン・セルティックス)などがあげられる。

やはり1年をリーグで過ごしていることもあって、2年目選手たちの活躍は突出しているところがある。今年と違って層が薄いと言われている昨年のドラフトクラスだが、昨季はサマーリーグだけでなくオフシーズンもまともになかった特殊なシーズンだった。多くの2年目選手の躍進が見られるシーズンとなるかもしれない。

ジェイレン・グリーン(ヒューストン・ロケッツ)

全体2位指名でロケッツ入りしたグリーンは、得点能力の高さを見せつける形となった。平均20.3得点はルーキーの中で2番目に高く、フィールドゴール成功率51.4%、3P成功率52.6%、フリースロー成功率92.9%と効率よく得点を生み出していた。

ペリメーターでのフットワークがとてもスムーズで、ステップバックやサイドステップからの3Pショットを難なく決めていた。外からだけでなく、ドライブでの爆発力もあり、中でも外でも自由に得点ができる生粋のスコアラーだ。いずれNBAの得点王争いに絡んできても驚きはないだろう。

デイビオン・ミッチェル(サクラメント・キングス)

ミッチェルは全体9位で指名された183cmのポイントガードで、2021年にベイラー大学をNCAAトーナメント優勝へと導いている。22歳と最近のドラフト選手にしては高齢であり、サイズの小ささと腕の短さを懸念する声もあったが、このサマーリーグではしっかりとプレイできることを見せた。

デビュー戦で23得点と、問題なく得点できることも証明したミッチェルだが、それ以上に注目されているのがディフェンス力だ。大学レベルでも2021年のネイスミス最優秀守備選手に選出されるなど評価されていたが、サマーリーグでも自分より大きい相手を度々封じ込めており、守る相手が調子を落とすことからつけられたニックネーム「オフナイト」が伊達ではないことを見せつけている。

17日に行なわれたセルティックスとの決勝戦では、ここまで平均20.3得点を記録していたプリチャード相手に執拗なディフェンスを見せ、わずか6得点、フィールドゴール成功率33.3%に抑える活躍を見せた。

ジェイレン・サグス(オーランド・マジック)

ゴンザガ大学で1年生としてチームの全勝レギュラーシーズンと、NCAAトーナメント決勝戦進出に大きく貢献したサグスは、全体5位でマジックに指名された身体能力の高いガードだ。

3試合目で親指を捻挫してしまい、その後は欠場となったものの、即戦力として活躍できることは十分にわかる活躍を見せた。攻守で高いエナジーを持ってプレイし、優れたコートビジョンからフリーになったチームメイトに鋭いパスを通していたのも特筆して良いだろう。

ガードの人数の多いマジックではあるが、将来性と能力の高さから、サグスはルーキーシーズンから多くの出場時間を与えられることが期待される。

ケイド・カニングハム(デトロイト・ピストンズ)

大型ポイントガードとして、複数ポジションをプレイできるオールラウンダーという前評判で今年の全体1位指名に輝いたカニングハムだが、サマーリーグではしっかりとその能力の高さを披露してくれた。

落ち着いたプレイを見せ、3試合で平均18.7得点、5.7リバウンド、2.3アシストを記録。ガードとしてアシストの少なさが気になるところかもしれないが、アシストは相手がショットを決めなければつかないスタッツだ。決めていればアシストになっていたような『ポテンシャルアシスト』は数多く見られ、心配するほどの数字ではないだろう。

懸念されていた外からのシュート力も、3試合を通して3P成功率50%を記録し、3試合目のニックス戦では10本中7本を決めている。

キャム・トーマス(ブルックリン・ネッツ)

4試合でサマーリーグトップとなる平均27.0得点を記録したトーマスは、全体27位で指名されたシューティングガードだ。1年をプレイしたルイジアナステイト大学の頃から得点能力の高さが際立っていた選手だが、サマーリーグでも彼の得点は全く止まる様子はなかった。

デビュー戦で19得点、2試合目に22得点、3試合目に31得点、4試合目に36得点と数字を上昇させ、数々のクラッチショットを決めるなど勝負強さも見せつけた。

ネッツはボールを持つことが多いスーパースター選手(ケビン・デュラント、ジェームズ・ハーデン、カイリー・アービング)が集まるチームなだけに、その中でどれだけ活躍できるのかは未知数ではあるが、ネッツとしてベンチからの起爆剤として起用できる選手が増え、大喜びだろう。


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大西玲央 Reo Onishi

大西玲央 Reo Onishi Photo

アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。