役割の変化で昨季と比較して平均得点が増減している選手たち

大西玲央 Reo Onishi

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毎年多くの選手が動くことで、NBAではチームにおける選手の役割が大きく変わっていく。スター選手が放出されたことによって大幅にプレイタイムを伸ばす選手もいれば、その逆で大型スコアラーがやってきたことによってプレイタイムやシュートする機会が大幅に減る選手もいる。

ここでは昨季の2022-2023シーズンと比較して、2023-2024シーズンの平均得点が最も増えている選手たちと、減っている選手たちに注目してみる。得点王ランキングに乗っ取り、シーズン試合数の7割に出場している選手を対象とした。

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平均得点が増えている選手

選手(チーム) 2022-23 2023-24
キャム・トーマス(BKN) 10.6 24.1 +13.5
コービー・ホワイト(CHI) 9.7 17.5 +7.8
シェイドン・シャープ(POR) 9.9 16.8 +6.9
タイリース・マクシー(PHI) 20.3 26.1 +5.8
スコッティ・バーンズ(TOR) 15.3 20.6 +5.3
デリック・ジョーンズJr.(CHI→DAL) 5.0 10.2 +5.2
ディアロン・フォックス(SAC) 25.0 30.1 +5.1
アルペレン・シェングン(HOU) 14.8 19.7 +4.9
オビ・トッピン(NYK→IND) 7.4 12.1 +4.7
ダリオ・シャリッチ(PHX, OKC→GSW) 6.4 10.6 +4.2

※日本時間12月21日の試合終了時点。

平均得点が大きく増えている選手を見てみると、前年までいた主要なスコアラーがチームから抜けたことで、役割が増えた選手が上位にランクインしているのがわかる。デイミアン・リラードが抜けたポートランド・トレイルブレイザーズのシェイドン・シャープ、ジェームズ・ハーデンが抜けたフィラデルフィア・76ersのタイリース・マクシーなどはその典型例だろう。

シカゴ・ブルズのコービー・ホワイトは、エーススコアラーの1人であるザック・ラビーンがケガで離脱して以降の10試合で平均24.6得点をマークしており、そのチャンスをものにしている。

ブルックリン・ネッツのキャム・トーマスは厳密にはシーズン試合数の7割にどちらのシーズンも1、2試合ほど足りていないのだが、その差が+13.5と突出しているのでランキングに入れることとした。得点能力の高さはこれまでも証明していながらも、なかなか出場時間を確保することができていなかったトーマス。今季は平均出場時間を昨季の16.6分から31.7分まで伸ばしており、それが平均得点の大幅増加に起因している。

移籍で得点を伸ばしている選手はあまり多くないなか、ブルズからダラス・マーベリックスに移籍したデリック・ジョーンズJr.と、ニューヨーク・ニックスからインディアナ・ペイサーズに移籍したオビ・トッピンはそれぞれ昨季在籍していたチームよりもオフェンスに絡む機会が増えている。ジョーンズJr.に至っては、ほとんどシュートすることもなかったところから、フィールドゴール試投数は2倍以上、3ポイント試投数は3倍以上に増えている。

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平均得点が減っている選手

選手(チーム) 2022-23 2023-24
クリスチャン・ウッド(DAL→LAL) 16.6 7.1 -9.5
ドリュー・ホリデー(MIL→BOS) 19.3 12.6 -6.7
ギャリー・トレントJr.(POR) 17.4 10.8 -6.6
デイミアン・リラード(POR→MIL) 32.2 26.3 -5.9
マーカス・モリス(LAC→PHI) 11.2 5.7 -5.5
クリス・ポール(PHX→GSW) 13.9 8.5 -5.4
ディアンドレ・エイトン(PHX→POR) 18.0 12.6 -5.4
ケリー・オリニク(UTA) 12.5 7.2 -5.3
トレイ・ジョーンズ(SAS) 12.9 8.0 -4.9
ラッセル・ウェストブルック(LAC) 15.9 11.1 -4.8

※日本時間12月21日の試合終了時点。

逆に平均得点が大幅に減っている選手は、移籍で役割や負担が変わった選手が多い。トップのクリスチャン・ウッドは、先発メンバーではなかったものの手薄なインサイドの主力だったダラス・マーベリックスから、アンソニー・デイビスという絶対的インサイドエースのいるロサンゼルス・レイカーズへ移籍し、チームから求められることが大きく変化した。

ミルウォーキー・バックスからボストン・セルティックスに移籍したドリュー・ホリデーは、これまでヤニス・アデトクンボとともに得点力も期待されていたが、セルティックスではジェイソン・テイタム、ジェイレン・ブラウン、クリスタプス・ポルジンギスなど得点を取れる選手が多く、得点以外のディフェンスやプレイメイクを求められることが増えた。

長年けん引してきたポートランド・トレイルブレイザーズを去り、ホリデーの抜けたバックスに加入したデイミアン・リラードは、今季もMVP級の活躍を続けるヤニスがいることで得点面での負担がこれまでよりも大きく軽減された。ヤニス自身も、リラードが来たことで試合終盤でのプレッシャーを分担できるようになったとコメントしており、お互いにとって良い効果が生まれ始めている。

平均得点が減るというのはマイナスなイメージを抱きがちだが、ウッドはレイカーズでインシーズン・トーナメント優勝に貢献、ホリデーとリラードはそれぞれ優勝候補の中心選手としてプレイしており、自らのスタッツを犠牲にすることがチームの勝利に結びつくケースと言える。

2月にはトレード期限が控えており、今回リストアップされた選手を含め、また大きく役割が変わることでスタッツが変動する選手は出てくるだろう。状況の変化に、選手たちがどのように対応できるか今後も注目だ。

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大西玲央 Reo Onishi

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アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。