引退を発表したパウ・ガソルの輝かしい功績

大西玲央 Reo Onishi

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10月5日(日本時間6日)、パウ・ガソルが現役引退を発表した。

ロサンゼルス・レイカーズでコービー・ブライアントともに2度の優勝を達成するなど、ガソルはバスケットボール界に数々の功績を残した。そんな彼のキャリアを振り返ってみよう。


20年以上のプロキャリア

NBAファンからすれば、ガソルは2001年のNBAドラフト全体3位でリーグ入りし、メンフィス・グリズリーズでキャリアをスタートさせたイメージが強いだろう。しかしこれよりも数年前の1998-99シーズンに、ガソルはスペインのFCバルセロナでデビューを果たしている。

デビュー年はわずか2試合の出場となったものの、翌年からプレイタイムを伸ばし、3年目となる2000-01シーズンには主力のひとりとして30試合に出場し、平均11.4得点、5.2リバウンドを記録し、ACBファイナルMVPに選出されるなどチームのリーグ制覇に大きく貢献。さらにユーロリーグでは6試合に出場し、平均18.5得点、6.0リバウンドと活躍した。

その活躍を受けてNBAでアトランタ・ホークスに指名を受けると、ドラフト当日にグリズリーズにトレードされる形で、NBAキャリアを開始。1年目から平均17.6得点、8.9リバウンド、2.7アシスト、2.1ブロックの活躍を見せ、2001-02シーズンのルーキー・オブ・ザ・イヤーに選出された。当時弱小だったグリズリーズを、わずか3シーズンで初めてのプレイオフ進出へと導いた。

その後もレイカーズ、シカゴ・ブルズ、サンアントニオ・スパーズ、ミルウォーキー・バックスなどでプレイし、NBAではキャリア平均17.0得点、9.2リバウンド、3.2アシスト、1.6ブロックという素晴らしい数字を残した。

NBAキャリア晩年はケガに悩ませることとなったが、2年間のリハビリを経て、ガソルは古巣のFCバルセロナに復帰し、ACBリーグ制覇に貢献。NBAキャリアをバルセロナ在籍で挟む形でプロキャリア終えた。

【動画】パウ・ガソル キャリア トップ10プレイ

NBA2連覇

Kobe Bryant, Pau Gasol

やはりガソルを語るにあたって、特筆すべきはレイカーズ時代の2連覇だろう。2008年2月にトレードでグリズリーズからレイカーズに移籍すると、コービーと強力なコンビを形成。2008年こそはNBAファイナルでセルティックス相手に敗れたものの、2009年と2010年には連覇を達成した。

2010年のセルティックスとのNBAファイナル第7戦では、19得点、18リバウンド(9オフェンシブリバウンド)、4アシスト、2ブロックの活躍で、優勝を決める一戦での勝利に貢献した。

キャリア最多1試合46得点

レイカーズ時代がガソルのピークだと考える人は多いかもしれない。実際優勝はレイカーズ時代のみなので、優勝で測るとそうかもしれない。しかし数字的には、レイカーズからブルズに移籍した2014-15と2015-16シーズンも決して劣っていない。

レイカーズ時代は429試合で平均17.7得点、9.9リバウンド、1.4ブロックの成績を残したが、ブルズ時代も150試合で平均17.6得点、11.4リバウンド、2.0ブロックを記録。3ポイントショット試投数も平均0.2本から0.6本に増やしながら、成功率を26.3%から37.9%に伸ばした。

1試合で獲得した得点数も、ブルズ在籍時にミルウォーキー・バックス戦で獲得した46得点がキャリア最多だ。この試合でガソルはフィールドゴール30本中17本、フリースロー13本中12本成功の、46得点、18リバウンド(8オフェンシブリバウンド)、3アシストという大活躍を見せ、チームを勝利へと導いている。

スペイン代表

Pau Gasol

ガソルの活躍の場はNBAだけではない。スペイン代表の一員として、スペインを世界の強豪チームへと押し上げた、いわゆる黄金世代のひとりでもある。

2006年に日本で開催されたFIBAバスケットボール世界選手権で金メダルを獲得すると、2009年、2011年、2015年には欧州選手権も制覇。さらにオリンピックには5回も出場しており、2004年のアテネ五輪では平均22.4得点で大会得点王に輝き、2008年の北京五輪、2012年のロンドン五輪で銀メダル、2016年のリオ五輪で銅メダルを獲得。2021年の東京五輪で5度目の出場を果たし、終了後に代表引退を発表した。

ブライアント一家との絆

レイカーズ時代にコービーの相棒として連覇を達成したガソルは、コービーのことを兄弟のように慕っていた。お互いのことをブラザーと呼び合う仲であり、コービーの死後も、その絆は変わっていない。

引退発表のスピーチ中も、コービーの話となると、涙を堪えながら話している姿がそこにはあった。


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大西玲央 Reo Onishi

大西玲央 Reo Onishi Photo

アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。