東決勝敗退のペイサーズのオフシーズン展望:注目はパスカル・シアカムのフリーエージェント

Gilbert McGregor

坂東実藍 Miran Bando

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NBAプレイオフ2024でイースタン・カンファレンス・ファイナル進出と予想外に躍進したインディアナ・ペイサーズのシーズンは不本意なかたちで終わりを迎えた。2014年以来となる地区決勝まで勝ち進んだが、第1シードのボストン・セルティックスにスウィープ(4勝0敗)で敗れている。

ペイサーズは継続的にタイトルを競うようなチームになるための道を予定より早く進んでいる。ベネディクト・マサリンがポストシーズンを欠場し、オールスター選手のタイリース・ハリバートンが左ハムストリングの問題でカンファレンス・ファイナル途中に離脱したことを考えれば、さらに印象的な躍進ぶりだった。

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ハリバートンの飛躍、そしてフリーエージェントになるリスクを負ってまでトレードでパスカル・シアカムを獲得したことが報われたのは、2023-2024シーズンのペイサーズのハイライトだった。また、アンドリュー・ネムハードとアーロン・ニスミスもブレイク。未来に向けてペイサーズが築いていく中で、彼らはどちらも重要な駒になると思われる。

ここ2シーズン、東地区決勝で敗れたチームは、翌シーズンのNBAファイナルに進出している(マイアミ・ヒートとセルティックス)。彼らに続きたいペイサーズには、何が待っているのか。

オフシーズンの注目ポイント:パスカル・シアカムの去就

Pascal Siakam
(NBAE via Getty Images)

今季のトレードデッドライン(トレード期限)を前に、ペイサーズはトロント・ラプターズからトレードでシアカムを獲得するという大きな一手に打って出た。

この取引には、シアカムがシーズン後にフリーエージェントになるというリスクが伴っていた。だが、レギュラーシーズン終盤に30歳となったシアカムは、ポストシーズンにペイサーズでオールスター級の活躍を披露。今後に向けた球団のビジョンにおける重要な一員となった。

ペイサーズはトレードでシアカムのバード権を引き継いでおり、2024-2025シーズンのサラリーキャップの約30%にあたる金額の5年契約を提示できる。予想では4230万ドル(約66億4110万円/1ドル=157円換算)だ。そのため、ペイサーズはシアカムとの契約を目指すかもしれない他チームに対して優位な立場にある。

1月、『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者は「シアカムはペイサーズの取引を喜んでおり、夏に球団との新契約を結びたいようだ」と報じていた。

ただ、シアカムは昨オフシーズン、できるだけ高額な年俸を手にすべく、延長契約にサインしなかった。デトロイト・ピストンズ、フィラデルフィア・76ers、オーランド・マジックといったチームは、十分なサラリーキャップが見込まれ、FA市場が始まったらシアカム陣営に連絡するかもしれない。

それは何を意味するのか。

加入間もないなかでのチームの成功が示すように、シアカムはペイサーズがイースタン・カンファレンスで上位を競っていけるようにできるタイプの選手だ。シアカム、ハリバートン、マサリンのトリオは、彼らを中心に築いていくだけの価値がある堅実な主軸だろう。

シアカムの去就に加え、オビ・トッピンの制限つきFAも大きな注目となる。オープンな市場で好条件を求めるかもしれないからだ。シアカムが大型契約を目指し、ハリバートンの延長契約もある。マイルズ・ターナーは2025年のFAに近づいている。ペイサーズは、財政的に重要な決断をいくつか下していかなければならない。

そしてすべてはシアカムから始まる。

ペイサーズの今後のフリーエージェント

このオフシーズンでFAになる可能性があるペイサーズの選手は9人。もちろん、より注目されるのは、ローテーションの主軸となるシアカムとトッピンだ。

ペイサーズはそれぞれチームの未来にとって重要な役割を担えるようになることを信じ、別々のトレードでシアカムとトッピンを獲得した。トッピンの制限つきFAという立場は市場価値に影響する。

無制限FA制限つきFAプレイヤーオプションチームオプション
ケンドル・ブラウンクエントン・ジャクソン*ジェイレン・スミス 
ジェームズ・ジョンソンオビ・トッピン  
ダグ・マクダーモットオスカー・シブエ*  
パスカル・シアカムアイザイア・ウォン*  

*2ウェイ契約

ペイサーズの今後のサラリーとロスター

ハリバートンは2023年に結んだ5年のマックス契約の1年目を迎える。今季、オールNBAサードチームに選出された24歳は、来季の年俸が4200万ドル(約65億9400万円)超。少なくとも2029年までの契約を結んでいる。

加えて、ペイサーズはマサリン、ネムハード、ニスミス、ベン・シェパード、ジェレス・ウォーカーといった若い中心選手たちが2024-25シーズン以降も契約下にある。

最大の問題は、2025年にFAとなるターナーだ。

選手2024-252025-262026-272027-282028-292029-30
タイリース・ハリバートン4230万ドル4570万ドル4910万ドル5250万ドル5580万ドルUFA
マイルズ・ターナー1990万ドルUFA    
アーロン・ニスミス1100万ドル1100万ドル1100万ドルUFA  
TJ・マコーネル930万ドル(NG)UFA    
ベネディクト・マサリン720万ドル920万ドル(TO)RFA   
ジェレス・ウォーカー640万ドル670万ドル(TO)850万ドル(TO)RFA  
ジェイレン・スミス540万ドル(PO)UFA    

アイザイア・ジャクソン

440万ドルRFA    
ベン・シェパード270万ドル280万ドル(TO)500万ドル(TO)RFA  
ケンドル・ブラウン210万ドル(NG)230万ドル(TO)    
アンドリュー・ネムハード200万ドル220万ドル(TO)UFA   

PO = プレイヤーオプション

TO = チームオプション

NG = 無保証

UFA = 無制限FA

RFA = 制限つきFA

ペイサーズのNBAドラフト2024の指名権

NBAドラフト2024でペイサーズには全体36位、49位、50位の指名権がある。

ラプターズからシアカムを獲得したトレードの一環で、ペイサーズには2024年のもともとの1巡目指名権がない。ラプターズ、クリーブランド・キャバリアーズ、ニューオーリンズ・ペリカンズからの2巡目指名権を持つ。1巡目の指名権はないが、2巡目指名権の価値は最近のネムハードが示している。

原文:Pacers eliminated from playoffs: Pascal Siakam's free agency a key offseason storyline in Indiana(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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Gilbert McGregor first joined The Sporting News in 2018 as a content producer for Global editions of NBA.com. Before covering the game, McGregor played basketball collegiately at Wake Forest, graduating with a Communication degree in 2016. McGregor began covering the NBA during the 2017-18 season and has been on hand for a number of league events.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。