ラッセル・ウェストブルック(現ロサンゼルス・レイカーズ)が2016-17シーズンのMVPに選ばれたのは、平均トリプルダブル(主要個人スタッツ3部門で1試合平均のアベレージで二桁の成績を記録すること)を達成したことが大きい。ケビン・デュラントがゴールデンステイト・ウォリアーズへ移籍したその当時、ウェストブルックはオクラホマシティ・サンダーをウェスタン・カンファレンスの第6シードに導き、殿堂入りしているオスカー・ロバートソンが1961-62シーズンに達成して以来、誰も近づけなかった快挙を達成した。
そして、ウェストブルックは翌シーズンも平均トリプルダブルを達成した。その翌シーズンもだ。そして、昨季(2020-21シーズン)もワシントン・ウィザーズで平均トリプルダブルを記録している。
オールスター選出9回のウェストブルックは、かつて珍しかった偉業をまるで普通のことのようにしたのだ。そして、多くのファンとアナリストは、とんでもないボックススコアにまるで無関心であるかのようになった。だが、ロバートソンは、そうであるべきではないと信じている。
ポッドキャスト『Knuckleheads』で、ロバートソンはウェストブルックのスタッツの偉業がメディアから軽んじられているようだと不満を表した。
ロバートソンは「今年のウェストブルックは平均トリプルダブルを達成したが、誰も気づかなかった」と話している。
「まるで大したことではないかのように考えているんだろう。まったくもって不当だと思う。彼は再び(MVPを)受賞すべきだったと思う。彼がまた(平均)トリプルダブルを達成し、(MVPを)受賞できなかったのなら、何のためにスタッツを残しているんだ?」
この夏にレイカーズにトレードされたウェストブルックは、昨季ウィザーズで平均22.2得点、11.7アシスト、11.5リバウンドを達成した。通算トリプルダブル回数でロバートソンを抜いている。だが、MVP投票では3位票が1つだけだった。デンバー・ナゲッツのニコラ・ヨキッチが、101の1位票のうち91票を獲得してMVPを受賞している。
ロバートソンは「私は(ウェストブルックが)偉大なバスケットボール選手だと思う。いくつかの奇妙な理由から、一部のスポーツライターがあのようなことを言っているが、理解できないね。理由が分からない。彼らはバスケットボールを盛り上げようとすべきだと思うからね」と話した。
「『彼はまたトリプルダブルを記録したけどチームは負けた』と言うが、だから何だというんだ? 結局のところ、毎年最後まで勝つの1チームだけなのに」。
分別のある人で、ウェストブルックの数字が素晴らしくないと言う人はいないだろう。だが、ロバートソンの主張は全体像を表していない。
ウィザーズはウェストブルック、そして得点ランクでリーグ2位だったブラッドリー・ビールを擁しているにもかかわらず、シーズン終盤の急上昇でなんとかイースタン・カンファレンスの第8シードに滑り込んだチームだ。それは、ビールのようなタレントがいなかった2016-17シーズンのウェストブルックがいたサンダーを下回っている。下位のチームの選手がMVPを受賞するのは難しいものだ(ステフィン・カリーに聞くべきだ)。
ロバートソンの大胆な見解は、ヨキッチのMVPシーズンの活躍も無視している。全72試合に出場し、平均26.4得点、10.8リバウンド、8.3アシストを記録した。シーズンを通じて平均25得点&10リバウンド&8アシスト超を達成するという、ロバートソンとウェストブルックの唯一の仲間入りを果たしている。負傷に苦しめられたナゲッツをウェスタン・カンファレンスの第3シード、そしてカンファレンス・セミファイナルに導いた。平均トリプルダブルまで平均1.7アシスト足りないだけだったのだから、ヨキッチのシーズンを捨て去るのは愚かというものだ。
"元祖ミスター・トリプルダブル”として、ロバートソンはウェストブルックを支持しなければいけないと感じているのかもしれない。ウェストブルックの偉大さを当たり前としてはいけないことの重要性に関しては、彼は正しい。
だが、MVPに関してはどうだろう? そうではないだろう。
原文: Oscar Robertson has a bold take about Russell Westbrook and last season's NBA MVP race(抄訳)