ウルブズの守備はヨキッチを止められるか? タウンズ&ゴベアが打倒ナゲッツの武器に?|NBAプレイオフ2024

Scott Rafferty

坂東実藍 Miran Bando

ウルブズの守備はヨキッチを止められるか? タウンズ&ゴベアが打倒ナゲッツの武器に?|NBAプレイオフ2024 image

デンバー・ナゲッツとミネソタ・ティンバーウルブズが再び対戦することになった。

昨季、この両チームはプレイオフ・ファーストラウンドで対戦した。第5戦でナゲッツがシリーズを制している。そして今季は、カンファレンス・セミファイナルで地区決勝への切符を競うことになった。

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ウルブズは昨季ナゲッツが倒した時以上のチームになっている。今季のレギュラーシーズンの成績はわずか1勝差。年間最優秀守備選手賞の候補であるルディ・ゴベアを筆頭に、リーグトップの守備を誇る。

その守備で、ウルブズは3回目のMVP受賞が近いニコラ・ヨキッチとの対戦という究極の試練に臨む。ウルブズは最もヨキッチをスローダウンさせられるかもしれないチームだ。

なぜウルブズはNBAで最もニコラ・ヨキッチに対抗できるかもしれないのか

ウルブズには大きな優位がある。サイズだ。

マイク・コンリーもアンソニー・エドワーズも、それぞれのポジションで特別に大きくはない。だが、ほかのスターター3人は、ジェイデン・マクダニエルズが6フィート9インチ(約206センチ)、カール・アンソニー・タウンズが7フィート(約213センチ)、ゴベアが7フィート1インチ(約216センチ)だ。

マクダニエルズが長くヨキッチにつくことはないだろう。それはタウンズとゴベアになる。リーグのマッチアップデータによれば、昨季のプレイオフで対戦した際、彼らがヨキッチに対応した時間はほぼ同じだ。

体重のアドバンテージがあるのはヨキッチだ。しかし、タウンズとゴベアはヨキッチよりもやや高い。ゴベアには7フィート9インチ(約236センチ)のウィングスパンもある。

  ニコラ・ヨキッチ カール・アンソニー・タウンズ ルディ・ゴベア
身長 6フィート11インチ(約211センチ) 7フィート(約213センチ) 7フィート1インチ(約216センチ)
体重 284ポンド(約129キロ) 248ポンド(約112キロ) 258ポンド(約117キロ)
ウィングスパン 7フィート3インチ(約221センチ) 7フィート3インチ(約221センチ) 7フィート9インチ(約236センチ)

ウルブズはタウンズにヨキッチをマークさせ、ゴベアがアーロン・ゴードンを守るようにするだろう。そうすれば、ゴベアが強みを発揮できる。

ゴベアはNBA史上有数のリムプロテクターだ。通算平均2.1ブロックを記録しており、これは歴代22位の数字。そしてこれは彼の守備力の一部でしかない。例えば、2023-2024シーズンでゴベアがバスケットにいた際の対戦相手のフィールドゴール成功率は49.2%。予想値を13.8%下回る数字だ。ゴベアがペイントにいる状態で得点をあげるのは、簡単なことではないのである。

ゴードンは必ずしもノンシューターではない。しかし、限界はある。2023-24シーズンの3ポイントショット試投は平均1.9本のみ。成功率は29.0%だ。


ヨキッチがバスケット付近でイージーなショットを打てず、ジャマール・マレーやケンテイビアス・コールドウェル・ポープ、マイケル・ポーターJr.といったより優れた3Pシューターにパスを出せなくなるなら、ゴベアとウルブズはゴードンに3Pを打たせるだろう。

Nikola Jokic vs. Timberwolves
(NBA)

シューターとしてのゴードンの限界は周知のとおりだ。対戦相手は、ヨキッチやほかの選手たちのバスケットへのレーンをふさげるようにと、ゴードンにスペースを与えることが少なくない。ゴードンはタイミングの良いカッティングで代償を払わせることができる。だが、ヨキッチが好むゴードンへのアリウープパスも、ゴベアの長い腕を越えなければならないとなると、やや難しくなるだろう。

タウンズの仕事は、できるだけヨキッチの前で保ち、ファウルせずにフィジカルな勝負をすることだ。ファウルをせずに、ということがポイントになる。タウンズはキャリアを通じてファウルトラブルで苦しんできたからだ。このシリーズでタウンズがおろかなファウルを犯す余裕はウルブズにない。

ニコラ・ヨキッチ対ウルブズのスタッツ

ヨキッチには、タウンズとゴベアに良い仕事をされてもウルブズを苦しめてきた歴史がある。

昨季のプレイオフ・ファーストラウンドでナゲッツが第5戦でウルブズを沈めた際、ヨキッチはシリーズ平均26.2得点、12.4リバウンド、9.0アシスト、FG成功率48.5%、3P成功率50.0%を記録した。第5戦でFG29本中8本成功だったにもかかわらず、だ。

2023-24シーズンのレギュラーシーズンでウルブズとナゲッツは4回対戦している。タウンズは1試合にしか出ていない。だが、ゴベアは3試合に出場した。それでも、ヨキッチは平均33.3得点、11.8リバウンド、4.3アシスト、FG成功率58.4%、3P成功率40.0%を記録している。

ウルブズ戦のニコラ・ヨキッチのスタッツ
シーズン 平均得点 平均リバウンド 平均アシスト FG成功率 3P成功率
2022-23 25.0 10.0 12.7 .600 .250
NBAプレイオフ2023 26.2 12.4 9.0 .485 .500
2023-24 33.3 11.8 4.3 .584 .400

これらの数字は、何よりもヨキッチの素晴らしさを物語っている。もはや、誰も、どんなことでも、彼を止めることは不可能かのようだ。王者と渡り合っていくには、できる限りでヨキッチとナゲッツにとって難しくすることが重要なのだ。

タウンズとゴベアを擁するウルブズには、そのために武器がそろっている。

原文:Nikola Jokic stats vs. Timberwolves: Why Karl-Anthony Towns, Rudy Gobert might be answer to NBA's hardest problem(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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Scott Rafferty is an experienced NBA journalist who first started writing for The Sporting News in 2017. There are few things he appreciates more than a Nikola Jokic no-look pass, Klay Thompson heat check or Giannis Antetokounmpo eurostep. He's a member of the NBA Global team.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。