ウルブズ優勝のキーマンに? NBAで最も過小評価される守備力のアレクサンダー・ウォーカー

Stephen Noh

坂東実藍 Miran Bando

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NBAドラフト2019で全体17位指名を受けたニキール・アレクサンダー・ウォーカーには、大きな期待がかけられていた。

シェイ・ギルジャス・アレクサンダーのいとこであるアレクサンダー・ウォーカーは、有望なところもうかがわせた。しかし、不安定なプレイにより、NBA入りしてからの4シーズンで2回トレードを経験している。

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そのアレクサンダー・ウォーカーがようやく見つけた家が、ミネソタ・ティンバーウルブズだ。ここで彼はリーグでも極めて貴重な役割を担っている。マークする相手を苦しめ、得点をあげるための賢いやり方を見つけようとしているのだ。

レギュラーシーズンの平均8.0得点という数字にだまされてはいけない。アレクサンダー・ウォーカーは、ウルブズのプレイオフを変えるかもしれない選手だ。チームのXファクターであり、ポストシーズンを長くするための鍵のひとつでもある。

攻撃でフィットしたニキール・アレクサンダー・ウォーカー

アレクサンダー・ウォーカーはただの3&D(3ポイントショットと守備を得意とする)スペシャリストではない。いとこのようにリムでフィニッシュする能力は持たないが、スター選手たちを生かしてプレイする、高い技術力を持ったガードだ。

ほかの選手なら得点後に歩くかもしれない時でも、アレクサンダー・ウォーカーはダッシュする。

これは、フェニックス・サンズのデビン・ブッカーが得点した後、チームメイトにスピードアップをうながし、ハーフコートを越えてボールスクリーンに向かう場面だ。

アレクサンダー・ウォーカーはそのアクションで決定的な存在となっている。相手が休むのを阻むのだ。

また、彼は優れたドライブとコートビジョンを兼ね備えている。スキップパスの名手で、フロアのどこにでもパスを通すことができる。

最も成長した点はショットだ。サンズはアンソニー・エドワーズを囲んだり、ダブルチームを仕掛けようとした。だが、アレクサンダー・ウォーカーがそこで活躍する。プレイオフ・ファーストラウンドの最初の2試合で3P成功率38.5%を記録しているのだ。

精度の高さは継続的で、今季のアレクサンダー・ウォーカーは平均4.1本試投と十分な量の3Pを放ちつつ、自己最高となる成功率39.1%をマークしている。大学時代も成功率38.3%とスキルをうかがわせていたが、プロレベルで安定するようになったのはウルブズに移籍してからだ。

プレイオフに臨む上でウルブズにとって大きな疑問符だったのは、エドワーズ以外に攻撃で他チームと競っていけるかどうかだった。アレクサンダー・ウォーカーはその答えを示している。

ニキール・アレクサンダー・ウォーカーはNBAで最も過小評価されているペリメーターディフェンダー

ウルブズのトップクラスの守備で最も称賛を浴びるのはルディ・ゴベアだ。しかし、彼がトップフォームに戻ったのは、エリート級のペリメーターディフェンダーがいるおかげというところも大きい。

ジェイデン・マクダニエルズがオールディフェンシブチーム選出で騒がれるのは当然だ。エドワーズが試合終盤に1on1で相手を封じようとするのも知られている。だが、彼ら以上に良いかもしれないのが、静かな暗殺者となっているアレクサンダー・ウォーカーだ。

アレクサンダー・ウォーカーのパフォーマンスを表すハッスルプレイの多くは、ボックススコアで称賛されるものではない。だが、タイムアウト直後のサンズのプレイを、ブッカーを追い立てて妨げている。

ブッカーは第2戦で6ターンオーバーだった。その彼のドライブを止め、パスを出させ、サンズの攻撃をリセットさせたのがアレクサンダー・ウォーカーだ。ケビン・デュラントを守ることも含め、アレクサンダー・ウォーカーはどんな挑戦にもひるまない。

アレクサンダー・ウォーカー相手に気を緩めることはできない。第1戦のユスフ・ヌルキッチのように、ハンドオフで怠ければ、アレクサンダー・ウォーカーはスクリーンをかいくぐり、ボールを奪い取る。デュラントのようにノックダウンしても、アレクサンダー・ウォーカーはすぐに立ち上がり、ジャンプショットにコンテストするのだ。

アレクサンダー・ウォーカーは粘り強いディフェンダーだ。ベンチスタートからのスーパーサブとなり、完全にキャリアを好転させた。プレイオフに入り、そのプレイはさらに向上している。このまま続ければ、ウルブズは多くの人を驚かせることになるかもしれない。

原文:Nickeil Alexander-Walker is NBA's most underrated defender and biggest X-factor in Timberwolves' title hopes(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。