富永啓生所属のネブラスカ大学とテキサスA&M大学の1回戦予想|NCAAトーナメント2024

Jacob Camenker

坂東実藍 Miran Bando

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「マーチ・マッドネス」(米大学バスケットボールNCAAディビジョン1男子バスケットボール・トーナメント)の予想で、第8シードと第9シードの対戦を予想する以上に難しいことはない。

歴史的に、本当にどうなるか分からない対戦だ。第8シードが勝率51.3%とわずかに上回っているが、過去2シーズンは第9シードが5勝3敗という成績だった。

第1シードがかつてのように不動の絶対的存在でなくなっている中、少なくとも第8シードか第9シードのどちらかが、スウィート16(ベスト16)に進出するチャンスを手にする傾向にある。

昨年は第9シードながらフロリダ・アトランティック大学(FAU)が歴史的なファイナルフォー(ベスト4)進出を果たした。ことし、ネブラスカ大学かテキサスA&M大学は、FAUの成功を繰り返すことができるだろうか。簡単ではないだろう。しかし、いずれにしても、接戦になるはずの両大による直接対決を制することがそのための第一歩となる。

ネブラスカ大(23勝10敗、カンファレンス12勝8敗)を率いるのは、フレッド・ホイバーグ・ヘッドコーチ。アイオワステイト大学で成功し、「市長」のニックネームで親しまれる指揮官は、ネブラスカ大も常にマーチ・マッドネスで脅威の存在となるようにしたいと願っている。攻撃をけん引するのは、日本のスーパースター、富永啓生。1回戦で重要な役割を担うはずだ。

一方、テキサスA&M大(20勝14敗、カンファレンス9勝9敗)で指揮をとるのはバズ・ウィリアムズHC。同大はリバウンドとハッスルプレイを重視する。攻撃の原動力となるのは、ウェイド・テイラー四世とタイリース・ラドフォードだ。

この両チームの対戦には、コート外での興味深いエピソードもある。ネブラスカ大の運動部責任者が最近退任し、テキサスA&M大の同ポジションに就任したのだ。

ネブラスカ大が雪辱を果たし、NCAAトーナメント初勝利をあげるのか。それとも、テキサスA&M大が小さな番狂わせを起こすのか。『スポーティングニュース』が分析する。

ネブラスカ大対テキサスA&M大のオッズ

ネブラスカ大はマーチ・マッドネスで白星をあげたことがない。だが、『BetMGM』のオッズでは、ネブラスカ大がわずかに有利とされている。試合は日本時間3月23日午前7時50分から。会場はテネシー州メンフィスのフェデックス・フォーラムだ。

ネブラスカ大学

今回のNCAAトーナメントに臨む上で、ネブラスカ大には明確なひとつのミッションがある。同大史上初めてマーチ・マッドネスで勝利を収めることだ。これまでは0勝7敗という戦績で、2000年以降にNCAAトーナメントに出場したのは一度のみ。2014年に第11シードで出場し、第6シードのベイラー大学に敗れている。

だが、今年のネブラスカ大は脅威のグループだ。うまくバランスがとれたチームで、特にペリメーターからの攻撃が強い。1試合平均出場20分超の6選手のうち、4選手が3ポイントショット成功率36.4%超を記録している。1試合平均の3P試投26.4本は、ディビジョン1の362チーム中26位タイの数字だ。

富永とブライス・ウィリアムズの3Pが好調である限り、ネブラスカ大は侮れない存在と見られるだろう。シーズン最後の3試合で1試合平均88.3得点をあげており、マーチ・マッドネス初勝利を目指すのに最適のタイミングで攻撃が好調だ。

ネブラスカ大にもろさがないわけではない。ビッグテン・カンファレンス・トーナメント準決勝でイリノイ大学に敗れており、Quad 1相手には4勝7敗という成績だ。

だが、彼らはシーズン最後の9試合で7勝をあげている。さらに、アイオワステイト大をNCAAトーナメントの有力チームとしたホイバーグHCの経験もある。パワーカンファレンスで唯一、NCAAトーナメントで勝ったことがない大学という不名誉なレッテルをはがすことができるかもしれない。

  • NETランキング:33
  • KenPomランキング:28
  • Quad 1 戦績:4勝7敗
  • Quad 2 戦績:5勝3敗
  • Quad 3 戦績:7勝0敗
  • Quad 4 戦績:7勝0敗
  • オフェンシブエフィシエンシー順位:36
  • ディフェンシブエフィシエンシー順位:30

主力選手

  • 富永啓生(G):平均14.9得点、2.3リバウンド、1.4アシスト
  • ブライス・ウィリアムズ(G):平均13.1得点、5.5リバウンド、2.4アシスト、1.1スティール
  • リンク・マスト(F):平均12.5得点、7.6リバウンド、3.0アシスト
  • ジュワン・ギャリー(F):平均11.7得点、6.2リバウンド、1.2アシスト、1.0スティール
  • CJ・ウィルチャー(G):平均7.9得点、1.5リバウンド、0.9アシスト

テキサスA&M大学

テキサスA&M大はネブラスカ大にとって興味深い相手だ。ともに攻撃で成功してきたが、そのやり方は異なる。

ネブラスカ大が強力な3Pに頼るのに対し、テキサスA&Mは違う。3P成功率は28.4%と全米344位だ。だからといって彼らが3Pを打つのをやめるわけではない。全米78位となる1試合平均試投24.2本を記録しているのだ。しかし、チームのトップスコアラーであるテイラー四世とラドフォードは、よりインサイドで相手にダメージを与える。

効率的な3Pなしに、いかにクオリティーの高い攻撃をするのか。テキサスA&M大は1試合平均のリバウンド(42.7)とオフェンシブリバウンド(17.3)が全米トップなのだ。1試合平均14.5オフェンシブリバウンド超を記録しているのは、テキサスA&M大以外に4校しかない。

オフェンシブリバウンドでポゼッションを増やすことで、テキサスA&M大はショット失敗を得点に結びつけることができる。ショット成功率は落ちるが、『KenPom』のオフェンシブエフィシエンシーでは31位だ。リバウンドや高さに難のあるチームにとって厄介な相手となる。

ただ、今季のテキサスA&M大は安定しなかった。それがNCAAトーナメントでも痛手となるかもしれない。サウスイースタン・カンファレンス準決勝でフロリダ大学に敗れるまでは、ケンタッキー大学との試合を含め5連勝を飾ったが、その前は5連敗を喫している。

しかし、ウィリアムズHCはポストシーズンの経験が豊富な指導者だ。適切なタイミングでチームが勢いに乗る助けとなるかもしれない。

  • NET ランキング: 45
  • KenPom ランキング: 44
  • Quad 1 戦績:7勝7敗
  • Quad 2 戦績:6勝3敗
  • Quad 3 戦績:2勝4敗
  • Quad 4 戦績:5勝0敗
  • オフェンシブエフィシエンシー順位:31
  • ディフェンシブエフィシエンシー順位:57

主力選手

  • ウェイド・テイラー四世(G):平均18.9得点、4.0アシスト、3.4リバウンド、1.9スティール
  • タイリース・ラドフォード(G):平均16.0得点、6.1リバウンド、2.4アシスト
  • ヘンリー・コールマン三世(F):平均8.8得点、5.8リバウンド、0.7アシスト
  • ソロモン・ワシントン(F):平均7.3得点、5.7リバウンド、0.8アシスト、1.0ブロック
  • ジェイス・カーター(G):平均6.7得点、4.6リバウンド、0.6アシスト

ネブラスカ大対テキサスA&M大の予想

ネブラスカ大とテキサスA&M大の一戦は、NCAAトーナメント1回戦で最も魅力的な試合のひとつとなるはずだ。前者は3Pに頼り、後者がセカンドチャンスからの得点とオープンなショットをつくることを重視と、スタイルが異なる2チームの対戦となる。

それでも、ネブラスカ大が有利なのは変わらない。テキサスA&M大がリバウンドで成功するのを抑えるだけのサイズもある。6フィート10インチ(約208センチ)のマストは強力なリバウンダーで、平均7.6リバウンドを記録している。集団でリバウンドを拾おうとするテキサスA&M大から、オフェンシブリバウンドの機会を奪うかもしれない。

そして3Pはネブラスカ大の大きなアドバンテージとなるだろう。不調でない限り、彼らは3PでやすやすとテキサスA&M大を上回るはずだ。富永とウィリアムズの最近のショットぶりを考えれば、ポストシーズンの緊張がない限り、ネブラスカ大の3Pは堅実だろう。

テキサスA&M大がネブラスカ大を倒せないということではない。ただテキサスA&M大はミスが許される余地が少なくなる。特に、ネブラスカ大のマストとギャリー(平均6.2リバウンド)がリバウンド争いで十分な出来を見せればなおさらだ。

だからこそ、ネブラスカ大が上位シードなのだろう。そしてこの対戦でやや有利な理由でもある。

原文:Nebraska or Texas A&M? How to pick 8 vs. 9 matchup in 2024 March Madness bracket(抄訳)
翻訳:坂東実藍

Jacob Camenker

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Jacob Camenker first joined The Sporting News as a fantasy football intern in 2018 after his graduation from UMass. He became a full-time employee with TSN in 2021 and now serves as a senior content producer with a particular focus on the NFL. Jacob worked at NBC Sports Boston as a content producer from 2019 to 2021. He is an avid fan of the NFL Draft and ranked 10th in FantasyPros’ Mock Draft Accuracy metric in both 2021 and 2022.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。