NCAAディビジョン1のネブラスカ大学に所属する富永啓生は、2月2日(現地1日)のウィスコンシン大学にオーバータイムの末に80-72で勝利した試合で、わずか2得点しかできなかった。今年1月には6試合連続で二桁得点をあげたが、その後3試合は3ポイントショットも不調で出場時間も減少していた。
しかし、2月5日(同4日)のイリノイ大戦では、自己最多の31得点(フィールドゴール14本中9本成功、3P7本中5本成功、フリースロー8本中8本成功)でチームをけん引。チームはオーバータイムの末に84-87で惜敗したが、富永は3リバウンド、3アシストと得点源以外でも活躍を見せた。
3Pを5本沈めた富永は、ネブラスカ大の選手として通算3P成功数(149)で、現在ロサンゼルス・クリッパーズで指揮を執るタロン・ルー(145)とクッキー・ベルチャー(146)を抜き、ネブラスカ大歴代トップ10入りを果たしている。
ネブラスカ大3年目のシーズンを迎えた富永は、チームの主力選手として確実に成長し続けている。その成長を現地記者はどう見ているのだろうか?
富永が決勝弾の3Pを沈めた1月21日(現地20日)のノースウェスタン大との試合後、2007年からネブラスカ大を取材する『Husker Online』のシニアライター、ロビン・ウォシャット記者が、『スポーティングニュース』の単独インタビューに応じ、富永の成長について語った。
以下、英語での質疑応答の翻訳(質問は要約)。
昨季の中盤に自分のリズムを見つけて自信を取り戻し、リムへのアプローチもできるように
——ネブラスカ大に来た頃と比べて富永啓生の成長をどう見ているか。
ウォシャット:僕が見てきて一番感じたのは、啓生がここに来た当初、フィジカル的にビッグ10カンファレンスの準備ができていなかったということだ。アグレッシブなディフェンスには本当に苦労していて、素早いキャッチ&シュート以外ではあまりインパクトを与えることができなかった。出場時間が制限されたのはそのためだ。
昨季は彼が少しずつ進化していくのを見ることができた。昨季の中盤、ちょうど故障者が出て、彼がラインナップに入らざるを得なくなって、長い時間プレイしなきゃいけないという状況になった。そこで、少し自分のリズムを見つけることができ、彼は自信を取り戻した。
自信が生まれ始めたことで、彼はほかの面でもより生産的になれたんだと思う。キャッチ&シュートだけでなく、リムへのアプローチもできるようになった。そうやって彼のゲームにほかの要素が加わることで、相手もペリメーターで彼を警戒するだけでは済まなくなった。フロア全体で彼をガードする必要が出てきたんだ。
今季の富永啓生はスカウティングレポートで一番上にいる選手になった
そして今季、彼のことは知れ渡って状況が大きく変わった。対戦相手のスカウティングレポートでは一番上にいる選手になった。相手チームは全力で彼を排除しようとしている。
今日もそうだった。彼に身体をぶつけたり引っ張ったりして、プレイしにくくしていた。でも、今の彼の成長は、それでもインパクトを与える方法を見つけていることなんだ。試合の大半はあまり活躍できなかったが、重要な場面でステップアップしてビッグショットを決めた。
ディフェンス面での成長のおかげで彼は完成された選手になりつつある
——今日は6リバウンドを記録している。
ウォシャット:そうなんだ。そのことからも、彼が単に3Pを打つだけの一芸に秀でた選手ではなくなってきているのがわかる。スティールが多い試合もあったと思う。
彼のそういうディフェンス面、リバウンドを取ることやリムへたどり着く能力、その成長のおかげで、3Pが決められなければ試合には出れなかったあの頃から考えたら、彼は完成された選手になりつつあると思う。
——来たばかりの頃は単なる3Pシューターに見られていたのか。
ウォシャット:多くは体格のせいだね。彼の強さは十分じゃなかったんだ。だから、彼は筋力とコンディショニングに注力した。彼がどれだけ筋肉をつけたか正確には知らないが、かなり強くなった。彼がここに来た当初と今とでは、写真を見てもまるで違う選手のように見える。彼は、あのフィジカルの強さとあのコンタクトの中で戦うことができるようになったことで、より多くのチャンスを作り出しているんだ。
富永は、今季ここまで21試合に出場し、1試合平均25.1分のプレイで13.9得点(FG成功率45.4%、3P成功率37.9%、FT成功率89.1%) 、2.0リバウンド、1.1アシスト、1.0スティールを記録。FG成功率と3P成功率以外はすべて昨季を上回っている。