NBA史上最も長かったシーズンに続くのは、間違いなく、史上最も激しくコンパクトなオフシーズンだ。今、それが始まった。
普段は夏の数週間をかけて行なわれるNBAのあらゆるビジネスは可能な限りタイトに詰め込まれ、今後数日の日程で行なわれる。
11月16日東部時間正午(日本時間17日午前2時)から、NBAの各チームはトレードが可能となった。NBAドラフト2020は、18日夜(同19日 午前9時30分)にバーチャル開催される。フリーエージェント交渉は20日東部時間午後6時(同21日午前8時)から可能だ。契約締結は22日東部時間正午(同23日午前2時)から解禁となる。
通常の年からするととても慌ただしい今年の重要日程は、各チームに通達された詳細なメモに記されていたものだ。『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者が15日(同16日)に最初にリポートし、『NBA.com』も情報を得ている。
今後の激しい活動に続き、リーグは12月1日(同2日)頃にトレーニングキャンプを始める計画だ。プレシーズンの試合は12月11日(同12日)から開始予定。そしてレギュラ-シーズン開幕は12月22日(同23日)となっている。
オーランドのバブルでロサンゼルス・レイカーズがマイアミ・ヒートに106-93で勝利した第6戦、NBAファイナル2020の最終戦から72日で新シーズン開幕となる。1年前も同じ間隔だったとしたら、2019-20シーズンの開幕は8月24日(同25日)になっていたことになる。
新シーズンの主要な日程をいくつか見てみよう。
- 実際のオールスターゲームがない「オールスター休暇」は、3月5日~10日(同6日~11日)。
- 72試合のレギュラーシーズンは5月16日(同17日)まで。
- 両カンファレンスのプレイイン・トーナメントは5月17日~21日(同18日~22日)に開催される。詳細は理事会の今後の承認が必要。だが、各カンファレンスの7位と8位が対戦し、敗者が9位対10位の勝者と対戦するだろう。その試合の勝者が最後のプレイオフ枠を手にする見込み。
- プレイオフのファーストラウンドは、5月22日(同23日)に開幕する。カンファレンス・セミファイナルは6月7日(同8日)から、カンファレンス・ファイナルは6月22日(同23日)頃からの予定。
- NBAファイナル2021は7月8日~22日(同9日~23日)にかけて行なわれる。
11月にNBA、少なくともNBAに関する活動や見出しがなくて困っていた人たちは、数日で満足できるかもしれない。「一時的な契約交渉猶予期間」という言葉は、16日正午(同17日午前2時)にすぐに取り除かれた。ロサンゼルス・レイカーズがダニー・グリーン、そしてドラフト28位指名権と引き換えに、オクラホマシティ・サンダーからデニス・シュルーダーを獲得すると報じられたのだ(リーグの規約により、トレードの成立はドラフト後の予定で、レイカーズはサンダーの代わりに28位で指名する見込み)。
契約にオプションがある選手たちも今週決断することになる。とりわけ注目されるのが、レイカーズのアンソニー・デイビスだ。昨季、得点(26.1)、リバウンド(9.3)、ブロック(2.3)でレイカーズのトップだったデイビスは、ロサンゼルスに残るためにより長期で高額の契約にサインできるように、2870万ドル(約30億円)のオプションを破棄すると見られている。
契約保証の締め切りやトレード例外条項の使用(もしくは失効)の期限等もシーズンがずれ込んだことによって改めて決定されなければならなかった。
パフォーマンスボーナスの基準は、普段の82試合ではなく、レギュラ-シーズンが72試合となったことに比例して割り当てられる。NBAとGリーグにプレイ時間を割く2ウェイ契約の選手たちへの制限も調整された。
NBAは2020-21シーズンのサラリーキャップを1億910万ドル(約114億円)に設定すると発表した。ラグジュアリータックス基準額は1億3260万ドル(約139億円)。これらはシーズン停止による経済的影響を和らげるため、昨季の収益を厳密に計算するというよりも「設定」されることになった。
シーズン再開やテレビ視聴に影響した夏と秋へのずれ込みのコストや、観客不在で試合を開催する必要などで、収益は10%減の83億ドル(約8672億円)と見積もられている。
昨シーズンが完遂されていなかった場合は、さらに15億ドル(約1567億円)の減収になっていたと報じられている。また、2020-21シーズン開幕をクリスマス前にすることで、1月以降に開幕した場合と比べ、5億ドル(約522億円)から10億ドル(約1045億円)の損失を抑えられる。
ラグジュアリータックスの負担は、リーグのバスケットボール関連収入見込額の不足率に応じて調整される。大きな支出があった球団を助ける一方で、このオフシーズンのためにコストを抑えたチームにとって痛手となる調整と見られている。
NBPA(選手会)との間で、エスクローシステム(第三者預託)の調整も行なわれた。これを通じ、選手とチームの一般的な収益分割は毎年調整される。今年とおそらく今後2シーズンは、減収に応じるべく、選手報酬の10%ではなく最大20%が引かれることになる。これは、2020年の痛手を一度に吸収するよりも、時間をかけて効果的に損失を軽減させる計画だ。
新シーズンに向けてまだ決まっていないのは、移動を抑える方法や、ファンないしメディアがアリーナに入場するための正式なプラン、そしてトロント・ラプターズが一時的なホームを見つけられるかどうかだ。現在の移動・隔離制限下で、他の29チームはラプターズのホームゲームのためにカナダ国境を越えることができないのだ。
原文: NBA's mad offseason dash begins Monday by Steve Aschburner/NBA.com(抄訳)