NBA5年目の開幕を迎える渡邊雄太 一問一答「要らないと思われたら切られるだけ。そこはわかり易くていい」

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杉浦大介 Daisuke Sugiura

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10月17日(日本時間18日)、今オフ最大の目標のひとつだった開幕ロスター入りが決まったブルックリン・ネッツのフォワードの渡邊雄太が、HSSトレーニングセンター(ニューヨーク州ブルックリン)での練習後、日本メディアとの囲み取材に応じた。

NBAは18日(同19日)に通算77回目のシーズンとなる2022-23シーズンが開幕。渡邊が所属するネッツは19日(同20日 午前8時30分)に本拠地バークレイズ・センターで開催されるニューオーリンズ・ペリカンズ戦で新シーズンの開幕を迎える。

以下、日本選手史上最長となるNBA5年目を迎えることとなった渡邊の一問一答をお届けする(抜粋。質疑はすべて日本語。質問は概要)

ネッツは本当にとてもバスケットがしやすい

――開幕を前にした現在の心境。

渡邊:とりあえず開幕のロスターには残ったということです。僕は2日前、試合(プレシーズンのミネソタ・ティンバーウルブズ戦)が終わった次の日の朝にエージェントを通して聞いて、その日はチーム練習がオフだったんで、その次の日に体育館に来たときに(ショーン・マークス)GMから直接おめでとうと言ってもらいました。

――プレシーズン中に残れるという感触はあったか。

渡邊:そこに関してはあまり深く考えないようにしようと思っていました。あまり考えすぎると自分のプレイができなくなるかなと思ったんで。いつも通りの練習からやってることを試合で出せば、評価してくれるだろうなっていうのは感じていました。自分らしさっていうのをしっかり出していけば、後々何かに繋がっていくんじゃないかなっていう感じでした。だから、契約がどうのこうのとかは、始まってからはあまり考えないようにしていました。

――ネッツというチームの魅力。

渡邊:何でもできる選手がこれだけたくさんいる。だから僕は自分の仕事により集中しやすいというか、自分がやらなきゃいけないことだけにフォーカスしてやることができるんで、そういった意味でも、本当にとてもバスケットがしやすいです。チームとして良い雰囲気でここ数日ずっとやれてると思うんで、開幕がほんと楽しみですね。

――プレシーズンで地元メディアの評価が高かった。しっかりとアピールできたのか。

渡邊:やっぱり(大事なのは)ディフェンスと3ポイントショットだと思っていました。僕がこのチームに残るために、そこは最低限できたんじゃないかなって思っています。ディフェンスもとにかくしっかり頭を使ってエナジーを出して守ることができたと思います。3Pも数字(試投数)自体はそんなに多くないですけども、毎試合しっかり高確率で決めれてたんで、最低限のことはやれてたんじゃないかなって思ってます。

今まで継続してきたことがちょっとずつ力になっている

――鍵になる3Pは成功率50%(今プレシーズン通算で10本中5本成功)。シュートは好調なのか。

渡邊:練習からかなりシュートは決められてると思いますし、今まで継続してきたことがちょっとずつ力になっているのかなっていう感じです。ただ、あくまでプレシーズン(での成績)なので、実際シーズンに入るともっとディフェンスの強度も上がってきます。スカウティングもこれからお互いしっかりやっていくなかで、このプレシーズンでは3Pを高確率で決めてた分、僕に簡単にシュートを打たせないっていう(戦術に)絶対なってくるんで、そのなかでいかに高確率を保てるかっていうのが大事になってくると思います。

――ケビン・デュラントと毎日、マッチアップしていると話していた。おかげで自身のレベルも引き上げられたと感じるか。

渡邊:そうですね、たぶん上がってるんじゃないかなって思うんですけど…ちょっと正直、まだレベルの差がありすぎる部分はあるんで、あんまり実感的にはわからないですね。練習ではもう、やられ過ぎて、ほんと自信なくなるぐらいボコボコにされてるんで(笑)。その分、実力がついていればいいんですけど、ちょっとあまりそこの手応えはまだ感じれてないですね。

――KDの攻略法を見つけると話していたが。

渡邊:『ない』が正解かもしれないですね(笑)

――キャンプ開始前に楽しみたいと話していたが、実際には重圧もあったなかで、気持ちの持ち方は。

渡邊:終わってみたら楽しめたのかなとは思いますけど、その瞬間、瞬間で見たら、正直しんどかったです。もう何年も同じことをやっていますけど、毎回1からの繰り返しなんで。それを今までも経験している分、またここからか、またここからか、という感じっていうのはその瞬間、瞬間、もちろんありました。ただ、実際こうやって結果もついて来てますし、チームも僕をとりあえず開幕ロスターに入れてくれるってことなんで、本当に今回、ブルックリンに来てよかったなって思っています。

要らないと思われたら切られるだけ。そこはわかり易くていい

――去年(※注:2021-22シーズンはトロント・ラプターズ所属)までとチームから求められるもの、役割に変化は。

渡邊:そんなに変化はないのかなという感じです。自分の気持ちの持ち方として、ほかは本当に全部、彼らがやってくれるので、より自分のやらなければいけないことに集中できます。ディフェンスと3Pを最低限できなければ、このチームは契約上、僕をいつでもカット(契約解除)できます。

ただ、僕はそれもプラスに捉えています。この契約でも僕を残してくれるということは、それだけチームが僕を必要としてくれているということ。要らないと思われたら切られるだけなんで、そこはわかり易くていいかなと思っています。まず、とにかく3Pの練習を徹底的にやって、チームに『やっぱり雄太を最後まで残さないといけない』と思ってもらえるような選手にならないといけないなと思っています。

――優勝を狙うチームでプレイすることでこれまでと違うプレッシャーは。

渡邊:周りからは勝って当たり前と思われている部分もあるでしょうし、逆にこれだけスター選手が揃っていると、負けを望む人っていうのがたくさんいると思います。そのなかで勝ち切れるチームっていうのが本当に強いチーム。もちろんチームとしてそういうプレッシャーはあるんですけど、周りは周りであまり気にせず、自分たちは自分たちの、お互いのことを信じて、一つひとつのゲームをまず目の前の試合を勝っていくことに集中すれば、シーズンを通して結果は必ずついてくると思います。

――ネッツのキャンプ契約を受け入れるのに奥様の言葉もきっかけになったと話していた。開幕ロスター入りを伝えた際の奥様の反応は。 

渡邊:なんか、結構、しらーっとしてました(笑)。毎日いろいろ話しているんで、僕が調子良かったのも知ってますし。もちろん、すごい喜んではくれたんですけど、これで僕が満足していないっていうのもわかってくれていますし、ここからまだまだ続くっていうのも理解してくれています。だから、あまりオーバーリアクションはなくて、それは良かったなと思っています。

――今後の自宅。

渡邊:家を決めたところでカットされたら無駄になっちゃうんで、ずーっとホテルでした。これでようやく家探しを今日から始めます。

取材・構成:杉浦大介

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ

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東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している。