2020-21シーズンのトレードデッドラインは3月。期限日をもってシーズン中のトレードはすべて締め切られることになる。
NBAにおけるトレード期限とはいったい何なのかを詳しく解説しよう。
トレード期限はいつ?
NBAは2017年、トレード期限がこれまでのNBAオールスターゲームの次の木曜日から、オールスターゲームより10日前の木曜日に変更されることを発表した。
しかし、2020-21シーズンは例年通りのスケジュールで行なわれていないため、トレード期限も変更されている。今年のオールスターゲームはジョージア州アトランタで3月7日(日本時間8日)に行なわれ、トレード期限は3月25日の午後3時(米国東部標準時間)に設定されている。日本時間では3月26日の午前4時だ。
トレード期限の歴史
1947年1月
1月1日から1月20日の午前0時に変更。
1949年1月
2月10日に変更。
1965年2月
2月1日の午前0時に変更。
1978年6月
2月15日に変更。
1987年4月
シーズン開幕から16回目の木曜日の午後9時(東部標準時間)に変更。
1999年
シーズン開幕から17回目の木曜日の午後6時(東部標準時間)に変更。
2002年
時間が午後3時(東部標準時間)に変更。
2017年6月
NBAオールスターゲームより10日前の木曜日に変更。
トレードとサラリーキャップ
NBAでは選手を交換するトレードを行なうことができるが、多くの制限が存在する。トレードの結果、チームの年俸総額がサラリーキャップを10万ドル以上超過する場合、チームはトレード例外条項を利用して、そのトレードを実行することが可能だ。
トレードには同時に行なわれるもの(simultaneous)と、別々で行なわれるもの(non-simultaenous)が存在し、それぞれにトレード例外条項が存在する。
同時に行なわれるトレードの場合、ラグジュアリータックスの域に入っていないチームは、トレードする選手の代わりに1人または複数の選手を獲得することができる。その場合、トレードで受け取れる年俸総額には、放出される年俸総額によって上限が存在する。上限のルールは以下の通り:
・放出される年俸総額が653万3333ドルまでの場合、受け取れるのは放出額の175%+10万ドルまで。
・放出される年俸総額が653万3334~1960万ドルまでの場合、受け取れるのは放出額+5万ドルまで。
・放出される年俸総額が1960万ドルを超える場合、受け取れるのは放出額の125%+10万ドルまで。
ラグジュアリータックスの域に入っているチームは、トレードする選手の代わりに1人または複数の選手を獲得することができ、受け取れる年俸総額の上限は放出される年俸総額の125%+10万ドルまでとなる。
別々のトレードとして行なわれる場合、チームは放出した選手の年俸総額をトレーデッドプレイヤー例外枠(Traded Player Exception/以下TPE)として受け取ることとなる。例えば年俸600万ドルの選手を、過去にドラフト指名された選手の交渉権などと引き換えにトレードで出した場合、選手を放出したチームは600万ドルのTPEを受け取る。
このTPEは、トレードから1年間有効で、それを利用して1人または複数の選手を獲得することができる。しかし、受け取る選手の年俸総額はTPEの100%+10万ドルを超過してはならない。
サラリーキャップを下回っているチームの場合、トレードで選手を獲得した結果、チームの年俸総額がサラリーキャップ+10万ドルを超過してはならない。
サイン&トレードなどが行なわれた場合は、上記で説明したTPE額を生み出さないケースも存在する。具体的なケースとしては、バード例外条項またはアーリーバード例外条項を適用した上で行なわれるサイン&トレードが挙げられる。これを適用し、新契約の初年度年俸がこれまでの年俸よりも120%増額される場合、これまでの契約の最終シーズンの額と新契約初年度の50%で多いほうの額がその選手のトレードで発生するTPE額となる。
2017-18シーズン以降に契約または延長された契約の場合:
(1) 契約の一部だけが保証されている選手の場合、トレードで発生するTPE額は契約の全体ではなく保証された額となる。
(2) レギュラーシーズン最終日の翌日以降に行なわれたトレードは、TPE額は選手の翌シーズンの保証された額となる。
その他の例外ルール
選手と契約または選手を獲得するにあたって、2つ以上のTPEを組み合わせて使用することはできない。
その他のトレードルール
サイン&トレード
自チームのフリーエージェントでない限り、他チームにトレードする前提でフリーエージェントと契約することはできない。
さらにサイン&トレードを行なうためには以下の条件が必要となる:
・契約の長さは3~4年。
・契約の初年度は完全保証。
・契約はレギュラーシーズン初日より前に開始される。
・契約するチームで直近のシーズンを終えている。
※サイン&トレード契約の年間昇給率は契約初年度の5%が上限。
サイン&トレードを行なった場合、契約したほうのチームは"ハードキャップ"となり、チームの年俸総額がタックスエプロン額を超えてはならない。
延長契約&トレード
・最長3年(元の契約の残り年数も含む)。
・初年度年俸上限:前の契約最終年の105%。
・年間昇級率上限:新契約初年度の5%。
もし上記を超過するような契約だった場合、チームは延長契約が適用されてから6か月間その選手を他チームにトレードすることができない。
もしチームが選手をトレードで獲得した場合、そのチームはトレードから6か月間は上記を超過するような延長契約を結ぶことができない。
金銭譲渡
2018-19シーズンのトレードにおける金銭譲渡の上限は、合計524万3000ドルまで。支払った額が受け取った額で相殺されることはない。トレードでの金銭譲渡の上限は、シーズンのサラリーキャップの増減に合わせて変化する。
1年契約
1年契約を結び(オプションなどは含まれない)、同契約終了時にバードまたはアーリーバード・フリーエージェントになる選手は、その選手の同意がなければトレードすることができない。
もし選手が同意した上でトレードされた場合、同選手は全ての"バード"権利を失うこととなる(フリーエージェントとして新チームに移籍した場合と同様に扱われる)。
新契約のトレード制限
ドラフト指名されて契約したルーキーまたは2ウェイ契約を結んだ選手は契約から30日間トレードすることができない。
契約したフリーエージェント(または2ウェイ契約から本契約に切り替えられた選手)は、契約をしてから3か月間かそのシーズンの12月15日のどちらか遅いほうまでは、トレードすることができない。
サイン&トレードの場合、先述のルールは適用されず、それ以降のトレードでのみ適用される。
さらに、バードまたはアーリーバード・フリーエージェントと契約することでチームの年俸総額がサラリーキャップを超過し、同選手の契約1年目の額が前シーズンより120%増えている場合、先述のルールは適用されない。代わりに、契約してから3か月間かそのシーズンの1月15日のどちらか遅いほうまでトレードすることができない。
トレードされた選手が新チームにそのまま契約を解除された場合、トレード元のチームは同選手をウェイバー期間中に獲得することはできない。さらに以下の条件の早いほうまでは、同選手と新たに契約することはできない:
・トレードが行なわれてから1年後。
・同選手の契約最終シーズン後に訪れる7月1日。