【NBAスタッツ】クォーター毎に強いチームはどこ?

大西玲央 Reo Onishi

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NBAの試合では、一方のチームが調子の良い時間帯というものが見られることが多々ある。試合の出だしに強いチーム、ハーフタイム明けに仕掛けてくるチーム、試合終盤にやたらと強いチームなど、マッチアップや状況によって様々だが、実際にクォーター毎にどのチームが強いのかを数字で見てみよう。

まずは試合の流れを組み立てるのに重要な、第1クォーターのレーティングをチェックしてみよう。

  • オフェンシブレーティング(100ポゼッション平均での得点、高い方が得点力がある)
  • ディフェンシブレーティング(100ポゼッション平均での失点、低い方が守備力がある)
  • ネットレーティング(オフェンシブレーティングとディフェンシブレーティングの差分)

※スタッツはNBA.com/Statsより、日本時間1月13日現在

第1クォーター

オフェンシブレーティング

  1. ユタ・ジャズ 117.7
  2. インディアナ・ペイサーズ 116.3
  3. フィラデルフィア・76ers 114.1
  4. ブルックリン・ネッツ 113.7
  5. トロント・ラプターズ 113.6

ディフェンシブレーティング

  1. クリーブランド・キャバリアーズ 98.3
  2. フェニックス・サンズ 103.0
  3. マイアミ・ヒート 103.4
  4. ミネソタ・ティンバーウルブズ 103.6
  5. ダラス・マーベリックス 104.2

ネットレーティング

  1. クリーブランド・キャバリアーズ 14.1
  2. ユタ・ジャズ 11.1
  3. マイアミ・ヒート 8.6
  4. ミネソタ・ティンバーウルブズ 8.3
  5. フェニックス・サンズ 8.0

やはり突出しているのは、キャバリアーズのディフェンシブレーティング98.3だろう。今季はジャレット・アレンとエバン・モーブリーという強力なインサイドコンビがキャバリアーズのリングを守っている。試合開始からそれが数字に現れており、相手の出鼻を挫くことに成功している。

第2クォーター

オフェンシブレーティング

  1. デンバー・ナゲッツ 120.1
  2. シカゴ・ブルズ 115.8
  3. メンフィス・グリズリーズ 115.0
  4. インディアナ・ペイサーズ 114.9
  5. アトランタ・ホークス 113.7

ディフェンシブレーティング

  1. フェニックス・サンズ 101.6
  2. ミルウォーキー・バックス 102.8
  3. ブルックリン・ネッツ 103.0
  4. ボストン・セルティックス 103.6
  5. ロサンゼルス・クリッパーズ 104.0

ネットレーティング

  1. デンバー・ナゲッツ 14.6
  2. ミルウォーキー・バックス 10.6
  3. メンフィス・グリズリーズ 8.4
  4. フェニックス・サンズ 8.1
  5. シカゴ・ブルズ 8.0

ここで一気に浮上するのが、ナゲッツ、ブルズ、グリズリーズの3チームだ。第1クォーターで相手の出方を見た上で、第2クォーターに強力なオフェンスで相手の守備を攻略しているかのように、それぞれがオフェンシブレーティングの数値を上昇させている。

第3クォーター

オフェンシブレーティング

  1. ユタ・ジャズ 118.8
  2. アトランタ・ホークス 118.7
  3. シャーロット・ホーネッツ 117.8
  4. ミネソタ・ティンバーウルブズ 115.4
  5. ゴールデンステイト・ウォリアーズ 115.1

ディフェンシブレーティング

  1. ゴールデンステイト・ウォリアーズ 97.6
  2. フェニックス・サンズ 103.7
  3. オクラホマシティ・サンダー 104.6
  4. クリーブランド・キャバリアーズ 105.0
  5. ロサンゼルス・クリッパーズ 106.4

ネットレーティング

  1. ゴールデンステイト・ウォリアーズ 17.5
  2. シャーロット・ホーネッツ 7.9
  3. マイアミ・ヒート 7.2
  4. ボストン・セルティックス 7.0
  5. ミネソタ・ティンバーウルブズ 6.7

後半に入って初めて浮上するのがウォリアーズだ。オフェンシブレーティング、ディフェンシブレーティング、ネットレーティングの全てでトップ5に入っており、ハーフタイムでのチームの戦略変更や意識の切り替えに成功していることがよくわかる。名将スティーブ・カー・ヘッドコーチの顔が浮かんでくる。

第4クォーター

オフェンシブレーティング

  1. ユタ・ジャズ 115.4
  2. シカゴ・ブルズ 114.3
  3. オーランド・マジック 114.3
  4. フェニックス・サンズ 113.7
  5. ワシントン・ウィザーズ 113.5

ディフェンシブレーティング

  1. ゴールデンステイト・ウォリアーズ 99.4
  2. フィラデルフィア・76ers 101.1
  3. サンアントニオ・スパーズ 103.7
  4. ブルックリン・ネッツ 104.7
  5. ミルウォーキー・バックス 105.4

ネットレーティング

  1. ゴールデンステイト・ウォリアーズ 12.5
  2. サンアントニオ・スパーズ 9.1
  3. ユタ・ジャズ 8.4
  4. フェニックス・サンズ 4.6
  5. シャーロット・ホーネッツ 4.6

ウォリアーズは最終クォーターでもその強さを見せつけている。ステフィン・カリーというリーグ史上最高のシューターがいるだけにそのオフェンス力が注目されがちだが、第4クォーターのオフェンシブレーティングは111.9で11位とリーグの中間に位置している。ウォリアーズの終盤の強さの秘訣は、そのディフェンス力にあるのだ。

逆に心配なのは、前半に強さを見せていたナゲッツだ。トップ5のランキングに入っていないどころか、オフェンシブレーティングが99.3で最下位、ディフェンシブレーティングが114.0で28位、ネットレーティングが-14.6で最下位と一気に数字を落としている。


あくまでも40試合ほどの平均スタッツなので、毎回こういう流れになるわけではないが、クォーター毎に見てみると、ある程度のチームの性質がわかる。今後「このチームは後半に強いからまだ油断できない」など、観戦する際の材料として利用してみて欲しい。

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大西玲央 Reo Onishi

大西玲央 Reo Onishi Photo

アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。