【NBAスタッツ】昨季からレーティングに大きな変化が見られるチームたち

大西玲央 Reo Onishi

【NBAスタッツ】昨季からレーティングに大きな変化が見られるチームたち image

今季はファウルの吹かれた方が変わったことや、ボールがスポルディング社からウィルソン社に変更されたことなどが影響しているのか、昨季よりもリーグ全体の得点力が落ちていることが特徴だ。オフェンシブレーティング(100ポゼッション平均での得点、高い方が得点力がある)とディフェンシブレーティング(100ポゼッション平均での失点、低い方が守備力がある)はリーグ全体で昨季の112.3から108.4まで、3.9ポイント低下している(日本時間12月2日終了時点)。

それでは、両レーティングを基準に、昨季から大きく変化のあったチームを見ていってみよう。

オフェンシブレーティング

  チーム 昨季比
1. ゴールデンステイト・ウォリアーズ +1.9
2. クリーブランド・キャバリアーズ +1.5
3. シャーロット・ホーネッツ +1.1
4. マイアミ・ヒート -0.1
5. シャーロット・ホーネッツ -0.4

ほとんどのチームが数字を落としているなかで、ウォリアーズ、キャバリアーズ、ホーネッツの3チームは昨季からオフェンシブレーティングが上昇している。

ステフィン・カリーというリーグ屈指のシューターがいるウォリアーズは、昨季の放ったフィールドゴールのうち43.9%が3ポイントショットだったのだが、今季はさらに本数を増やし全体の47.5%が3Pショットとなっている。3Pを増やすことで、得点力を上昇させている形だ。さらにここにクレイ・トンプソンが加わることを考えると、今後もこのペースを維持できる可能性が高そうだ。

2位のキャバリアーズも同様に、3Pの比率を34.7%から40.9%まで増やしている。オフェンシブレーティングの上昇自体は+1.5と少ないものの、昨季はリーグ平均よりも6.5ほど下回っていたのに対して、今季はリーグ平均よりわずか1.1しか下回っていないことから、相対的に見れば得点力が大幅に向上していることがわかる。

ホーネッツは3P比率は大して変わっていないものの、オフェンスのペースが大幅に速くなっており、1試合平均のFG試投数を昨季の87.8本から、今季はリーグ2位の93.3本まで増やしているのが、レーティングの向上に繋がっている。

  チーム 昨季比
26. ニューオーリンズ・ペリカンズ -7.6
27. デトロイト・ピストンズ -7.7
28. ブルックリン・ネッツ -7.8
29. デンバー・ナゲッツ -9.1
30. ロサンゼルス・クリッパーズ -11.6

一方でオフェンシブレーティングを落としてる下位チームを見てみると、どれも昨季主力だった選手がケガなどで欠場しているチームであることがわかる。クリッパーズに関しては、昨季カワイ・レナードが出場している時と出場していない時のチームのオフェンシブレーティングの差が11.0であり、その数字がそのまま今季に反映されていることも興味深い。

ディフェンシブレーティング

  チーム 昨季比
1. ゴールデンステイト・ウォリアーズ -9.7
2. クリーブランド・キャバリアーズ -9.3
3. ミネソタ・ティンバーウルブズ -8.4
4. フェニックス・サンズ -7.3
5. ブルックリン・ネッツ -7.3

ここでも1位と2位にウォリアーズとキャバリアーズがランクインしており、今季の好調ぶりを物語っている。キャバリアーズは特にルーキーのエバン・モーブリーが出場している時間帯のチームのディフェンシブレーティングは99.6まで落ちることから、彼の存在が相手のオフェンスを大きく左右させていることがわかる。

最近調子が上がっているティンバーウルブズも、昨季からディフェンスが大きく改善されており、相手のシュート率を下げている。

  チーム 昨季比
26. ニューオーリンズ・ペリカンズ -0.2
27. ニューヨーク・ニックス +0.5
28. ロサンゼルス・レイカーズ +1
29. フィラデルフィア・76ers +1.6
30. メンフィス・グリズリーズ +3.2

グリズリーズは昨季比だけでなく、ディフェンシブレーティング自体が今季はリーグ最下位だ。平均スティール数は9.4本のリーグ3位、平均ブロック数は6.3本のリーグ1位ではあるものの、それ以外の面で数字を落としており、スティールとブロックだけではチームの守備力が測れない典型例となっている。

特に対戦相手の3P成功率38.9%はリーグ最下位で、ペリメーターで相手を上手く守れていないことが数字として表れている。

ネットレーティング

  チーム 昨季比
1. ゴールデンステイト・ウォリアーズ +11.6
2. クリーブランド・キャバリアーズ +10.8
3. ミネソタ・ティンバーウルブズ +6.6
4. シカゴ・ブルズ +5.5
5. マイアミ・ヒート +4.2

オフェンシブレーティングとディフェンシブレーティングの差がネットレーティングだ。高ければ高いほど、オフェンスとディフェンスが共に上手く回っていることとなる。昨季と比較すると、シーズン成績で今季大きく躍進を見せているチームが揃っていることから、その数字にも頷ける。

  チーム 昨季比
26. デトロイト・ピストンズ -5.2
27. ロサンゼルス・クリッパーズ -5.4
28. メンフィス・グリズリーズ -5.4
29. デンバー・ナゲッツ -5.5
30. ニューオーリンズ・ペリカンズ -7.4

一方でこちらが、昨季から大きく数字を落としてしまっているチームだ。やはりクリッパーズ、ナゲッツ、ペリカンズなど、ケガをしている主力の顔が浮かぶチームが多い。グリズリーズは大きく下げながらも11勝10敗となんとか勝ち越しているものの、エースのジャ・モラントの離脱がどう影響してくるかが気になるところだ。

シーズンも4分の1を終え、ある程度のチーム像が見えてきた。逆に課題も浮き彫りになってきたこともあり、各チームがどう対応していくのかに注目したい。

NBA Rakutenで試合を見る

大西玲央 Reo Onishi

大西玲央 Reo Onishi Photo

アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。