【NBAスタッツ】プルアップショットを得意とする選手たち

大西玲央 Reo Onishi

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ジャンプショットは大きく分類すると、ふたつのタイプに分けることができる。キャッチ&シュートとプルアップだ。

キャッチ&シュートはその名の通り、味方からパスを受け、そのままドリブルせずにシュートすることだ。ブルックリン・ネッツのジョー・ハリスや、復帰が待ち遠しいゴールデンステイト・ウォリアーズのクレイ・トンプソンなんかを想像するとわかりやすいだろう。

一方でプルアップは、ドリブルからの流れで放たれるジャンプショット。難易度は一気に高まるものの、自らスペースを生み出して打てることからオフェンスの選択肢が増え、ディフェンス側は守りにくくなり、高い確率で決められればとても強力な武器となる。

今回はリーグでプルアップショットを得意としている選手に注目してみよう。

※参考:NBA.com/stats(日本時間12月16日現在)

平均プルアップショット試投数ランキング

選手 FGM FGA FG%
ルカ・ドンチッチ(マーベリックス) 4.8 13.5 35.6%
ポール・ジョージ(クリッパーズ) 4.3 11.7 37.0%
トレイ・ヤング(ホークス) 4.9 11.6 42.5%
ケビン・デュラント(ネッツ) 5.3 11.3 47.4%
デマー・デローザン(ブルズ) 5.4 10.5 51.4%
デビン・ブッカー(サンズ) 4.5 10.3 43.3%
デイミアン・リラード(ブレイザーズ) 3.4 10.2 33.3%
CJ・マカーラム(ブレイザーズ) 3.9 9.8 39.4%
ジェイソン・テイタム(セルティックス) 3.2 9.6 33.54%
ザック・ラビーン(ブルズ) 3.8 9.6 39.6%

今季ここまで最もプルアップショットを打っているのは、ダラス・マーベリックスのルカ・ドンチッチの平均13.5本だ。ドンチッチは平均フィールドゴール試投数が21.3本なので、そのうち63.5%がプルアップからのショットという内訳になる。

しかしプルアップの成功率は35.6%とそこまで高いわけではない。トップ10選手のなかでも40%を超えているのはわずか4人しかおらず、それだけ難しいショットであることがわかる。

そんななかで、シカゴ・ブルズのデマー・デローザンは平均10.5本試投で成功率51.4%という驚異的な数字を残している。プルアップを多く打つほかの選手は3ポイントショットも多いのが特徴だが、デローザンはプルアップ3Pがわずか0.3本とほとんど打っていない。ミッドレンジを主戦場としてプレイしているのが数字に大きく表れているのだ。

平均プルアップ3P試投数ランキング

選手 3PM 3PA 3P%
ルカ・ドンチッチ(マーベリックス) 2.3 7.4 31.4%
ステフィン・カリー(ウォリアーズ) 2.9 7.3 39.9%
デイミアン・リラード(ブレイザーズ) 2.0 7.0 28.1%
トレイ・ヤング(ホークス) 2.4 6.1 38.46%
ジェームズ・ハーデン(ネッツ) 2.1 6.1 38.6%
ドノバン・ミッチェル(ジャズ) 2.1 5.9 35.7%
シェイ・ギルジャス・アレクサンダー(サンダー) 1.5 5.4 28.7%
ジェイソン・テイタム(セルティックス) 1.5 5.1 29.6%
ポール・ジョージ(クリッパーズ) 1.4 4.8 28.7%
ザック・ラビーン(ブルズ) 1.6 4.7 34.6%

プルアップ3Pに絞ってみると、一気にランキング上位に入ってくるのが、先日通算3P成功数でNBA新記録を更新したウォリアーズのステフィン・カリーだ。平均7.3本試投はドンチッチに次いでリーグ2位で、39.9%という高確率で決めている。

ちなみにカリーはキャッチ&シュートからの3Pも平均6.0本試投で成功率40.1%という確率で決めており、プルアップとキャッチ&シュートの両方で多投しながらも高確率で決めている稀有な存在だ。

逆に悪い意味で目立っているのが、ポートランド・トレイルブレイザーズのデイミアン・リラードだ。ここまで平均7.0本で成功率は28.1%と低く、打つべきではないと言われてもおかしくないような数字だ。しかし昨季は平均8.1本で37.1%、2019-20シーズンは平均7.5本で40.4%と高確率で決めており、本来ならプルアップからの得点力が持ち味の選手だ。今季の不調が大きく数字に表れた結果となっている。

プルアップのエフェクティブ・フィールドゴール成功率(eFG%=3ポイントショット成功数を1.5倍にして計算する、3Pの効率を考慮したFG成功率)を見てみると、平均7本以上のプルアップショットを打っている選手の50%以上を記録しているのは、 リーグでわずか7人 だ。

プルアップショットのeFG%ランキング

選手 eFG%
ステフィン・カリー(ウォリアーズ) 55.3%
トレイ・ヤング(ホークス) 52.6%
ダリアス・ガーランド(キャバリアーズ) 52.5%
ドノバン・ミッチェル(ジャズ) 51.9%
デマー・デローザン(ブルズ) 51.8%
ケビン・デュラント(ネッツ) 51.5%
クリス・ポール(サンズ) 51.3%

そのなかでもトップに立つのがカリーの55.3%。周囲を驚かす強さで躍進を見せているクリーブランド・キャバリアーズのダリアス・ガーランドや、今季絶好調のドノバン・ミッチェル(ユタ・ジャズ)もランクインしており、リーグを賑わせているチームのエース格がランクインしているのが特徴的だ。

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大西玲央 Reo Onishi

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アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。