【NBAスタッツ】クラッチタイムに強い選手は誰だ!?

大西玲央 Reo Onishi

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NBAにおけるクラッチタイムとは、試合最後の5分間で5点差以内の展開のことを指す。勝敗の行方がどちらに転がるかわからない接戦のなかで、最も数字を出しているクラッチプレイヤーが誰なのかを探ってみよう。

当然所属しているチームや、試合展開によってクラッチタイムを経験している数にばらつきがあるため、今回は平均スタッツではなく、単純にクラッチタイムでの累計スタッツに注目したい。ちなみにシーズンおよそ50試合を経過した現在、最もクラッチタイムを迎えた試合数が多いのは、30試合のロサンゼルス・レイカーズ(15勝15敗)とインディアナ・ペイサーズ(8勝22敗)で、最も少ないのは20試合のヒューストン・ロケッツ(11勝9敗)とアトランタ・ホークス(9勝11敗)だ。

※スタッツはNBA.com/Statsより。日本時間2022年2月3日の日程終了時点。

最もクラッチタイムを迎えた試合に出場しているのは、ロサンゼルス・レイカーズのラッセル・ウェストブルックで30試合だ。試合終盤にベンチに下げられた試合が話題になったものの、試合残り3分52秒の出来事だったため、クラッチタイムに出場したことになる。

最も勝利しているのは、フェニックス・サンズとミケル・ブリッジズの20勝だ。サンズはクラッチタイムを迎えた試合数が23試合と少なめでありながら、その成績が20勝3敗と勝負のかかった状況での強さが際立つ。

クラッチタイムの得点数トップ5

選手 チーム 得点数 試合数
ジョエル・エンビード PHI 115 21
ジャ・モラント MEM 87 20
デマー・デローザン CHI 86 24
ニコラ・ヨキッチ DEN 80 18
ジェイソン・テイタム BOS 79 24

最も得点を記録しているのは、フィラデルフィア・76ersのジョエル・エンビードだ。ひとりだけ100得点超で2位のジャ・モラント(メンフィス・グリズリーズ)に28点差をつけての堂々1位。

76ersはベン・シモンズが不在ながらもイースタン・カンファレンス3位に位置しており、エンビードがクラッチタイムにもMVP級の活躍を見せていることがわかる。

クラッチタイムの3ポイント成功数トップ5

選手 チーム 3P成功数 試合数
フレッド・バンブリート TOR 16 24
カイル・クーズマ WAS 15 27
デボンテ・グラハム NOP 10 22
ボーヤン・ボグダノビッチ UTA 9 26
デズモンド・ベイン MEM 9 21
マイク・コンリー UTA 9 22

3ポイントショットはクラッチタイムで極めて重要性の高いものだ。リードしているチームにとっては1本のショットで1点多く突き放すことができ、追い上げているチームにとっては1点多く詰めることができる。残り5分という限られた時間での1点の重みは大きい。

1位のフレッド・バンブリート(トロント・ラプターズ)と2位のカイル・クーズマ(ワシントン・ウィザーズ)はそれぞれ成功率も48%と高く、チームとしてはクラッチタイムにボールを彼らのところに集めることを重要視しているだろう。メンフィス・グリズリーズのデズモンド・ベインの成功率52.9%も驚異だ。

クラッチタイムに最も3Pショットを打っているのは35本のステフィン・カリーなのだが、カリーはそのうち7本しか決めておらず成功率はなんとわずか20.0%。過去シーズンは40%を上回っているので、ここから本数を上げてくる可能性は十分にある。

クラッチタイムのフリースロー成功数トップ5

選手 チーム FT成功数 試合数
デマー・デローザン CHI 36 24
ジョエル・エンビード PHI 35 21
ジェイソン・テイタム BOS 31 24
ジャ・モラント MEM 29 20
トレイ・ヤング ATL 28 17

フリースローもクラッチタイムでは重要になってくる。ほかのショットよりも成功率が高く、確実に得点を重ねることができるからだ。特に、追い上げているチームにとっては、時間を止めてできることが大きい。クラッチタイムでフリースローを獲得する技術としっかりとそれを決めきる能力は、勝敗を分ける貴重な武器として重宝される。

36本成功で1位のデマー・デローザン(シカゴ・ブルズ)は、成功数だけでなく成功率も90.0%と非常に高い。昨季までチームとしてフリースローを獲得することに苦しんでいたブルズだが、今季はデローザンがフリースローを獲得してくれるという働きが、チームの成功に大きく貢献している。

32本中31本成功で成功率96.9%を記録しているジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)、26本中25本成功で成功率96.2%を記録しているザック・ラビーンの数字も際立っている。


もちろん理想的な勝利は、早い段階で点差をつけて、クラッチタイムを必要としないことではあるが、NBAは下位チームでも上位チームと終盤までもつれることが多々ある。

そういった状況でも活躍できる選手がいるかどうかが、勝敗の分かれ目になってくる。

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大西玲央 Reo Onishi

大西玲央 Reo Onishi Photo

アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。