【NBAスタッツ】好調八村塁に見られるプレイスタイルの変化

大西玲央 Reo Onishi

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ロサンゼルス・レイカーズの八村塁が絶好調だ。3月28日(現地27日)のメンフィス・グリズリーズ戦では自己最多となる7本もの3ポイントショットを決める32得点の活躍を見せ、チームの勝利に大きく貢献した。

2月4日(現地3日)に先発ラインナップに投入されて以降、レイカーズは16勝7敗と好調で、チームのオフェンシブレーティングも113.4から120.0まで大幅に上昇している。

先発ラインナップに入ったことで当然プレイタイムも伸び、平均試投数も増えた。そして何よりも3P成功率が大きく向上しており、3月に至っては平均3.9本の3P試投に対して成功率48.9%という数字を残している。

今季の八村は、単純に3Pの成功率が上がっているだけではない。例年に比べて明確にプレイエリアやショットの質に変化が見られているのだ。

八村と言えばミドルレンジからのジャンプショットというイメージが強い人も多いだろう。エルボー付近まで持ち込んでプルアップジャンパーを放つ姿は容易に想像できる。それだけ見てきたショットだ。

昨季は、八村のミドルレンジからの得点は、彼の全体の得点のうち19.5%を占めていた。しかし今季はそれがわずか7.5%まで落ちており、キャリアの中でも最もミドルレンジからの得点が減っている。逆に3Pの得点比率は21.6%から31.8%まで10%以上上昇しているのだ。

シューターになったのかと言えば、決してそういう訳ではない。制限区域内、いわゆるリム回りのショットだけを見てみると、昨季はFG試投584本に対してリム周りは180本で、その割合は30.8%。今季は同570本に対して198本で割合は34.7%。むしろよりアグレッシブにリムアタックしている。

これまでリム周りとミドルレンジを主体にプレイしていたのが、リム周りと3Pラインまで広がっているということだ。リーグ入りしてから常に言われていた、シュートレンジを広げることができるのかという課題を、彼は見事にクリアしている。

Rui Hachimura
(NBA Entertainment)

よりチームオフェンスに組み込まれた八村のFG

さらに大きな数字の変化が見られるのが、アシストの付く得点だったかどうかだ。八村の昨季の得点のうち、アシストが付いていたのは68.7%。今季はそれが86.2%まで大幅に増えている。

チーム内で見ても、アシスト付き得点86.2%はトーリアン・プリンスの90.9%に次ぐ2位。プリンスは試投のほとんどが3Pなのに対して、八村は2Pでもアシスト付きの得点が多いのが特徴的だ。

八村はプルアップからの3Pがほとんどないため、3Pはほぼ全てがアシスト付き。2Pだけに絞ると、昨季の61.8%から81.5%まで上昇している。チームのオフェンスシステムの中で、いかに効率良く得点できるのかがわかる。

ちなみに最も八村にアシストしているのはオースティン・リーブスで63回、そしてディアンジェロ・ラッセルの60回とレブロン・ジェームズの59回と続く。

昨季のプレイオフでの大活躍があっても、「今後も再現性があるのかどうか」という批評が多く見られていたが、最近の活躍でそういった懸念も跳ね飛ばした八村。好調レイカーズを支える1人として2シーズン連続でのプレイオフ出場を目指す。

大西玲央 Reo Onishi

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アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。