【NBAスタッツ】シュート力を計測するために使用されるeFG%とは何?

大西玲央 Reo Onishi

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先日、ブルックリン・ネッツがトロント・ラプターズ相手に112-98で勝利した試合後の記者会見で、渡邊雄太について聞かれたカイリー・アービングは「今の彼は世界一のシューターだ」と答えた。

「スタッツが証明している。彼は現在、世界一のリーグのベストシューターなんだ」

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実際、渡邊の3ポイント成功率は現在57.1%でリーグ1位。2位にいるジョシュ・グリーンの52.9%を大きく離してリーグのトップに位置している。さらに、渡邊はエフェクティブフィールドゴール成功率(eFG%)という数値でも78.3%を記録し、リーグ1位に立っている。

今回は、このeFG%がどういうものなのかを紹介する。

eFG%とは

従来のスタッツ(トラディショナルスタッツ)であるフィールドゴール成功率(FG%)は、放った全ショットのうち何本が決まったかを計算したものだ。10本中5本決めていれば、単純に50%となる。

しかし、バスケットボールには2Pショットと3Pショットが存在し、2点ではなく3点獲得できる3Pショットの方が決まったときの重みがある。それを考慮したのが、アドバンスドスタッツのひとつであるeFG%だ。2点よりも3点が1.5倍多いことから、2Pショット成功数に3Pショット成功数を1.5倍にした数値を足し、全FG試投数で割るという計算式になる。

eFG% = (2PM + 1.5 × 3PM) ÷ FGA × 100

例えば、ネッツのニコラス・クラクストンが試合で10本中5本のショットを決め、3Pは1本中0本成功だったとする。一方で、渡邊は8本中4本のショットを決め、そのうち3Pは5本中3本決めたとしよう。

従来のスタッツだけなら、どちらも10得点、FG%は50%だ。しかし、eFG%を見た場合、クラクストンは50%のまま、渡邊は68.75%まで上昇する。FG%だけなら同じ成功率の選手だったのが、eFG%を照らし合わせることで、渡邊の方がシュート力があるということがわかるようになるのだ。

eFG%とは、「3Pの価値を加味した成功率」というスタッツなのだ。

もちろんこれは、選手だけではなくチームでも同じく当てはまる。以下は今季の30チームのeFG%とFG%を比較したグラフだ(現地11月24日までの試合消化時点)。

eFG%とFG%の比較

Effective Field Goal Percentage

こうして比較すると、チームの得点傾向が見えてくる。eFG%に比べてFG%が極端に低いゴールデンステイト・ウォリアーズやインディアナ・ペイサーズは、それだけ3Pによる得点が多いということだ。実際、1試合平均3P成功数でウォリアーズはリーグ2位、ペイサーズはリーグ3位にランクインする。

逆に、eFG%に比べてFG%が高いアトランタ・ホークスとロサンゼルス・レイカーズは、それぞれ1試合平均3P成功数がそれぞれリーグ29位と30位で、3P以外での得点が多いということが推測できる。

こうしてひとつの数字から選手やチームのプレイタイプや傾向を探れるのが、スタッツ分析の面白いところだ。

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大西玲央 Reo Onishi

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アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。