【NBAスタッツ】レギュラーシーズンとプレイオフのファウル数を比較

大西玲央 Reo Onishi

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レギュラシーズンで吹かれていたファウルが、プレイオフになると吹かれない。よく言われることではあるが、実際のところはどうなのだろうか。吹かれないことに不満を示す選手をよく目にする一方で、プレイオフ1回戦のメンフィス・グリズリーズ対ミネソタ・ティンバーウルブズや、カンファレンス準決勝のフェニックス・サンズ対ダラス・マーベリックスのように、ファウルが多いと感じるシリーズもある。

今回はレギュラーシーズンとプレイオフのファウル数を実際に確認して、ファウル数の変動を調べてみよう。

今季はシューティングファウルを吹く基準が変更となり、シーズン序盤はその影響が大きく見られていた。しかし終わってみれば、レギュラーシーズンのリーグ平均ファウル数19.6回は昨季の19.3回とほぼ変わらず、序盤に激減していたフリースロー試投数も21.9本と、昨季の21.8本と変わらない数字に落ち着いた。

しかし、プレイオフの数値を見てみると、ファウル数は減るどころか増えているのがわかる。むしろ、過去5シーズンを見てみてもレギュラーシーズンとプレイオフでは、プレイオフの方がファウル数が多い。

レギュラーシーズンとプレイオフのファウル数比較

シーズン RS PO 増減
2021-22 19.6回 22.4回 +2.8
2020-21 19.3回 20.5回 +1.2
2019-20 20.8回 21.8回 +1.0
2018-19 20.9回 22.2回 +1.3
2017-18 19.9回 20.7回 +0.8

昨季までだと、レギュラーシーズンと比較して平均1回ほどプレイオフではファウル回数が増えているのが、今季に至っては+2.8回と例年よりも多いこともわかる。

さらに、今季に至ってはファウルアウト数もいつもよりも多い。昨季はプレイオフ全体を通して選手がファウルアウトしたケースが25回あったのだが、今季はカンファレンス・セミファイナル第2戦を終えた時点で、すでに21回もファウルアウトが発生している。

選手別に見てみると、今季のプレイオフ中で最もファウルをしているのは、グリズリーズのジャレン・ジャクソンJr.による平均5.0回だ。

プレイオフ ファウル数個人ランキング

選手 チーム 試合数 ファウル数
ジャレン・ジャクソンJr. MEM 8 5.0
パトリック・ベバリー MIN 6 4.7
ジェイソン・テイタム BOS 6 4.2
カール・アンソニー・タウンズ MIN 6 4.2
アル・ホーフォード BOS 6 4.0
ボーヤン・ボグダノビッチ UTA 6 4.0
ブルース・ブラウン BKN 4 4.0
ディアンドレ・ハンター ATL 5 4.0
ニコラ・ヨキッチ DEN 5 4.0
パスカル・シアカム TOR 6 4.0

ジャクソンJr.はすでにこのプレイオフ中に3回ファウルアウトしており、プレイタイムも平均25.8分と、レギュラーシーズンの27.3分より減少しており、コートに立ち続けることに苦戦している。

逆に、最も相手からファウルをされている選手は、フィラデルフィア・76ersのジョエル・エンビードで、1試合平均9.7回のファウルを受けている。これはレギュラーシーズンの8.5回よりも1.2回多くファウルされている計算となる。

プレイオフ 被ファウル数個人ランキング

選手 チーム 試合数 被ファウル数
ジョエル・エンビード PHI 6 9.7
ケビン・デュラント BKN 4 9.3
ヤニス・アデトクンボ MIL 7 9.1
ジャ・モラント MEM 8 8.3
ニコラ・ヨキッチ DEN 5 7.6
カール・アンソニー・タウンズ MIN 6 7.3
ルカ・ドンチッチ DAL 5 7.0
ジェイソン・テイタム BOS 6 6.8
ルディー・ゴベア UTA 6 6.8
デマー・デローザン CHI 6 6.8

2位のデュラントに至っては、レギュラーシーズン平均5.9回から9.3回まで大幅に増えており、セルティックスがいかにアグレッシブなディフェンスで彼を守っていたのかが伝わってくる。

レギュラーシーズンで吹いていたファウルがプレイオフでは吹かれないというケースはあるのかもしれないが、実際のところはフィジカルなプレイが増えることもあって、結果的にファウルの総数は増えていることがわかる。終盤のファウルゲームが、レギュラーシーズンより重みが増すことも影響しているだろう。

ファウルが増えることで試合の長さが伸びてしまうというマイナス面はあるものの、セルティックスのケースのように、フィジカルなプレイで相手のエースを封じ込め、勝利を重ねるケースも存在する。そのギリギリのラインでの攻防を見るのも、プレイオフの面白さのひとつだ。

※スタッツはNBA.com/Statsより(日本時間5月6日現在)

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大西玲央 Reo Onishi

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アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。