NBAに2年目の壁は存在する? 活躍する選手たちをチェック

大西玲央 Reo Onishi

NBAに2年目の壁は存在する? 活躍する選手たちをチェック image

注目度の高いルーキーイヤーの活躍はもちろんだが、ひとつのキャリアの分かれ目として重要視されているのが2年目での活躍だ。ある程度のミスを許される1年目と比較して、2年目は責任や役割が増し、対戦相手からもスカウティングされている。

そんななかでどれだけの活躍を見せられるかは、その後のキャリアに大きく影響することとなる。今季の主な2年目選手たちの活躍をチェックしてみよう。

[AD] NBA見るならWOWOW! 毎週7試合ライブ配信、注目の5試合を実況・解説付きで生中継!

パオロ・バンケロ(オーランド・マジック)

今季:平均20.7得点、6.8リバウンド、4.5アシスト、3P成功率38.9%
昨季:平均20.0得点、6.9リバウンド、3.7アシスト、3P成功率29.8%

まずは2022-2023シーズンのルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いたオーランド・マジックのパオロ・バンケロを見てみよう。昨季は開幕から安定した活躍を見せ、シーズン終盤にはプレイメイク能力の向上も見せるなど、新人王に相応しい内容だった。

今季は開幕から数試合はとにかくショットが決まらず苦しんでいたものの、11月に入ってからはタッチが向上。それとともに全体的なパフォーマンスも改善されている。特に3ポイントショット成功率は昨季の29.8%から38.9%と大幅に上昇している。チーム自体も16勝7敗(東3位)と好調で、その柱として支えているのがバンケロだ。

ダブルチームされてからの判断が悪くターンオーバーが増えてしまっている(昨季2.8から今季3.2)などまだ課題もあるが、安定して今後もレベルアップを続けそうな選手だ。

シェイドン・シャープ(ポートランド・トレイルブレイザーズ)

今季:平均18.1得点、5.7リバウンド、3.6アシスト
昨季:平均9.9得点、3.0リバウンド、1.2アシスト

2年目で大きなステップアップを見せているのがポートランド・トレイルブレイザーズのシェイドン・シャープ。昨季のシーズン終盤、デイミアン・リラードを休ませる決断をチームがしてからのシャープは素晴らしい活躍を見せていたが、それをそのまま今季へと引き継いでいる。

今年のドラフト全体3位で指名されたスクート・ヘンダーソンが開幕から苦戦続きであるなか、ブレイザーズファンの心の拠り所となっていたのがシャープの成長だろう。昨季はオール・ルーキーチームに選出されていないことを考えると、この活躍を続ければ最優秀躍進選手(Most Improved Player)レースに絡んできても驚きはない。

マルコム・ブログドンやアンファニー・サイモンズなど、相手のディフェンスがケアしないといけない選手と一緒に出場しているときの方が数字が良い傾向にあることから、今後ヘンダーソンが開幕前に期待されていた活躍を見せるようになっても、若手バックコートコンビとしてお互いを邪魔することなく成長していくのが見られそうだ。

19歳でリーグ入りしたということもあって、実はブランドン・ミラーやアメン・トンプソンとアーサー・トンプソン兄弟など、今季の何人かの注目ルーキーよりも若く、間違いなく今後が楽しみな選手のひとりだ。

[AD] 楽天モバイル『最強プラン』なら追加料金なしでNBA全試合見放題!

ジェイレン・ウィリアムズ(オクラホマシティ・サンダー)

今季:平均17.2得点、4.2リバウンド、3.7アシスト
昨季:平均14.1得点、4.5リバウンド、3.3アシスト

昨季のルーキー・オブ・ザ・イヤー投票ではバンケロに次ぐ2位にランクインしたオクラホマシティ・サンダーのジェイレン・ウィリアムズも、2年目に安定した成長を見せている。

好調サンダーはどうしてもシェイ・ギルジャス・アレクサンダーやルーキーのチェット・ホルムグレンに話題が集中しがちだが、2年目のウィリアムズはホルムグレンが加わったオフェンスのなかでも、ユーセージ率(チームのポゼッションを完了した割合)を昨季の18.4%から21.8%に伸ばしており、役割の低下を心配する必要はなさそうだ。

ジェイレン・デューレン(デトロイト・ピストンズ)

今季:平均12.6得点、10.9リバウンド、2.5アシスト、1.4ブロック
昨季:平均9.1得点、8.9リバウンド、1.1アシスト、0.9ブロック

21連敗中とチームは苦しんでいるが、そんななかでの明るい材料のひとつがジェイレン・デューレンの活躍だ。インサイドでの得点、リバウンド、そしてリムプロテクションにはすでに安定感すらある。

ケガが多く現在も離脱中なのが懸念点ではあるが、シャーロット・ホーネッツのマーク・ウィリアムズと共に、将来が楽しみな2年目ビッグマンだ。

ジェイデン・アイビー(デトロイト・ピストンズ)

今季:平均11.3得点、2.7リバウンド、2.6アシスト
昨季:平均16.3得点、3.9リバウンド、5.2アシスト

逆に少し心配なのがデューレンのチームメイトであるジェイデン・アイビーだ。昨季はオール・ルーキーセカンドチームに選出される活躍を見せたものの、今季はモンティ・ウィリアムズ新ヘッドコーチの下で大幅にプレイタイムを落としている。

もちろんケイド・カニングハムが復帰したことがその大きな要因ではあるが、3P成功率を昨季の34.3%から29.0%まで大きく落としており、いまいちリズムに乗れていない。今後どのような起用をされていくのかが、彼の今後の成長に関わってきそうだ。

その他 活躍が気になる2年目選手

  • ジャバリ・スミス(ヒューストン・ロケッツ)
  • ベネディクト・マサリン(インディアナ・ペイサーズ)
  • キーガン・マレー(サクラメント・キングス)
  • ジェレミー・ソーハン(サンアントニオ・スパーズ)
  • ウォーカー・ケスラー(ユタ・ジャズ)
  • ダイソン・ダニエルズ(ニューオーリンズ・ペリカンズ)
  • ビンス・ウィリアムズJr.(メンフィス・グリズリーズ)

[AD] NBA見るならWOWOW! 毎週7試合ライブ配信、注目の5試合を実況・解説付きで生中継!

大西玲央 Reo Onishi

大西玲央 Reo Onishi Photo

アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。