【NBA新人王争い展望】ジャ・モラントの負傷離脱中に台頭するのは誰だ?

Dan Bernstein

【NBA新人王争い展望】ジャ・モラントの負傷離脱中に台頭するのは誰だ? image

爆発的なスキルセットにより、開幕から2か月を終えた時点でメンフィス・グリズリーズのジャ・モラントが2019-20シーズンの新人王筆頭候補に挙げられている。しかし、先日の負傷により、モラントは今後1、2週間欠場する予定だ。

モラントは、11月25日(日本時間26日)のインディアナ・ペイサーズ戦でアクロバティックなレイアップを試みた際、バランスを崩してコートサイドにいたフォトグラファーと衝突。続くユタ・ジャズ戦にも出場したが、痛めた背中が原因で戦線を離脱した。

モラントが負傷した瞬間を収めた動画は、これだ。

グリズリーズは、11月30日(同12月1日)に、モラントの状態を1週間単位で確認することを発表。同選手はミネソタへの遠征には帯同しなかった。

今季の新人選手の中で最高となる平均18.6得点、6.4アシストを記録しているモラントは、球団の発表後、フラストレーションが溜まっていることを示唆する「カメラマンには後ろに下がっていてもらおう」というメッセージをTwitterに投稿した。

12月上旬までの欠場になるだろうが、新人王争いに変化が見られる可能性はある。すでにモラントに取って代わる候補は数名いる。

12月1日(同2日)時点で、モラントに代わる新人王筆頭候補5選手をピックアップした。

 

1. ケンドリック・ナン(マイアミ・ヒート)

平均16.4得点、2.4リバウンド、3.2アシスト、eFG55.4%

ドラフト外の選手ながらも、新人王候補に浮上した。ナンは昨季Gリーグでプレイし、今年の夏にヒートと契約した。ジミー・バトラー、ゴラン・ドラギッチ、ジャスティス・ウィンズロウが負傷により欠場する試合が多いなか、ヒートは13勝5敗という好成績を残している。その要因の一つは、ダイヤの原石ことナンだ。

身長188cmと小柄だが、ボールを保持したときのスピード、アウトサイドシューティング(3ポイントショット成功率39.8%)で弱点のサイズを補っている。新人王候補が所属するチームとしては珍しくヒートは勝っており、十分にその資格はある。ローテーションの一角を担い、これからもセミレギュラーとして出場機会を与えられるだろう。ロングレンジからのジャンパーを高確率で決め続けられれば、すぐに主力の一員になれる。

 

2. RJ・バレット(ニューヨーク・ニックス)

平均15.3得点、5.4リバウンド、3.5アシスト、eFG45.5%

今年のドラフト全体3位でニックスから指名されたバレットは、ナンとは真逆のキャリアを送っている。デューク大に1年だけ所属したバレットに対し、ナンはイリノイ大とオークランド大で合計4年を過ごした。バレットは10代から注目されたが、全30チーム中29チームがナンとの契約を見送った。ドラフト全体1位でニューオーリンズ・ペリカンズから指名されたザイオン・ウィリアムソンの復帰時期が未定なため、本来ならバレットが新人王候補に挙げられるべきだ。

バレットは、低迷しているニックスで多くの出場機会を与えられるため、じきにナンの平均得点を上回るだろう。トランジションで活躍できる選手なのだが、問題は効率の良いプレイができるかどうかだ。1試合平均15本以上のショットを放ちながらも平均15得点という数字は、ニックスにとって価値のあるスタッツではない。新人王筆頭候補に浮上するためには、評価を変える必要がある。そのための時間は、たっぷり残っている。

 

3. エリック・パスカル(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)

平均17得点、5.2リバウンド、1.6アシスト、eFG52.7%

ナンと同様に、無名の存在からシーズン序盤に台頭した選手(ウォリアーズからドラフト2巡目指名)で、バレットのように低迷しているチームに所属している。ウォリアーズが負傷者に苦しむ時期が長くなればなるほど、パスカルは成長するための出場機会を得られるだろう。そうなった場合、彼が新人王争いのダークホースになる可能性がある。

同じ2巡目指名を受けたドレイモンド・グリーンの存在は、シーズンを通して支えになるだろう。判断力に優れ、純粋に優れたNBA選手と評価されているものの、ドラフトの指名順、そして低迷しているチームに所属しているため、全米から注目されることは少ないかもしれない。

 

4. ブランドン・クラーク(メンフィス・グリズリーズ)

平均12.5得点、6.2リバウンド、1.3アシスト、eFG67.8%

もしクラークが現時点での平均出場時間(21.8分)を上回っていたら、このリストの1番目に名前があったかもしれない。ゴンザガ大出身の同選手は、FG試投数が多くないにもかかわらずこれだけの平均得点をあげ、たくましいディフェンスを誇るなど、あらゆる部分に優れている。

再建を優先させている関係上、グリズリーズはクラークをじっくり育てているが、モラントが欠場中はより責任のあるポジションを任されるかもしれない。そうなるまでは、新人王争いの有力候補とは考えにくい。

 

5. ディアンドレ・ハンター(アトランタ・ホークス)

平均11.9得点、4.1リバウンド、1.8アシスト、eFG47.2%

まだ有力な新人王候補ではないものの、シーズン後半の台頭が期待できる片鱗を示している。また、同じく1年目のチームメイト、キャム・レディッシュが負傷により出遅れているため、ハンターはウィングでの出場機会を得ている。ここ6試合中5試合で35分以上プレイしているハンターは、その内の1試合でFG17本中10本を成功させて26得点を記録。有力な新人王候補に挙げられるには、1週間に一度はオフェンスでの活躍が求められるが、トレイ・ヤングが対戦相手からマークされることが多く、今後の試合で成長する可能性はある。

※ザイオン・ウィリアムソンは、プレシーズンに負ったひざの負傷から復帰できていないため、今回のリストには含まれていない。復帰後には候補の一人に挙げられるだろう。

原文:NBA Rookie of the Year watch: Which players could leapfrog Ja Morant after injury? by Dan Bernstein/Sporting News(抄訳)

Dan Bernstein