NBA 2023-2024シーズンの順位・プレイオフ・アウォード・ファイナル予想

Stephen Noh

坂東実藍 Miran Bando

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2023-2024シーズンのNBAで圧倒的な優勝候補は存在しない。『Caesar's Sportsbook』のオッズでは、上位に位置するミルウォーキー・バックス、ボストン・セルティックス、デンバー・ナゲッツ、フェニックス・サンズの4チームは、いずれも13%以上の優勝確率となっている。

こういったプレシーズンのオッズをあまり真剣にとらえるべきではない。今のNBAは多くの異なるチームが候補になり得る拮抗した状態というのが教訓だ。

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そういった状況下での予想は、より一層困難なものとなる。だが、予想もまた楽しみのひとつだ。ここでは各アウォードや両カンファレンスのプレイオフ(プレイイン・トーナメント)進出、NBAファイナル進出、優勝チームを予想する。

MVP:ニコラ・ヨキッチ(ナゲッツ)

Nikola Jokic (Denver Nuggets)
Getty Images

昨季のヨキッチは3年連続MVP受賞の最右翼だったが、本人もナゲッツも終盤で力を温存した。平均24.5得点、11.8リバウンド、9.8アシストを記録した見事なシーズンだったにもかかわらず、ヨキッチのMVP受賞に反対する声で大きかったひとつは、ビル・ラッセルやウィルト・チェンバレン、ラリー・バードという神聖な3年連続MVP組の仲間入りを果たすには十分ではなかったというものだった。それがなくなる今季、MVPは再びヨキッチが受賞するアウォードとなる。

昨季はジョエル・エンビードが受賞したが、プレイオフでヨキッチがリーグ最高の選手は自分と証明したことは疑いない。彼を阻むのは、本人が賞に無関心であることだけだ。しかし、オフシーズンにブルース・ブラウンを失い、ウェスタン・カンファレンスの他チームが強くなっているだけに、第1シードを手にするのにナゲッツも全力で戦わなければならないだろう。28歳のヨキッチは、引き続きリーグの他を支配するはずだ。

新人王:ビクター・ウェンバンヤマ(スパーズ)

Victor Wembanyama San Antonio Spurs
(NBA Entertainment)

チェット・ホルムグレンを除外してはいけない。ウェンバンヤマと張り合うはずだ。サンアントニオ・スパーズがルーキーシーズンのウェンバンヤマの出場時間を制限すると見られているだけになおさらだろう。

ホルムグレンを除けば、ウェンバンヤマが明らかな候補だ。世代を代表する有望株で、これまでの大会すべてで守備が支配的だったことを考えれば、すぐに守備ではプラスとなるだろう。攻撃で波に乗るのはもう少し時間がかかるかもしれない。だが、攻守両面において、7フィート3インチ(約221センチ)というサイズの選手では見たこともないことをやってのけるだろう。

最優秀守備選手賞:エバン・モーブリー(キャバリアーズ)

Evan Mobley Cleveland Cavaliers
(NBA Entertainment)

モーブリーは昨季もこの賞に近づいた。投票では受賞したジャレン・ジャクソンJr.と2位のブルック・ロペスに続く3位だったのだ。まだ22歳で成長している。初のトロフィーを手にするのも時間の問題だろう。

一般的にこの賞は守備でトップ5のチームのベストディフェンダーに贈られる。モーブリーは素晴らしい候補となるだろう。クリーブランド・キャバリアーズは昨季、守備でリーグトップだった。そしてメンバーの大半が残っている。ペイントを支え、守備で鍵となるのが、モーブリーとジャレット・アレンだ。マックス・ストゥルースの獲得でスモールフォワードのポジションもある程度の安定感を増した。ストゥルース自身も有能なディフェンダーだ。これらの人材に囲まれ、モーブリーはリムプロテクションやペリメーターまで出てのチェイスダウン、あるいはスペースで守る独特な才能を生かすことができる。

シックスマン賞:クリス・ポール(ウォリアーズ)

Chris Paul
(NBAE via Getty Images)

ポールがベンチスタートでシーズンを始めるかは不透明だ。ほとんどのベッティングサイトでも、彼はこの賞の対象にもなっていない。だが、シーズンが終わるまでにリーグ最高のシックスマンとなっていても、驚くことはないだろう。

ポールとステフィン・カリーを同時に先発起用するのは、守備の観点から非常に厳しい。ともにアンダーサイズの選手で、ポールはかつてのような相手の攻撃の起点を守るディフェンダーではなくなっている。また、ベンチスタートになるのはケボン・ルーニーというのが自然だろう。その場合、ゴールデンステイト・ウォリアーズはさらに小さいラインナップとなる。

ウォリアーズはプレイオフでカリーやドレイモンド・グリーンのようなスター選手たちにもベンチスタートを求めた。おそらくカーHCはポールに対しても同じようにするだろう。

ポールはベンチスタートからの素晴らしいポイントガードとなるはずだ。そしてウォリアーズはカリーとともに動きの多い攻撃を保ち、ポールにはボールを支配する、彼が好むようなもっとスローなスタイルでプレイさせられる。ウォリアーズの問題はずっと、カリーがコートにいない時に崩れていたことだ。ポールは昨季もサンズで素晴らしいポイントガードだったし、長期的な問題を修正できるかもしれない。

この賞にはこれまでも物語性があった。ポールが先発の座を犠牲にし、初のシックスマン賞のチャンスを手にするというのは、素晴らしい物語にもなるはずだ。

最優秀コーチ賞:スティーブ・カー(ウォリアーズ)

Steve Kerr 1222022
(NBA Getty Images)

ポールの加入により、マネジメントに関するカーHCの仕事は厳しいものとなるだろう。ロッカールームに大きなエゴが加わるのだ。また、ポールがピック&ロールのスペシャリストである一方で、カー政権のウォリアーズはリーグで最もピック&ロールを用いないチームのひとつだけに、スタイルの点でも修正は大変になるだろう。

だが、カーHCはそのタスクをこなせるはずだ。王朝を築いてきた中で、彼は一貫して選手たちに犠牲を求め、新たなピースを取り入れる方法を見つけてきた。ポールに関してもそれができれば、このウォリアーズはすべてを勝ち取るチャンスのあるチームだ。

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2023-2024シーズンのNBAプレイオフ予想

東地区プレイオフ進出チーム

  1. ボストン・セルティックス
  2. ミルウォーキー・バックス
  3. フィラデルフィア・76ers
  4. クリーブランド・キャバリアーズ
  5. マイアミ・ヒート
  6. シカゴ・ブルズ*
  7. アトランタ・ホークス*
  8. トロント・ラプターズ*
  9. インディアナ・ペイサーズ*

*プレイイン・トーナメント

トレードでデイミアン・リラードがバックスに、ドリュー・ホリデーとクリスタプス・ポルジンギスがセルティックスに加わったことで、東地区は2チームが上位を争う。

どちらも選手層は比較的薄い。だが、セルティックスはやすやすとリーグトップ6に入るだろう。ジェイソン・テイタム、ジェイレン・ブラウン、ホリデー、そしてポルジンギスと、4人のオールスター選手を起用する可能性は高い。コートのどこからもショットを放つことができ、ヘルプを難しくさせるセルティックスのスターティングラインナップは、守るのが完全に不可能な存在となるはずだ。さらに、4人ともが優れたショットクリエイターで、1on1のマッチアップもこなせる。

ここ数シーズンのセルティックスはすでに守備で有数のチームだったが、さらに改善された。ポルジンギスは素晴らしいリムプロテクターであり、ホリデーもペリメーターディフェンダーとしてリーグ最高だ。彼らは1番から4番までスイッチが可能で、ファイトオーバーによってポルジンギスがリム付近にとどまれるようにもできる。セルティックスが守備でトップ3に入らなければ驚きだ。

ヤニス・アデトクンボとリラードのピック&ロールを擁するバックスも、攻撃はセルティックス同様に素晴らしい。リラードのスペーシングで、アデトクンボはドライブするスペースも増えるはずだ。

しかし、バックスには守備の懸念がある。守備に関してはリラードとホリデーで大きな差があり、オフシーズンには相手の攻撃の起点を守る2番手のジェボン・カーターも失った。ロペスがドロップセンターとしてどれほど効果的になれるだろうか。

二番手集団となるのが、76ers、ニックス、キャバリアーズだ。東地区でホームコートアドバンテージを得られる残り2チームを競うのは彼らとなるだろう。

76ersは東地区のダークホースだ。調整という点で昨季プレイオフでは全力を尽くしたものの、ドック・リバースHCはこれまでのつまずきの多くのスケープゴートにされた。ニック・ナースHCの就任は、戦術的な観点からはアップグレードとなるだろう。ジェームズ・ハーデンがチームと同じ方向性となれば、76ersはタフなチームだ。

ニックスはジョシュ・ハートをトレードで獲得して以降、完全に異なるチームとなった。それまでは30勝27敗だったが、ハート加入後は17勝8敗だ。そしてフリーエージェントでドンテ・ディビンチェンゾという素晴らしい補強も実現した。昨季の47勝からさらに白星を増やせるはずだ。

キャバリアーズは昨季、かなり健康だった恩恵を受け、51勝で第4シードを手にした。今季はマックス・ストゥルースやジョージ・ニアンといった優れたシューターを獲得している。若い先発中心メンバーも向上するはずだ。

これら5チームに続く中堅クラスが、ヒート、ブルズ、ホークス、ラプターズ、ペイサーズ。これら5チームはどのような順番になってもおかしくない。それぞれに昨季からの向上が可能と考えさせる理由がある。

リラードのトレードが実現しなかったヒートは、一歩後退となるだろう。ブルズはカーターとトーリー・クレッグの加入で、なんとしても必要だったシューターを手に入れた。ホークスはクイン・スナイダーHCがフルシーズン指揮をとることの恩恵を受けられるだろう。ラプターズは昨季のトレードデッドライン(トレード期限)でヤコブ・パートルを獲得してからが最高だった。今季はそのパートルがフルシーズンを戦う。ペイサーズはタイリース・ハリバートンとともに素晴らしかった。今季はブルース・ブラウンをFAで獲得している。

西地区プレイオフ進出チーム

  1. デンバー・ナゲッツ
  2. ゴールデンステイト・ウォリアーズ
  3. メンフィス・グリズリーズ
  4. フェニックス・サンズ
  5. サクラメント・キングス
  6. ロサンゼルス・レイカーズ
  7. ロサンゼルス・クリッパーズ*
  8. ミネソタ・ティンバーウルブズ*
  9. ニューオーリンズ・ペリカンズ*
  10. ダラス・マーベリックス*

*プレイイン・トーナメント

ナゲッツはブラウンが退団したが、それ以外のスターティングラインナップは維持した。また第1シードになってもおかしくない。

ウォリアーズに関しては強気に見ている。ポールはカリー不在の時間帯の問題を解決できるかもしれない。ジョナサン・クミンガとモーゼス・ムーディーはさらに貢献する用意ができているはずだ。そして何より重要なのは、カリーがまだ世界最高のひとりだということである。

グリズリーズはジャ・モラントの25試合出場停止に影響されるだろう。だが、リーグ有数の選手層を誇るチームだ。そしてこういうチームはレギュラーシーズンで想定以上のパフォーマンスを見せる傾向にある。

対照的なのがサンズだ。ブラッドリー・ビール、ケビン・デュラント、デビン・ブッカーと、理論上は多くのスターがひしめくが、ベンチが問題となる。また、ユスフ・ヌルキッチはディアンドレ・エイトンと比べてダウングレードだ。レギュラーシーズンよりプレイオフの方が良くなるだろう。

キングスは昨季、ケガの点で非常に恵まれ、48勝をマークした。ほぼ同じロスターで、再びダイナミックな攻撃を見せるはずだ。ただ、守備がある程度の問題になるかもしれない。

ロサンゼルス勢の予想が6位に7位と、これほど低くなったのは驚きかもしれない。しかし、西地区は大混戦になるだろう。ロサンゼルス勢はどちらも、近年ケガに悩まされたスターたちを擁している。アンソニー・デイビスやレブロン・ジェームズ、カワイ・レナード、ポール・ジョージといった選手たちが70試合以上出場しなければ、レギュラーシーズンに白星を量産することは厳しいだろう。そして2018-2019シーズン以降、彼ら4人は誰もその数字を達成していない。

マーベリックス、ウルブズ、ペリカンズ、サンダーも、プレイオフの座を競うはずだ。中でもウルブズが抜きんでると考える。昨季はケガの不運に見舞われたが、アンソニー・エドワーズが向上を続けており、シェイク・ミルトンはガードの層を厚くするのに良い選択だった。

ペリカンズとマーベリックスは予想するのが不可能だ。ザイオン・ウィリアムソンとカイリー・アービングがまったくの不確定要素だからである。

サンダーは40勝をあげた昨季からほとんどのメンバーが残っている。タレントは好ましいが、ルーゲンツ・ドートにジョシュ・ギディーと、平均以下のシューター2人がいるスターティングラインナップは、筆者の好みに合わない。

東地区覇者:セルティックス

Jayson Tatum Jaylen Brown Boston Celtics
(NBA Entertainment)

東地区は複数のチームが優れている。だが、バックスとセルティックスの地区決勝となるのは運命で定められているかのようだ。

この2チームには多くの歴史がある。セルティックスは2018年と2022年のプレイオフでバックスを敗退させており、昨季レギュラーシーズンの対戦も3試合で2勝1敗と勝ち越した。

セルティックスにはバックスに対抗するのに優れた人材がそろっている。ホリデーは非常にうまくリラードを守ってきた。2018年のプレイオフでは、フィールドゴール成功率35%、3ポイントショット成功率30%に抑えている。デリック・ホワイトも対リラードという点で卓越した選択肢になるだろう。テイタムとブラウンもまずまずの仕事をこなせる。

一方で、アデトクンボに対抗する選択肢は多くない。FAでグラント・ウィリアムズを失ったのが痛手だ。だが、アル・ホーフォードはアデトクンボに対して誰もが期待したとおりの守備だった。ポルジンギも、少なくともアデトクンボがリムを狙うのを少し抑えられるはずだ。

セルティックスに対し、バックスには守備の弱点がある。リラードはプレイオフで絶えずターゲットとされるだろう。クリス・ミドルトンはかつての足さばきを失った。ボビー・ポーティスはあまりロペスの控えとなるリムプロテクターとしてあまり期待できない。マリーク・ビーズリーはローテションプレイヤーになっても、守備の問題に出場時間を制限されるだろう。

理論上は、セルティックスのほうが弱点は少ない。よって、ここではセルティックス勝利と見る。

西地区覇者:ウォリアーズ

Curry Klay Draymond Warriors
Getty Images

西地区でアップセットが起きても、まったく驚きではないだろう。有力候補はナゲッツ、サンズ、レイカーズ、ウォリアーズの4チームだが、昨季は4位と9位の差がわずか3ゲーム差だった。今季も同じようになると予想する。

上記4チームのうち、すでにナゲッツは昨季のプレイオフであまり苦しまずにサンズとレイカーズを下している。ビールの加入でサンズはさらに強くなるだろう。だが、まだヨキッチを守れるような選手がいない。

ナゲッツで分からないのは、ウォリアーズと対戦した時にどうなるかだ。ナゲッツに弱点があるとすれば、ヨキッチに大きなプレッシャーをかけられるチームとの対戦だ。それこそまさに2シーズン前のウォリアーズにやられたことで、ナゲッツは第5戦で敗退している。

また、ウォリアーズは最大の弱点に関して昨季からアップグレードしている。前回優勝時、ウォリアーズははネマニャ・ビエリツァ、オットー・ポーターJr.、ギャリー・ペイトン二世と、強力なベンチメンバーに支えられた。昨季は若手がその代わりになれなかった。しかし、今季はポール、ダリオ・シャリッチ、コーリー・ジョセフといったベテランたちを加えている。もちろん、けん引するのはスター選手たちだ。だが、これらのベンチメンバーは、そのスター選手たちがファイナルに返り咲くのに必要な休息を与えられるだろう。

NBA王者:セルティックス

Jaylen Brown Derrick White Boston Celtics
(NBA Entertainment)

セルティックスは2年前にこの対戦で敗れている。だが、現在は異なるチームになっており、最大の弱点を解決した。2022年のファイナルで見事だったカリーに対する武器を増やしている。ホリデーはカリーから対戦した中で最高だった3人のディフェンダーのひとりに選ばれた。ホワイトも対カリーで卓越した選択肢だ。

また、カリーは攻守両面をこなさなければならない。堅実なディフェンダーではあるが、ある種のマッチアップで対抗するにはサイズ不足だ。セルティックスには攻撃面で多くの武器があるだけに、カリーが隠れられる場所は多くないだろう。

セルティックスにはプレイオフで様々な異なるスタイルを成功させられる力がある。ポルジンギスとホーフォードという2人のビッグマンを並べるラインナップで戦えるなど、多才ぶりがプレイオフで競う相手に対する調整で大きなアドバンテージとなるのだ。

最後に、このグループに対抗できるチームは理論上にも存在しない。今季はセルティックスがタイトルを失うかどうかなのだ。

原文:NBA predictions 2023-24: Final standings, playoff projections, awards, NBA Finals pick(抄訳)

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Stephen Noh

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

坂東実藍 Miran Bando

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。