ドラフト&フリーエージェントを踏まえてのNBA全30チームのランキング

Stephen Noh

坂東実藍 Miran Bando

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NBAのフリーエージェント市場が終わりに近づき、各チームの状態をチェックするタイミングだ。

2023-2024シーズンの支配ぶりを考えれば、ボストン・セルティックスが有力候補であることは変わらない。だが、彼らと一部チームの差はかなり縮まった。

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ここでは、NBA全30チームを現時点でランキング化する。

Jayson Tatum Boston Celtics
(NBA Entertainment)

2024年ドラフト&フリーエージェント後のNBAパワーランキング

ティア1:優勝候補

1. セルティックス

昨季のセルティックスはかなりの差でリーグ最高のチームだった。そして主力選手たちが全員残るので、それは変わらないはずだ。

クリスタプス・ポルジンギスは、手術のために最長6か月の離脱となる。だが、大事な試合には戻ってくるはずだ。ジェイソン・テイタムとジェイレン・ブラウンは、26歳、27歳と全盛期まっただ中。デリック・ホワイトは長期の延長契約を結び、ドリュー・ホリデーはシーズン中に合意した。サム・ハウザーの新契約も近いだろう。

彼らを捕まえるのは大変になるはずだ。

2. サンダー

オクラホマシティ・サンダーはこの夏、最も向上させたチームのひとつだ。ジョシュ・ギディーを手放してアレックス・カルーソを獲得したのは、今オフシーズンのヒットだった。

サム・プレスティGMは、アーロン・ウィギンズ、アイザイア・ジョーと、リーズナブルな価格でローテーションの重要な戦力をとどめた。最大の補強はアイザイア・ハーテンシュタインだ。ロスターのサイズ不足を解決する存在となる。

カルーソとハーテンシュタインはともにこのロスターに完璧にフィットする選手たちだ。マーク・デイグノート・ヘッドコーチによると攻守のシステムにフィットするだろう。彼らはハイレベルなロールプレイヤーだ。セルティックはポストシーズンの成功でそれが重要であることを示している。

3. マーベリックス

ウェスタン・カンファレンス王者のダラス・マーベリックスは、このオフシーズンに大きく改善された。クレイ・トンプソンとクエンティン・グライムズの獲得でショット力の不足を解決している。デリック・ジョーンズJr.はいなくなるが、ナジ・マーシャルはより優れた選手だ。

ルカ・ドンチッチとカイリー・アービングがもう1年フルシーズンをともに過ごすことで、ケミストリーはさらに向上するはずだ。そしてサポーティングキャストも、理論上はマーベリックスをさらに危険なチームにする。

4. ニックス

ケガに見舞われるまで、ニューヨーク・ニックスはファイナルへの道を進んでいるかと思われた。OG・アヌノビーがいる時は止められなかった。そしてさらにミケル・ブリッジズを獲得している。リーグ有数の激しい守備のチームとなるだろう。

攻撃をけん引するのは、再びジェイレン・ブランソンだ。ただ、周囲からの助けは増す。ジュリアス・ランドルの復帰とブリッジズのショットクリエイションは第3のオプションだ。

このチームの弱点はセンターだろう。ハーテンシュタインの退団は痛手となるはずだ。ミッチェル・ロビンソンの健康問題が続くならなおさらだろう。プレシャス・アチューワとも契約していない。ニックスはもっとスモールボールで戦わなければならないかもしれないが、それだけの人材はそろっている。

5. 76ers

フィラデルフィア・76ersはポール・ジョージ獲得でチームをつくり直した。イースタン・カンファレンス最大のチャレンジャーとしてニックスを上回るのに、それで足りるだろうか。

ジョージとエンビードがそれぞれ70試合超に出場できることが保証されていれば、その答えは「イエス」となるはずだ。しかし、通算の1シーズン平均出場試合は、エンビードが68試合を上回ったことがなく、ジョージは62試合という数字にとどまっている。

それでも、76ersは非常に良いチームだ。タイリース・マクシーが長期契約を結び、アンドレ・ドラモンドは控えセンターとして良いアップグレード。ケリー・ウーブレイJr.も残る。ダリル・モーリーGMはいつもトレードに積極的だから、さらなる助けが加わるかもしれない。

6. ウルブズ

ミネソタ・ティンバーウルブズはセカンドエプロン(※エプロンは例外条項などの制限を決定する基準額)の地獄に陥り、ウェスタン・カンファレンス・ファイナルまで勝ち進んだ昨季からチームを改善する方法がないと思われた。だが、ドラフトでは全体8位でスコアラーのロブ・ディリングハムを指名。1巡目終盤でも、攻撃志向のテレンス・シャノンJr.を指名している。

この2選手は、退団したカイル・アンダーソンの代役とならなければならない。アンソニー・エドワーズもさらにアグレッシブな守備に慣れ、もっと向上するはずだ。そしてチーム全体の守備は常に西地区のトップクラスであり続けるだろう。

7. ナゲッツ

シーズンが終わった時のナゲッツは、西地区最高のチームだった。だが、レジー・ジャクソンの契約をデトロイト・ピストンズに引き受けてもらうために多くのドラフト指名権を放出。さらに、クリスチャン・ブラウンが代わりを務められると自分たちを納得させ、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープへのリーズナブルな契約を渋った。

ニコラ・ヨキッチがいれば、そのチームは西地区最高級となるだろう。だが、純粋に財政的な理由から2回目のタイトルを狙うチャンスをふさいでしまった。

8. バックス

ヤニス・アデトクンボがいるチームを考慮しないことはできない。昨季は最悪のタイミングで彼がケガに見舞われ、クリス・ミドルトンもシーズンを通じて万全でなかった。

それでも、バックスは49勝をあげている。デイミアン・リラードはもっと調子を上げてくるはずだ(ドック・リバースHCによればコンディショニングが問題だった)。そしてバックスはひとりの指揮官にシーズンを任せられることを願っている。

昨季のバックス最大の問題は、ペリメーターでの守備だった。デロン・ライトはその点で助けになるはずだ。ドラフトでAJ・ジョンソンを指名したのは、勝利必須のチームにとっては不思議な選択だ。彼はまだ貢献する準備ができていない。

Ja Morant
(NBAE via Getty Images)

ティア2:プレイオフ進出有力

9. マジック

オーランド・マジックを軽んじてはいけない。優勝に必要な真のスーパースターはまだいないかもしれないが、現在のリーグで最も層の厚いチームだ。そしてジョー・イングルズ以外の重要なベテランたちを残している。それは普通、レギュラーシーズンでの素晴らしい成功につながるはずだ。

コールドウェル・ポープはマジックのディフェンダーをさらに増やし、強く必要としていた3ポイントショットの力ももたらすだろう。

10. キャバリアーズ

ケニー・アトキンソンは前回NBAでヘッドコーチを務めた時、ブルックリン・ネッツを大きく成功させている。クリーブランド・キャバリアーズには、昨季の48勝以上の成績を収めるだけのタレントがそろっていたが、JB・ビッカースタッフHCがうまくフィットさせられなかった。来季もロスターはほぼ同じ。そしてもっと健康でいられることが願われる。

ドノバン・ミッチェルは3年の延長契約に合意し、トレードを巡る騒動が終わるはずだ。これはキャバリアーズにとって有益だろう。

11. ペイサーズ

インディアナ・ペイサーズはチームを保ちつつ、ビッグマンのジェームズ・ワイズマンを加えた。タイリース・ハリバートンはペイサーズの全員をより良い選手に見せている。2020年のドラフト全体2位指名だったワイズマンについても、同じことができるだろうか。

シーズン後半戦はケガに苦しんだが、ハリバートンは調子を取り戻すことが期待される。パスカル・シアカムはさらに4シーズン残ることになり、昨季の47勝からさらに白星を積み上げるはずだ。ペイサーズのロスターに大きな変更はない。

12. グリズリーズ

前回メンフィス・グリズリーズが1年タンクした時は、ジャレン・ジャクソンJr.を獲得した。今回はザック・イディーだ。

昨季のグリズリーズはロスターの全員がケガをし、27勝にとどまった。だが、2シーズン前は51勝で西地区2位となったチームだ。ジャ・モラントも戻ってくる。再び良いチームとなるはずだ。

13. ペリカンズ

デイビッド・グリフィンGMはシーズン後、変化を約束した。その手始めが、デジャンテ・マレーの獲得だ。次はブランドン・イングラムの放出だろうか。球団はその方向に向かっているようだ。

ペリカンズはヨナス・バランチュナス、ラリー・ナンスJr.の両センターを失った。だが、ロスターのバランスをとっており、上り坂だ。最大の懸念は変わらずにザイオン・ウィリアムソンの健康だろう。彼が60試合に出場できれば、ペリカンズは西地区のトップ6入りを果たせるはずだ。

14. サンズ

フェニックス・サンズの昨季の最大の問題は、スター選手たちの周囲の3Pだった。ロスターの層が薄く、より年上の選手たちに強く依存したことだ。

サンズは新戦力を加えるための道が多くなかった。だが、モンテ・モリス、メイソン・プラムリーをミニマム契約で獲得。ロイス・オニールがフルシーズンを戦えることもかなりの助けとなるだろう。ただ、それでも高齢なチームであることは変わらず、プレイオフでギアを上げる前にレギュラーシーズンでは苦しむだろう。

15. ヒート

ファーストエプロンの懸念に直面するマイアミ・ヒートは、ドラフトで才能あるケレル・ウェアを指名した以外、オフシーズンに目立ったことをしていない。ジミー・バトラーは望んでいた延長契約を結ぶことなく、シーズンに向かうだろう。さらに良いプレイをするためのモチベーションとなるだろうか?

ヒートにはチームを向上させるための道が多くない。ケイレブ・マーティングも去るかもしれない。おそらく、昨季の46勝ほどとなるだろう。

16. クリッパーズ

ロサンゼルス・クリッパーズはリーグで最も奇妙なオフシーズンを過ごしているチームのひとつだ。ジェームズ・ハーデンに多額を払い、ポール・ジョージを失って、月並みなベテランをたくさん加えた。ラッセル・ウェストブルックもトレードされるようだ。

ハーデンとカワイ・レナードがいれば、どんなチームでも持ちこたえるだろう。だが、彼らが欠場した場合に対処できるだけの安全網は十分ではない。

Stephen Curry and Draymond Green
(Getty Images)

ティア3:プレイオフ進出競争

17. ウォリアーズ

ゴールデンステイト・ウォリアーズはクレイ・トンプソンとクリス・ポールを失った。だが、ディアンソニー・メルトン、バディー・ヒールド、カイル・アンダーソンの獲得で質の高い選手層としている。ことしのドラフトでは1巡目指名がなかった。

昨季のウォリアーズが失望のシーズンとなった最大の要因は、トンプソンとアンドリュー・ウィギンズの不振と、ドレイモンド・グリーンがたびたび出場停止となったことだ。新加入トリオは昨季のトンプソン以上だろう。だが、ステフィン・カリーが年をとり、ウォリアーズは再びプレイイン・トーナメント圏で競うと見られる。

18. キングス

FAであまり多くをしなかったサクラメント・キングスだが、ドラフトでは攻守両面で優れるデビン・カーターを指名。トレードでジェイレン・マクダニエルズを獲得した。さらにトレードのうわさもある(ひとりはデマー・デローザン)。今後も動きがあるかもしれない。

キングスは昨季、白星の数がリーグ16位タイだった。そこから大きく動くのは厳しいだろう。

19. レイカーズ

ロサンゼルス・レイカーズのオフシーズンは落胆だった。有望新人ダルトン・コネクトを加えたが、FAで有意義なことがまったくなし。同じチームで臨み、JJ・レディック新HCが違いとなることを願うかたちだ。昨季はアンソニー・デイビスとレブロン・ジェームズの健康面で素晴らしい運に恵まれた。それは続くのだろうか。

20. ロケッツ

ヒューストン・ロケッツはドラフトでリード・シェパードを指名した。大学レベルでは最もNBAへの準備が整ったシューターのひとりだ。また、税負担を回避するためのアトランタ・ホークスの戦略のおかげで、AJ・グリフィンを手に入れた。彼らが大きくチームを変えることはないだろう。だが、若い選手たちは少しずつ良くなっていくはずだ。

21. スパーズ

昨季のサンアントニオ・スパーズはリーグワースト5位の成績だった。それだけの下位にとどめておくには、ビクター・ウェンバンヤマはあまり優れた選手だろう。ポールはスパーズのガードの戦力を大きく高める。新人ステフォン・キャッスルはチームの厳しい守備を改善させるはずだ。

22. ラプターズ

トロント・ラプターズは良いかたちでシーズンを締めくくれなかった。だが、ドラフト指名権を保とうとしていた。

イマニュエル・クイックリー、RJ・バレット、スコッティ・バーンズ、ヤコブ・パートルが一緒にフルシーズンを戦えれば、もっと良い結果をもたらすはずだ。

23. ジャズ

ユタ・ジャズはどんな方向に進んでいるのだろうか。ラウリ・マルカネンを手放そうとしており、ドラフトではコディ・ウィリアムズ、アイザイア・コリアー、カイル・フィリパウスキーという有望な3選手を指名した。ドリュー・ユーバンクスはセンターの層をある程度厚くするはずだ。ウィル・ハーディーHCは、さらに順位を落とすにはもったいない指揮官だろう。

24. ホークス

ホークスはトレードでマレーを放出して悪くなった。だが、ドラフト全体1位指名のザカリー・リザシェイがウィングの層の厚さをもたらすはずだ。また、ダイソン・ダニエルズとナンスJr.は優れたローテーション選手だ。2025年のドラフトで独自の指名権がないだけに、新シーズンでの勝利を目指そうとするだろう。

25. ホーネッツ

ラメロ・ボールが健康なら、すぐに21勝からの向上に役立つはずだ。ドラフト全体6位で指名したティジャン・サローンは将来が見込まれているのであって、まだ勝つために貢献する準備は整っていない。FAでも意義深い動きはなかった。だが、新指揮官チャールズ・リーが後押しとなるかもしれない。

Coby White Chicago Bulls
(NBA Entertainment)

ティア4:その他

26. ブルズ

カルーソのトレードでブルズが後退したことは明らかだ。デローザンも退団に向かっているようで、ザック・ラビーンは安価で売られている。

27. ネッツ

ネッツはブリッジズというベストプレイヤーを失った。ドラフト指名権をたくわえ、新たなバージョンを築こうとしている。今後はさらに変更があるかもしれない。

28. ブレイザーズ

ポートランド・トレイルブレイザーズは、デニ・アブディヤという優れた若手を獲得し、ドノバン・クリンガンをドラフトで指名して、守備を向上させた。それでも、厳しい西地区で競争していくには不十分だろう。

29. ウィザーズ

ワシントン・ウィザーズは堅実な先発センターのバランチュナス、控えのリショーン・ホームズを加え、昨季の15勝からの向上を目指す。ドラフトではアレックス・サーとカールトン・キャリントンを指名した。

まだ若いチームであることは変わらず、急いで再建しようとはしていない。来夏は再び素晴らしいロッタリーピックを手にするだろう。

30. ピストンズ

ビッカースタッフは14勝だったこのチームをどれだけ改善できるだろうか。全体5位で指名したロン・ホランドは、勝つために貢献するまでしばらく時間を要するだろう。トバイアス・ハリスは役立つだろうが、ピストンズが厳しくなるのは変わらないはずだ。

原文:NBA power rankings 2024: Where Knicks, Thunder, 76ers, Mavericks & more stand after draft, free agency(抄訳)
翻訳:坂東実藍

Stephen Noh

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

坂東実藍 Miran Bando

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。