スターがひしめくNBAにおいて、フランチャイズプレイヤーがすべての栄光を手にすることは少なくない。だが、彼らは自分の長所を際立たせ、弱点を最小限に抑えてくれるような選手たちを周りに必要とする。
NBAプレイオフ2018 ファーストラウンドでも、それは明白だった。多くのロールプレイヤーたちが活躍し、レギュラーシーズン以上の活気をもたらしている。リッキー・ルビオのようなベテランから、テリー・ロジアーやデロン・ライトのような若手まで、世代は様々だ。
予想を上回り、見事な活躍を披露した"All-Breakout Team"(敢闘賞ベスト5+シックスマン)を発表しよう。
なお、新人のベン・シモンズとドノバン・ミッチェルはこのリストに含まれていない。2人ともレギュラーシーズンですでにファンタスティックだったため、プレイオフでは大きな期待が懸けられているからだ。
ポイントガード: ドリュー・ホリデー(ニューオーリンズ・ペリカンズ)
ペリカンズのベストプレイヤーは、アンソニー・デイビスだ。だが、ファーストラウンドでは、ホリデーも負けず劣らず優れていた。
ポートランド・トレイルブレイザーズとのシリーズで、ホリデーは1試合平均27.8得点、6.5アシスト、4.0リバウンド、1.3スティールを記録。フィールドゴール成功率は56.8%、3ポイントショット成功率は35.0%をマークした。
加えて、ホリデーはデイミアン・リラードのマークでも貢献した。『 NBA.com 』によると、ホリデーがマークした4試合で、リラードはFG31本中23本失敗に終わっている。ペリカンズのその他の選手を相手に、リラードは40本中17本のFGを成功させた。
その攻守にわたる活躍で、ホリデーがコートに立ったときのペリカンズは、100ポゼッションあたり平均16.8得点と 4番目のネットレーティング を記録。一方で、ホリデーがベンチに座っているときは、-12.2だった。
ホリデーが攻守にわたりポテンシャルをフルに発揮したのは、これが初めてではない。だが、このように輝かしいステージで成し遂げたことはなかった。デマーカス・カズンズを故障で失ったペリカンズが、ブレイザーズを下すと、それもスウィープをすると予想した人は多くない。だからこそ、NBAで約10年のキャリアを誇るホリデーを敢闘賞のメンバーに選んだのだ。
シューティングガード: ジェイレン・ブラウン(ボストン・セルティックス)
セルティックスで2年目のブラウンは、NBAで最も光り輝く若手の一人として名を上げている。
カイリー・アービングとゴードン・ヘイワードを欠くセルティックスだが、ファーストラウンドではブラウンが得点源としてより責任を担い、違いを生み出した。レギュラーシーズンでは1試合平均14.5得点だったが、ファーストラウンドでは第6戦まで平均20.5得点をマークしている(第7戦は負傷で16分間のプレイに終わり、2得点)。
その6試合で、ブラウンは3P成功率40.0%、中距離のプルアップジャンパーは成功率55.6%、バスケットから10フィート(3メートル)以内のショットは成功率67.5%を記録した。特に第2戦と第4戦では、合計でFG46本中25分成功の64得点をマークしている。
スモールフォワード: クリス・ミドルトン(ミルウォーキー・バックス)
ミドルトンは実績のある選手だ。だが、プレイオフではこれまで苦しんできた。
バックスで初めてプレイオフを戦った2015年は、1試合平均15.3本のショットを放ち、15.8得点という記録。2年後も、1試合平均13.0本のショットで14.5得点だった。
だが、今季のプレイオフはまったく違う。1試合平均24.7得点を記録し、得点数は全体で12位。前を走る11選手のうち9選手はオールスター経験者だ。また、FG成功率59.8%、3P成功率61.0%と、ミドルトンは非常に効率よく得点をあげている。ファーストラウンドで 誰よりも3Pを決めており 、ペリメーターショットの精度は見事だった。
ミドルトンにとって残念だったのは、彼の奮闘がバックスにとって2000-01シーズン以来となるカンファレンス・セミファイナル進出につながらなかったということだ。
パワーフォワード: ニコラ・ミロティッチ(ニューオーリンズ・ペリカンズ)
ペリカンズがドラフト1巡目指名権とのトレードでミロティッチを獲得したのは、ストレッチ4(長距離ショットを打てるパワーフォワード)としてデイビスのためのスペースを作り、カズンズ離脱の穴を埋めることを期待したからだった。当初は苦戦したが、レギュラーシーズン残り5試合でスターター入りし、ブレイザーズとのプレイオフでは見事な活躍を披露している。
ミロティッチの3Pの価値は明白だ。1試合平均で6本以上の3Pを放ち、その半分を成功させるパワーフォワードがいれば、ホリデーとデイビスはピック&ロールで効率的なショットを打つために必要なスペースを手に入れられる。
相手チームが2選手で止めようとしたら、ペリカンズはホリデーがミドルレンジからショットを打つか、デイビスがアリウープを狙える。どちらも止めようと相手が3人目のマークをつけるなら、ミロティッチが楽に3Pを打つことができるのだ。
ただ、最大のサプライズはミロティッチの攻撃ではなく、守備力だった。ピック&ロールの際に3Pラインでリラードを止めようとし、リラードが諦めるまで食らいついたことは、ホリデーの重圧を軽減させた。
その結果、ブレイザーズとのシリーズにおけるミロティッチの100ポゼッションあたりの得失点差は、+20.1得点とファーストラウンドで 最高の数字 となっている。
センター: クリント・カペラ(ヒューストン・ロケッツ)
レギュラーシーズンから好調だったカペラは、一時MVPレースにも名前が浮上するほどで、ウェスタン・カンファレンスのオールスター候補とも言われた。最終的にオールスターには選ばれなかったが、ジェームズ・ハーデンやクリス・ポールといかにフィットしているかを証明した。
そして、ウルブズとのファーストラウンドで、カペラはそれ以上だと証明した。守備では、今季キャリア初のオールスター選出を果たしたカール・アンソニー・タウンズを、最初の2試合で13得点に抑えている。攻撃では、いつものようにハーデンやポールのためにハードなスクリーンを仕掛け、ロビングのパスに備え、70%近いショット成功率にリーグトップのオフェンシブリバウンド率を誇った。
シックスマン: ボーヤン・ボグダノビッチ & ドマンタス・サボニス(インディアナ・ペイサーズ)
ボグダノビッチは第3戦で3P9本中7本成功の30得点を記録。また、マッチアップした44ポゼッションでレブロン・ジェームズを7得点、5アシストに抑えた 。ほかの試合ではジェームズのほうが良かったが、ボグダノビッチはできる限り守備をし、攻撃ではアウトサイドからのシュートで貢献した。
サボニスをチームメイトのボグダノビッチとともにシックスマン賞に選んだのは、第4戦から第6戦まで、ベンチからの出場でゲームに違いをもたらしたからだ。この3試合でFG35本中26本成功、平均20.2得点を記録。レギュラーシーズンでピック&ロールからリーグ有数の得点を記録したサボニスが、ミドルレンジやペイント内で好調だったおかげで、ビクター・オラディポにかかる負担を軽減することができた。
彼らがいなければ、ペイサーズがクリーブランド・キャバリアーズと第7戦まで戦うことはなかったはずだ。
特別賞: リッキー・ルビオ(ユタ・ジャズ)、ジェレミー・グラント(オクラホマシティ・サンダー)、デロン・ライト(トロント・ラプターズ)、ダリオ・シャリッチ(フィラデルフィア・76ers)、ジャスティス・ウィンズロウ(マイアミ・ヒート)、ジョシュ・リチャードソン(マイアミ・ヒート)、テリー・ロジアー(ボストン・セルティックス)、ソン・メイカー(ミルウォーキー・バックス)、マイク・スコット(ワシントン・ウィザーズ)
原文: NBA playoffs 2018: The All-Breakout Team from the first round by Sporting News(抄訳)