NBAで活躍する選手はどこ出身? 大学バスケのカンファレンスを紹介:ミッドメジャー編

大西玲央 Reo Onishi

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3月と言えば、アメリカでは大学バスケットボールが盛り上がる時期だ。3月中旬に開幕されるNCAAトーナメントを中心に『マーチマッドネス』と銘打たれ全米が熱狂する。

しかし盛り上がるのは決してNCAAトーナメントだけではない。その直前にある各カンファレンス・トーナメントも、NCAAトーナメントの出場可否に関わってくることもあり、カンファレンス内のライバル校たちが激戦を繰り広げる。

前回は強豪校たちの集まるハイメジャー・カンファレンスを紹介したが、今回はそれ以外として括られるミッドメジャー・カンファレンスをいくつか紹介する。

ミッドメジャー・カンファレンス

NCAAのバスケットボールを構成する32カンファレンスのうち、6カンファレンスがハイメジャーとして分類されている。簡単に言えば、それ以外のカンファレンスがミッドメジャーという扱いとなる。

しかし、当然その中でも戦力差はあり、今回はミッドメジャー・カンファレンス内でもよくNCAAトーナメントなどでも名前を見る大学が所属するカンファレンスをいくつかピックアップしてみよう。

Rui Hachimura, Domantas Sabonis
(NBA Entertainment)

ウェスト・コースト・カンファレンス(WCC)

2023-2024シーズンに所属している大学は:

  • ゴンザガ大学
  • ロヨラメリーマウント大学
  • パシフィック大学
  • ペッパーダイン大学
  • ポートランド大学
  • セントメアリーズ大学
  • サンディエゴ大学
  • サンフランシスコ大学
  • サンタクララ大学

近年の日本バスケットボールファンに最も親しみがあるのがウェスト・コースト・カンファレンスだろう。ロサンゼルス・レイカーズの八村塁がプレイしたゴンザガ大学が所属するカンファレンスだ。

ゴンザガ大学はカンファレンス内でも突出した強豪校であり、「ハイメジャー・カンファレンスとゴンザガ」という表現でまとめられることも多いほどだ。カンファレンスMVPも、2019年から2023年までゴンザガ大学の選手が選出されており、カンファレンス・トーナメントもここ10年で9回優勝している。

カンファレンスMVP受賞者でNBAでプレイしているのは、ケリー・オリニク、八村、コーリー・キスパート(ゴンザガ大学)、ジョック・ランデール(セントメアリーズ大学)、そしてブランディン・ポジェムスキー(サンタクララ大学)だ。

セントメアリーズ大学はオーストラリアとの繋がりが強く、多くのオーストラリア人選手をリクルートすることでも知られている。過去にはパティ・ミルズやマシュー・デラベドーバなど、NBAとオーストラリア代表で活躍した選手がプレイしていた。

他にも今季の新人王争いを繰り広げているチェット・ホルムグレンやレジェンド選手のジョン・ストックトン(ゴンザガ大学)、2度のNBA MVPに輝いたスティーブ・ナッシュ(サンタクララ大学)など多くの選手を輩出しているカンファレンスだ。

現在ポートランド大学では、アンダー世代の日本代表選手である山之内勇登がプレイ中だ。

2024-25シーズンからはオレゴンステイト大学とワシントンステイト大学の加入が決定している。

Derrick Rose
(Getty Images)

アメリカン・アスレティック・カンファレンス(AAC)

2023-2024シーズンに所属している大学は:

  • アラバマ大学バーミングハム校
  • イーストカロライナ大学
  • フロリダアトランティック大学
  • メンフィス大学
  • ノースカロライナ大学チャーロット校
  • ノーステキサス大学
  • ライス大学
  • サウスフロリダ大学
  • サザンメソジスト大学(SMU)
  • テンプル大学
  • テキサス大学サンアントニオ校
  • トゥレーン大学
  • タルサ大学
  • ウィチタステイト大学

ACCは元々ビッグイースト・カンファレンスの一部だったが、多くの大学が去ったタイミングで設立されたもので、2013-14シーズンからと比較的新しいカンファレンスに部類する。近年も大学の入れ替わりが激しい。

カンファレンスMVP受賞者でNBAで活躍しているクエンティン・グライムズとマーカス・サッサーは共に昨季まででカンファレンスを離脱したヒューストン大学出身だ。

NBAで大人気だったペニー・ハーダウェイがヘッドコーチを務めていることで、近年好選手をリクルートし注目を浴びているのがメンフィス大学だ。ペニー自身も同大学出身で、プレシャス・アチューワは2019-20シーズンのカンファレンスMVP。他にもジェームズ・ワイズマン、ジェイレン・デューレン、デリック・ローズ、タイリーク・エバンスなどが過去にプレイしている。

2024-25シーズンからSMUはアトランティック・コース・カンファレンス(ACC)への移籍が決まっており、新たにユナイテッドステイツミリタリーアカデミー(アーミー大学)が加入する。

Yuta Watanabe
(Getty Images)

アトランティック10・カンファレンス(A-10)

2023-2024シーズンに所属している大学は:

  • デイビッドソン大学
  • デイトン大学
  • デュケイン大学
  • フォーダム大学
  • ジョージメイソン大学
  • ジョージワシントン大学
  • ラサール大学
  • ロヨラシカゴ大学
  • マサチューセッツ大学
  • ロードアイランド大学
  • リッチモンド大学
  • セントボナベンチャー大学
  • セントジョセフズ大学
  • セントルイス大学
  • バージニアコモンウェルス大学(VCU)

A-10のカンファレンスMVPとなり、現在NBAでプレイしている選手にはボーンズ・ハイランド(VCU)とオビ・トッピン(デイトン大学)がいる。これまで紹介した他カンファレンスと比較すると少ないが、過去のMVP受賞者にはデイビッド・ウェスト、ジャミア・ネルソン、マーカス・キャンビー、エディ・ジョーンズなどがいる。

ステフィン・カリーがプレイしていたことで有名なデイビッドソン大学も所属しているが、カリー在学時はサザン・カンファレンスだったため、彼は厳密にはA-10でプレイしていない。

渡邊雄太が在学していたジョージワシントン大学は1976年にカンファレンスが設立されてからのオリジナル校のひとつだ。

Larry Bird
(Getty Images)

ミズーリ・バレー・カンファレンス

2023-2024シーズンに所属している大学は:

  • ベルモント大学
  • ブラッドリー大学
  • ドレイク大学
  • エバンスビル大学
  • イリノイ大学シカゴ校
  • イリノイステイト大学
  • インディアナステイト大学
  • ミズーリステイト大学
  • マレーステイト大学
  • ノーザンアイオワ大学
  • サザンイリノイ大学
  • バラパライソ大学

カンファレンスMVP受賞者で現在NBAでプレイするのはAJ・グリーン(ノーザンアイオワ大学)、そして当時は同カンファレンスに所属していたウィちタステイト大学のフレッド・バンブリートとクレイトン大学のダグ・マクダーモットだ。

ジャ・モラントが在学していたマレーステイト大学は2022年からミズーリ・バレー・カンファレンス所属であり、モラントがいた頃はオハイオ・バレー・カンファレンスに所属していた。

同カンファレンス出身者で最も有名なのはインディアナステイト大学のラリー・バード。カンファレンスMVPにも2度輝いている。

Kawhi Leonard
(Getty Images)

マウンテン・ウェスト・カンファレンス(MW)

2023-2024シーズンに所属している大学は:

  • ユナイテッドステイツエアフォースアカデミー(USAFA)
  • ボイジーステイト大学
  • カリフォルニア大学フレズノ校
  • コロラドステイト大学
  • ネバダ大学リノ校
  • ネバダ大学ラスベガス校(UNLV)
  • ニューメキシコ大学
  • サンディエゴステイト大学
  • サンホゼステイト大学
  • ユタステイト大学
  • ワイオミング大学

カンファレンスMVP受賞者で現在NBAでプレイするのはデイビッド・ロディー(コロラドステイト大学)、マラカイ・フリン(サンディエゴ大学)、サム・メリル(ユタステイト大学)、ケイレブ・マーティン(ネバダ大学リノ校)だ。

MVPにはなっていないものの近年で最も活躍している選手はカワイ・レナード(サンディエゴステイト大学)だろう。他にもクリスチャン・ウッド(UNLV)やラリー・ナンスJr.(ワイオミング大学)などが出身選手だ。

日本代表でもプレイしたニック・ファジーカスもネバダ大学リノ校出身で、永久欠番にもなっている。


最後にミッドメジャー・カンファレンス所属の大学がNCAAトーナメントを制覇したのは1990年のUNLVまで遡る。それだけ前回紹介したハイメジャー・カンファレンスの大学が強豪であるということではあるが、ミッドメジャー・カンファレンス所属でありながらもトーナメントを勝ち進めることで注目される大学が出てくることも多い。

カンファレンスのプレイスタイルや、プレイタイム確保をするためにあえてミッドメジャーの大学を選ぶ選手たちも多く、今後もミッドメジャー出身のスター選手は多く生まれていくだろう。

大西玲央 Reo Onishi

大西玲央 Reo Onishi Photo

アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。