NBA開幕週に評価されたのは? 注目を集めた選手・チーム

Stephen Noh

坂東実藍 Miran Bando

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NBAの2023-2024シーズン開幕から1週間が経った。想定外にうまくいっている、あるいは反対にうまくいっていない選手やチームたちがいる。

若いインディアナ・ペイサーズとデトロイト・ピストンズが、イースタン・カンファレンスのトップ6にいることを予想していた人はいないだろう。一方で、マイアミ・ヒートとメンフィス・グリズリーズがそれぞれのカンファレンスで低迷しているのも驚きだ。

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どんな結論を出すにもまだ早すぎる。だが、好感触を得ているのは、心配すべきなのは、どんな選手やチームなのか。ここで開幕から1週間の注目ポイントをまとめる。

ゴールデンステイト・ウォリアーズ

ドレイモンド・グリーンが不在だったウォリアーズは、開幕戦でフェニックス・サンズに敗れた。だが、その後はサクラメント・キングス、ヒューストン・ロケッツ、ニューオーリンズ・ペリカンズを相手に3連勝を飾っている。

特に印象的なのは、品格をもって開幕3戦目での降格を受け止めたクリス・ポールにベンチスタートの役割を担ってもらう方法を見つけたことだ。

このままベンチスタートを続けるなら、ポールはシックスマン賞を受賞するだろう。ポールがうまくセカンドユニットをコントロールすることで、ウォリアーズはステフィン・カリーを休ませる時間帯も切り抜けられている。これは近年で初めてのことだ。『NBA Stats』によれば、ポールは出場時のチームの得失点差を示すプラスマイナスが+46とチームトップの数字を残している。

カリーもまた、リーグ最高の選手のひとりで変わらないようだ。10月29日(日本時間30日)のロケッツ戦でディロン・ブルックスを翻ろうするなど、ハイライトとなる場面を披露している。

ポールとカリーがこれほど高いレベルでプレイしていれば、ウォリアーズは本当にうまくやれるだろう。フィットするかどうかという懸念は大げさだったようだ。賢い2人がうまく機能させる方法を見いだしつつある。

ルカ・ドンチッチ

プレシーズンが不調で、ドンチッチのふくらはぎのケガもあり、ダラス・マーベリックス周辺はかなりナーバスになっていた。だが、開幕週のドンチッチはそれらにまったく影響されなかった。

開幕から3試合でドンチッチはリーグトップの平均39.0得点をあげ、その貢献でチームを3連勝と完璧なスタートに導いた。125-120で勝利したブルックリン・ネッツ戦終盤のパフォーマンスは、ここまでのシーズンベストかもしれない。

ウェスタン・カンファレンスの第1週の週間最優秀選手賞を受賞したのは、デンバー・ナゲッツのニコラ・ヨキッチだった。確かに彼の1週目も良かったが、ドンチッチはさらに上だった。

デトロイト・ピストンズ

何もないところから出てきてプレイオフに進出するような大胆なチームが登場するのは毎年のことだ。今季はピストンズかもしれない。有望な若手たちが良いプレイを見せているからだ。

健康になったケイド・カニングハムはは、ようやく自身を疑う者たちに、2021年のドラフトでなぜ全体1位指名だったかを示している。平均21.0得点をあげており、その妙技で味方を勢いづかせているのだ。

ジェイレン・デューレンはこの序盤戦で最優秀躍進選手賞の候補となる活躍を見せている。平均15.5得点、そして13.3リバウンドという見事な数字だ。得点の大半はリムでの強烈なフィニッシュで、数々のハッスルプレイを見せている。平均3.3アシストと、昨季よりも周囲を生かす力も示しているところだ。だが、何より素晴らしいのは守備だろう。素晴らしいフィーリングと身体能力で、19歳にしてすでに同ポジションで有数のディフェンダーとなっている。

アサー・トンプソンは攻撃面がまだまだだが、守備では新人最高のウィングディフェンダーのようだ。ジミー・バトラーを何度か連続で止め、デマー・デローザンを封じた。チームがザック・ラビーンに51得点を許した試合でも、第4クォーターでそのラビーンにスイッチし、流血を食い止めている。

モンティ・ウィリアムズ・ヘッドコーチは若いチームを勝者に変えることに定評のある指導者だ。そしてピストンズでもまた、最高のディフェンダーたちを起用することでそれを実現させている。より才能のあるジェイデン・アイビーよりもキリアン・ヘイズを先発起用したのは、前者の守備に関する懸念からだ。一方でデューレンやトンプソンのような選手たちにはかなりの機会を与えている。

これらを、チーム得点王だったボーヤン・ボグダノビッチやベテランポイントガードのモンテ・モリスがいない中でやってみせているのだ。ピストンズには今季躍進するチャンスがある。

ナゲッツのベンチメンバー

開幕前、ナゲッツには退団したブルース・ブラウンやジェフ・グリーンの穴をいかに埋めるかという懸念があった。

ここまでは、まったく問題ないようだ。

ナゲッツはネットレーティングでリーグ2位につけている。再びニコラ・ヨキッチが素晴らしいプレイを見せていることが大きい。ただ、ベンチメンバーの活躍もあった。

ペイトン・ワトソンは今季のブレイク候補のようだ。平均1.5ブロックを記録しており、フロアのあちこちで見事な守備を見せている。2022年のドラフトで全体30位指名されたワトソンは、ナゲッツにおける次の攻守両面に優れたウィングとなるかもしれない。

クリスチャン・ブラウンは昨季の終わりと同じようにスタートした。タフな守備を見せ、パス、カッティング、リバウンドで貢献する方法を見つけている。

昨季はチームに何も与えられなかったレジー・ジャクソンも、一定の出場時間を得ている。今のナゲッツは有力候補だ。

ジェームズ・ハーデンのトレード関係者

ハーデンのトレードに関してはこちらを参照されたい。まとめるなら、関係した全員にとって良いビジネスだったということだ。フィラデルフィア・76ersは集中をそがれる可能性を取り除き、未来を素晴らしいものにするための今後の動きに備えることができた。一方、オールスター級のタレントを獲得し、ロサンゼルス・クリッパーズは優勝の可能性を高めている(ハーデンがそれだけ優れた選手であることは変わらない)。

Kawhi Leonard and James Harden
(Getty Images)

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スクート・ヘンダーソン

ヘンダーソンはフィールドゴール成功率33.3%の平均8.3得点と苦しい出だしになった。いくつかのスタッツではリーグ最低の数字もある。ポートランド・トレイルブレイザーズがここまで良くないことも一因だ。

ただ、ヘンダーソンにとってすべてが悪いわけではない。身体能力はかなり優れているようだし、ドライブで相手との間合いをつくることができる。ただ、今のところは彼にとって試合のリズムが速すぎるようだ。経験を積むことでもっと良くなっていくだろう。

ロサンゼルス・レイカーズのロールプレイヤーたち

レブロン・ジェームズは今季、1試合あたりの出場時間が平均29分ほどに制限されるはずだった。それが1日だけになったのは、彼がコートにいない時のレイカーズがひどかったからだ。

ディアンジェロ・ラッセルは昨季と同じショットセレクションの問題を抱えている。代役のゲイブ・ビンセントもショットが決まらない。八村塁は5つ目のスターター枠の争いに敗れ、昨季プレイオフで好調だったショットを保てなかった。オースティン・リーブスはFG成功率33.3%だ。

レイカーズにとって明るい材料は、トーリアン・プリンスだ。3&D(3Pと守備を得意とする)ウィングとして、うまくスターティングラインナップにはまった。多くの3Pを放ち、成功率41.2%を記録している。

チームがスター選手への依存度をさらに高めるプレイオフになれば、これらの問題はより重要ではなくなる。ジェームズが開幕2勝2敗という成績に導いたが、彼もシーズンを通じてこのペースを保つことはできない。ロールプレイヤーたちのステップアップが必要だ。

トロント・ラプターズ

1勝3敗だったラプターズでは、スコッティ・バーンズが攻守両面で素晴らしかった。あまりペリメーターで守らなくてよい役割になり、力を取り戻したかのようだ。だが、ラプターズにはそれ以外にファンが楽しみにできることがあまりない。

ハーフコートオフェンスが懸念されていたラプターズだが、それが現実のものとなっている。『Cleaning the Glass』によれば、ラプターズの攻撃は圧倒的にリーグワーストだ。

また、ラプターズには生き残るだけのショット力もない。相手チームは各試合でペイントを埋め、ラプターズにアウトサイドからショットを打たせようとする。そして3P成功率が53.1%だった10月28日(同29日)の76ers戦のように、ラプターズのショットが好調な時でさえ、リムでのフィニッシュのひどさが攻撃に影響している。

ラプターズのロスターには才能がある。だが、うまくフィットさせるピースがそろっていない。デニス・シュルーダーはショットにむらがあり、レイアップを失敗するなど、昨季のフレッド・バンブリートと同じ問題を抱えている。再建中のブレイザーズに敗れ、91得点しかあげられなかったことで、パニックに陥った。何かを切り替える必要がある。

原文:NBA opening week winners and losers 2023: Warriors, Nuggets cruising while Lakers, Raptors show cause for concern(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。