ファイナルMVP候補のレブロン・ジェームズ、アンソニー・デイビス、ジミー・バトラーを比較

Scott Rafferty

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NBAファイナルが第5戦で終わる可能性も出てきたこともあり、そろそろファイナルMVPについて話すときだ。

第5戦を前にして、ファイナルMVPの筆頭候補は3名いる。ロサンゼルス・レイカーズのレブロン・ジェームズとアンソニー・デイビス、そしてマイアミ・ヒートのジミー・バトラーだ。

現時点でバトラーの勝算はごくわずかだ。敗れたチームからファイナルMVPに選ばれたのは、ジェリー・ウェストのみ。51年も前のことだ。だが、彼は取り上げるにふさわしいプレイをしてきた。

ファイナルMVPに向けてポールポジションにいるのは誰だろうか。ジェームズ、デイビス、バトラーの3人を見てみよう。

レブロン・ジェームズ

LeBron James Los Angeles Lakers

オッズ: -1000

今季のファイナルでジェームズ以上の平均得点(27.8)と平均リバウンド(11.0)を記録している選手はいない。平均8.5アシストもマークしており、これはバトラー(10.0)に次ぐ数字だ。

トリプルダブルは達成していないが、全4試合でそれに迫った。

第1戦では、25得点、13リバウンド、9アシストを記録。第2戦は33得点、9リバウンド、9アシストをマークした。第3戦で25得点、10リバウンド、8アシスト、第4戦は28得点、12リバウンド、8アシストだった。第3戦でファウルトラブルに苦しみ、15得点にとどまったデイビスと違い、ジェームズはシリーズのすべての試合において攻撃面で大きなインパクトを残している。

また、効率もよく、フィールドゴール成功率は54.1%、3ポイントショット成功率は36.4%、フリースロー成功率は71.9%。そして何より素晴らしいのは、バトラー、アンドレ・イグダーラ、ジェイ・クラウダーという似たサイズのディフェンダーたちを擁するヒートを相手に、得点の多くを自ら生み出したという点だ。『NBA.com』によると、これまでジェームズが決めた40本のショットのうち、25本はアシストなし。デイビスは40本中アシストなしが13本で、よりチームメイトに頼ってきた。

ジェームズが唯一苦戦しているのは、ターンオーバーだ。シリーズ最初の2試合で2つだけだったが、その後の2試合では14ターンオーバーを記録している。そのうちの5つは、第4戦の前半だった。だが、後半は20得点、9リバウンド、4アシストでターンオーバーはわずか1と見事に挽回している。

それはレイカーズを勝利へと駆り立てた。そして、彼らは17度目の優勝まであと1勝という位置までやってきた。

ESPN』のティム・マクマホン記者によると、得点、リバウンド、アシストでチームをリードして優勝したケースは、NBAの歴史で5回しかない。そのうち3回はジェームズ(2012年、13年、16年)。残りの2回は、マジック・ジョンソン(1986年)とティム・ダンカン(2003年)だ。そしてそのたびに、彼らはファイナルMVPに選ばれている。

初めての異なる3チームでのファイナルMVP受賞を目指すジェームズにとっては吉兆だ。

アンソニー・デイビス

Anthony Davis Los Angeles Lakers

オッズ: +600

ファイナル最初の2試合までは、ファイナルMVPはデイビスが有力候補だった。

第1戦は34得点、9リバウンド、5アシストとコート上のベストプレイヤーだった。ジェームズも見事な試合だったが、前半に見せた爆発的な活躍で、レイカーズを勝利に導く二桁点差をつけるのに貢献したのはデイビスだった。

ファイナルデビュー戦での34得点は、エルジン・ベイラーと並んでレイカーズの球団記録3位タイだ。

第2戦でも、デイビスはFG20本中15本成功の32得点、14リバウンドと良かった。第3Qに15得点、4リバウンドを記録している。首の負傷でバム・アデバヨが欠場したなか、デイビスはサイズを使って、イースタン・カンファレンス・ファイナルでボストン・セルティックスを苦しめた2-3ゾーンディフェンスのヒートを痛めつけた。

第3戦では苦しんものの、第4戦は堂々と巻き返している。22得点、9リバウンド、4アシスト、4ブロックと、ほぼすべてをこなしている。この試合でシリーズ最低得点だったバトラーを守る上でも重要な役割を担った。最初の3試合ではクラウダーやケリー・オリニクをマークしたが、第4戦ではバトラーを守っている。デイビスにマークされたバトラーにとって、何をするにも簡単にはいかなかった。

ここまでのファイナルで、デイビスは平均25.8得点、9.3リバウンド、3.3アシスト、1.8ブロック、FG成功率60.6%、3P成功率54.5%、FT成功率100%を記録している。ファウルトラブルに苦しんだ第3戦を除き、ヒートはデイビスを抑えられていない。

さらに、デイビスがコートにいた152分間で、レイカーズはヒートに24点差をつけている。ジェームズがプレイしていた153分間は、11点差だ。

ジェームズがコートにおらず、デイビスがプレイしていたのは37分だが、レイカーズはヒートより11得点多く記録している。レギュラーシーズンはそうではなかった。

ジミー・バトラー

Jimmy Butler Miami Heat

オッズ: +2300

繰り返しになるが、レイカーズが第5戦で勝てば、バトラーがファイナルMVPを受賞する見込みはほとんどない。だがそれでも、彼は取り上げるにふさわしい。

第1戦からバトラーは平均29.0得点、11.7アシスト、9.7リバウンドと、ジェームズのような数字を記録している。アデバヨとゴラン・ドラギッチが不在だった第2戦で、予想以上にヒートを踏ん張らせたのは、25得点、13アシスト、8リバウンドをマークしたバトラーだ。そして第3戦、バトラーは歴史的な40得点でのトリプルダブルを達成し、ヒートのシリーズ初勝利に貢献した。

第4戦ではデイビスに抑えられたが、それでもバトラーは22得点、10リバウンド、9アシストと、2試合連続トリプルダブルまであと1アシストという活躍だった。

バトラーがコートにいる時といない時の数字は、知るべきすべてを示している。バトラーが出場している時のヒートは、100ポゼッション当たりに平均113.6得点を記録。人材不足だったことを考えれば見事な数字だ。そして、バトラーがベンチにいると、その数字は平均94.0得点まで下がる。

バトラーがコートにいても、ヒートのネットレーティング(100ポゼッション当たりの得失点差)はマイナスだ。だが、バトラーがコートにいる時(-2.8)と、彼がベンチにいる時(-20.8)には驚きの差がある。

サンプルサイズが小さい? 確かにそうだ。だが、第1戦でアデバヨとドラギッチが負傷した際に多くの人が予想したよりも、このシリーズが競ってきた理由は、バトラーだ。ヒートがこのシリーズをさらに続けられれば、バトラーがファイナルMVPを受賞すべきとの声は大きくなるばかりだろう。

原文:NBA Finals 2020: Taking stock of the Finals MVP race between LeBron James, Anthony Davis and Jimmy Butler. by Scott Rafferty/NBA Canada


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Scott Rafferty

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Scott Rafferty is an experienced NBA journalist who first started writing for The Sporting News in 2017. There are few things he appreciates more than a Nikola Jokic no-look pass, Klay Thompson heat check or Giannis Antetokounmpo eurostep. He's a member of the NBA Global team.