レイカーズの2連勝となったNBAファイナル第2戦の勝負を分けたポイント

Scott Rafferty

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ロサンゼルス・レイカーズは、17度目の優勝まであと2勝とした。

NBAファイナル第2戦、再びアンソニー・デイビスがけん引し、レイカーズは支配的にマイアミ・ヒートを下した。デイビスは32得点、14リバウンドを記録している。一方、レブロン・ジェームズは33得点、9リバウンド、9アシストと、トリプルダブルまでわずかという活躍だった。

ヒートはジミー・バトラーが25得点、13アシスト、8リバウンドと奮闘したが、ゴラン・ドラギッチとバム・アデバヨの負傷欠場を乗り越えるのは簡単ではなかった。

NBAファイナル第2戦の勝敗を分けたいくつかのポイントをみてみよう。

1. 痛かったドラギッチとアデバヨの欠場

試合の数時間前、ドラギッチ(足)とアデバヨ(首/肩)が負傷で第2戦を欠場することが分かった。

第3戦に彼らが間に合うかどうかは時間のみが知る。だが、彼らがいない限り、ヒートはこのシリーズで対抗するのが厳しくなるだろう。

ドラギッチはバトラー以外のプレイメーカーとなり、ヒートのプレイオフにおける躍進を助けてきた。1試合平均19.9得点はバトラーに次ぐチーム2位。4.6アシストはバトラー、アデバヨと並ぶ。彼がオールスターに出場したときのような調子に戻ったことは、ヒートの骨組みを完全に変えた。

アデバヨが攻守両面でヒートのベストプレイヤーだったのは間違いない。1試合平均17.8得点、10.9リバウンド、4.6アシスト、1.1スティール、0.8ブロックという数字が物語っている。だが、ヒートにとって彼がいかに大事かをより明確に示すのが、アデバヨ出場時の100ポゼッションあたりの得点だ。彼がいないときと比べてそれは11.3得点も多いのだ。

0勝2敗となった今、ヒートはドラギッチとアデバヨが第3戦に出場できることを願うしかない。それができなければ、短いシリーズとなるだろう。

2. 非常時に非常手段

ドラギッチとアデバヨ不在のヒートは、第2戦のスターターをバトラー、タイラー・ヒーロー、ダンカン・ロビンソン、ジェイ・クラウダー、マイヤーズ・レナードにした。

今季、この5人が一緒にプレイした時間はどれくらいだろうか。『NBA.com』によると、レギュラ-シーズンではゼロ。プレイオフでは2分間だ。

バトラー、ヒーロー、ロビンソン、クラウダーは、ポストシーズンを通じてローテーションに入っていた。だが、レナードがコートに立ったのは、プレイオフに入ってからこの日が2度目だった。

そういうラインナップを引っ張り出さなければいけないほど、ヒートの台所事情は厳しい。

3. まったく違ったドワイト・ハワード

第1戦でドワイト・ハワードは雑なスタートだった。第1クォーターで得点できなかっただけでなく、リバウンドも1、ターンオーバーも1だった。ドラギッチが休みなくピック&ロールで彼を攻め立て、ハワードは早々にベンチに座ることとなった。

だが、第2戦はまったく違った。

ハワードは攻守両面でエネルギッシュなスタートを切り、レイカーズを引っ張った。攻撃ではフィールドゴール3本中3本成功の6得点、1アシストを記録。ジェームズ、デイビスと一緒にアグレッシブに走り、何度かイージーバスケットを奪っている。

守備でも、ハワードは2リバウンドを記録し、バトラーのショットをリングでブロックする場面もあった。

その結果、第1戦の第1Qでハワードがコートを出たとき、レイカーズは10-23とビハインドを背負っていたが、第2戦では25-18とリードしている。

早くにレイカーズがリードした理由は、ハワードだけではない。だが、彼は力強く貢献した。今季の彼の復活は、すごい話だ。

4. チートモードのレブロン

予想通り、第2戦のヒートは早くからしばしばゾーンディフェンスを用いた。理論上は、レイカーズを守る賢いやり方だ。

シリーズ前にも書いたが、レギュラ-シーズンでレイカーズほどペイントを支配し、3ポイントショット成功率が低いチームはなかった。ヒートの2-3ゾーンディフェンスは、ペイントを封鎖し、相手に3Pを打たせようとするもので、レイカーズ相手には効果的なはずだ。

だが実際には、コートにジェームズがいると、ゾーンディフェンスをするのが難しい。バスケットボールの博士と言ってもいい彼は、このようなことができてしまうからだ。

レナードやケリー・オリニクではなく、アデバヨがリングを守るときのヒートのゾーンディフェンスは別物だ。だが、ゾーンの真ん中にジェームズを置き、そこからプレイを展開できるのは、もはやチートモード(テレビゲームにおける制作者の意図に反する不正行為)である。パスで相手チームをバラバラにすることができてしまうのである。

さらにレイカーズはジェームズの位置を動かした。時にはウィングに立ち、時にはベースライン付近をうろうろする。彼がそういった動きをし、デイビスが積極的にオフェンシブリバウンドに絡むことで、レイカーズはヒートのゾーンをうまくコントロールした。

【動画】レブロン・ジェームズ ハイライト

5. レイアップライン

第2戦でヒートにとってアデバヨの不在は守備面でどれほど大きかったのか。前半のレイカーズは2ポイントショットが20本中17本成功だった。そしてその多くがリングに向かってきたものだ。

ヒートが踏みとどまることができたのは、レイカーズの3Pが27本中9本と不調だったからだ。

NBA Canada Graphic

アデバヨはルディ・ゴベア(ユタ・ジャズ)のようなリムプロテクターではない。206cm、116kgのアデバヨが、リーグ有数のディフェンダーとなったのは、彼が基本的にどのポジションでもハイレベルに守れるからだ。だが、彼はその部門でレナードやオリニクよりもずっと効果的だ。『NBA.com』によると、レギュラ-シーズン中にアデバヨがリングを守っているときの相手のFG成功率は55.6%だが、レナードだと65.9%、オリニクだと61.7%になる。

ヒートがアデバヨ不在でレイカーズをペイントの外にとどめておくことは難しい。たとえ、ヒートがゾーンディフェンスだけをし続けたとしても、だ。

6. ファイナルMVP級のデイビス

ヒートは第3戦でドラギッチとアデバヨが戻ってくるかもしれない。ヒートが2連勝してシリーズをタイとし、少なくとも第6戦まで戦うことになるかもしれない。ジェームズに火がつき、歴史的なパフォーマンスでレイカーズをタイトルに導くかもしれない。

だが、今のところ、ファイナルMVPはデイビス次第だ。

第1戦では32得点、14リバウンド、1スティール、1ブロックを記録した。FG20本中15本と非常に効果的だった。そのサイズでヒートを圧倒したバスケット付近で最高の仕事をしたが、インサイドからもアウトサイドからも効果的だった。

第2戦でデイビスが最も良かったのは、第3Qだ。FG8本中7本成功の15得点を記録した。ヒートは彼を全く抑えることができなかった。

今ファイナルでまたしても、歴史的な傑作が生まれるかもしれない。

【動画】アンソニー・デイビス ハイライト

7. ケンドリック・ナンのブロック

第2戦でデイビスが外した数少ないショットのひとつがこれだ。

188cmのケンドリック・ナンが、208cmのデイビスをブロックしたのだ。あまり見られることではない。

8. 良いことにも終わりあり

ESPN』によると、このシリーズまで、ヒートは第1戦を落とした際の第2戦で7連勝していた。すべてエリック・スポールストラ・ヘッドコーチの下で、だ。NBAの歴史で最長の記録だった。

今、その記録は途絶えた。だが、素晴らしいことに変わりはない。

ドラギッチとアデバヨがいなかったにもかかわらず、ヒートは終盤まで踏みとどまり、第2戦を面白い試合にした。けん引したのはバトラーだが、ヒーロー、オリニク、ナンも良いところがあった。フリースローもよく、34本中31本成功。レイカーズは17本中10本成功だ(フランク・ボーゲルHCはそれを良く思わないだろう)。

ふたりのベストプレイヤーが不在でも、第2戦のヒートは最後の最後まで戦うことを示したのである。第3戦ではもっと激しいファイトが見られるはずだ。

9. 次は?

レイカーズとヒートは4日(日本時間5日)に第3戦に臨む。ティップオフ時間はやや早く、日本時間では午前8時30分だ。

原文:NBA Finals 2020: Los Angeles Lakers take 2-0 series lead behind another Anthony Davis masterclass by Scott Rafferty/NBA Canada(抄訳)


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Scott Rafferty is an experienced NBA journalist who first started writing for The Sporting News in 2017. There are few things he appreciates more than a Nikola Jokic no-look pass, Klay Thompson heat check or Giannis Antetokounmpo eurostep. He's a member of the NBA Global team.