【NBAファイナル2019徹底解説】ラプターズ対ウォリアーズの注目ポイント

大西玲央 Reo Onishi

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いよいよ2018-19シーズンの王者を決めるNBAファイナルが始まる。ウェスタン・カンファレンス第1シードとして、5年連続のファイナル進出を果たして3連覇を狙うゴールデンステイト・ウォリアーズと、イースタン・カンファレンス第2シードとしてチーム史上初のファイナル進出を決めたトロント・ラプターズが対戦する。5月30日(日本時間31日)から始まる決勝シリーズの注目ポイントを確認しよう。

📺 NBAファイナル2019全試合配信(Rakuten TV / NBA公式視聴サービス)

 

対戦カード

ゴールデンステイト・ウォリアーズ(ウェスト) vs トロント・ラプターズ(イースト)

 

日程

第1戦 5/31(金)AM10:00 GSW at TOR
第2戦 6/3(月)AM9:00 GSW at TOR
第3戦 6/6(木)AM10:00 TOR at GSW
第4戦 6/8(土)AM10:00 TOR at GSW
*第5戦 6/11(火)AM10:00 GSW at TOR
*第6戦 6/14(金)AM10:00 TOR at GSW
*第7戦 6/17(月)AM9:00 GSW at TOR
※日本時間。*は必要な場合のみ開催。

 

放送・配信

Rakuten NBA Special(及びNBAリーグパス)

 

ここまでの道のり

さすがに5年連続ともなると、ウォリアーズがファイナルに進出するのは見慣れたふしがあるが、だが、決してここまで楽々と勝ち上がってきたわけでは決してない。レギュラーシーズン中はチーム内での不和が噂されるなど、これまでのような圧倒的に相手チームを次々と倒していく姿はなかった。

プレイオフでも1回戦でロサンゼルス・クリッパーズ相手にホームで2敗を喫し、ヒューストン・ロケッツとのカンファレンス・セミファイナルではケビン・デュラントをケガで失った。4連勝したカンファレンス・ファイナルでも、ポートランド・トレイルブレイザーズ相手に何度も二桁リードを許してしまう場面が見られたのは記憶に新しい。

それでもここまで勝ち上がっているのは、ステフィン・カリー、ケビン・デュラントといったMVP級選手を揃えたそのスターパワーと、過去4年で3度の優勝を成し遂げてきた経験値だろう。

一方のラプターズは、今季開幕前に生え抜きのスター選手だったデマー・デローザン(現サンアントニオ・スパーズ)をトレードし、ケガの影響でどこまでのプレイができるのか不透明だったカワイ・レナードを獲得。そのレナードは、レギュラーシーズンを22試合欠場したものの、プレイオフではここまでリーグのベストプレイヤーのひとりとして圧倒的なパフォーマンスでチームを牽引している。

カンファレンス・セミファイナルではフィラデルフィア・76ersと第7戦までもつれながらも、レナードの劇的なブザービーターでシリーズを制した。続くカンファレンス・ファイナルではリーグ最高勝率を記録したミルウォーキー・バックスを0勝2敗からの4連勝で倒した勢いがある。

 

レギュラーシーズンはラプターズが2戦2勝

ラプターズはウォリアーズとの今季のレギュラーシーズン戦で2戦2勝で、ウォリアーズが今シーズン唯一勝利をあげていないチームだ。しかしどちらの試合もトレード期限前であったのと、お互い欠場者が多くあまり参考にはならないかもしれない。

しかし特に2試合目は、アンドレ・イグダーラが欠場したものの、カリー、デュラント、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンを擁するウォリアーズにカワイ・レナード抜きでラプターズが勝利している。これは、ラプターズにとって自信に繋がっているだろう。

レナードへの依存率が高いと言われることが多いラプターズだけに、エース抜きでこれから戦う相手に勝ったことがあるという経験値は大きいはずだ。

📺 ラプターズ対ウォリアーズのNBAファイナル2019観るならRakutenTV

 

注目のマッチアップ

ドレイモンド・グリーン対パスカル・シアカム。デュラントをケガで失ってから、ウォリアーズはカリーとグリーンのピック&ロールを武器にロケッツとブレイザーズを倒してきた。デュラントがいないほうがウォリアーズは強いとは思わないが、いなくてもこの武器があるから強力であり続けることは間違いない。このピック&ロールを完全に防ぐのは困難なことだが、レナードとシアカムのコンビがどのように対抗するのかは注目だ。

オフェンスではトリプルダブル、ディフェンスではブロックを連発しているグリーンに対して、シアカムがどこまで注意を引けるかが、このシリーズの鍵を握る。ウォリアーズとしても、オフボールでのカットの動きや、プレイメイクにも長けているシアカムを放っておくわけにはいかないため、グリーンがディフェンスで自由に動き回ることは難しくなるだろう。

外からのショットをグリーンにケアさせられるかどうかもシアカムにとっては重要となりそうだ。コーナーからの3ポイントショットを除くと、一気に数字が落ちてしまうシアカムのアウトサイドからのシュート力だが、少しでもグリーンを引きつけることができれば、ラプターズのオフェンスは有利になる。逆にグリーンがここを捨てても良いと判断できるほどになってしまうと、ラプターズは苦しい状況が続くこととなるだろう。

 

注目のスタッツ

レナードのアシスト。2018-19シーズンは平均3.3アシスト、もともとそこまでアシストが多い選手ではない。しかし、プレイオフでは1回戦に平均3.0本、カンファレンス・セミファイナルで4.0本、カンファレンス・ファイナルで4.3本と徐々に伸びてきている。特にカンファレンス・ファイナルの第5戦では9アシスト、第6戦では7アシストと周囲を活かすプレイが際立っていた。

レナードの1対1の能力の高さ、ミッドレンジからの高確率でのショットメイクが一番の武器であることは間違いない。しかし彼のアシスト数が多ければ多いほど、それは先述のシアカムや、ここ数試合大当たりのフレッド・バンブリート、カイル・ラウリーといった面々をうまく活かすことに成功している証となる。そうなったときのラプターズは、王者ウォリアーズと十分に渡り合える強力なチームになるだろう。

📈 シリーズ・マッチアッププレイオフ

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大西玲央 Reo Onishi

大西玲央 Reo Onishi Photo

アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。