NBAドラフトロッタリー2024の結果に見る注目ポイント 幸運に恵まれたのはホークスやスパーズ

Stephen Noh

坂東実藍 Miran Bando

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5月12日(日本時間13日)に行われたNBAドラフトロッタリーは、シーズン下位だったチームたちにとって大きな一日だった。

昨年は30勝に達しなかったのが4チームだけだったが、今季は7チーム。彼らはトップ指名権を得ようと、大きな痛みに耐えてきた。

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その価値はあったのだろうか。2019年のロッタリーオッズのフラット化により、タンクする動機は著しく減った。それでも、トロント・ラプターズやユタ・ジャズは、ドラフトでの幸運の可能性を高めようと、シーズン半ばに大きくシフトチェンジしている。デトロイト・ピストンズなど、その他のチームは、できるだけ勝とうとしたが、純粋に出来が良くなかった。

そして、ドラフトロッタリーが行われた。大いに満足しているチームもあれば、不満のチームもある。ここでは、ロッタリーの結果を受けた注目ポイントをまとめる。

NBAドラフトロッタリー2024の結果

指名順チーム
1位ホークス
2位ウィザーズ
3位ロケッツ
4位スパーズ
5位ピストンズ
6位ホーネッツ
7位ブレイザーズ
8位スパーズ
9位グリズリーズ
10位ジャズ
11位ブルズ
12位サンダー
13位キングス
14位ブレイザーズ

NBAドラフトロッタリー2024を受けた注目ポイント

アトランタ・ホークス

ホークスが全体1位指名権を得る確率は3.0%だった。それを手にしたのだ。ホークスが全体1位指名権を獲得したのは、デイビッド・トンプソンを選んだ1975年以来である。

この夏、ホークスは大きな変化を迎えるはずだった。トレイ・ヤングとデジャンテ・マレーのコンビは素晴らしい結果につながらず、どちらかは移籍するかもしれない。全体1位指名権が、これからチームを再編成する上での大きな財産となることは確実だ。

これにより、ホークスはあっという間にこの夏注目の興味深いチームのひとつとなった。

サンアントニオ・スパーズ

ラプターズのトップ6保護条件つきの指名権をスパーズが手にする確率は54.1%だった。ロッタリーの結果、ラプターズの指名権は全体8位となり、スパーズのものとなっている。

また、スパーズはもともとの自分たちの指名権がトップ4以内となる確率が42.1%だった。そしてロッタリーの結果、全体4位指名権を手にしている。

これらの指名権を得たことで、スパーズにはいくつかの素晴らしい選択肢ができた。今後の決定はすべて、ビクター・ウェンバンヤマといかにうまくフィットさせるかに焦点があてられるはずだ。スパーズはポイントガードのポジションでアップグレードを強く必要としているが、このドラフトではいくつか良い選択肢がある。

今シーズンのスパーズはあまり多くの白星をあげられなかったかもしれない。だが、ウェンバンヤマは良くなるばかりで、ドラフトで若いタレントたちを加えられるだけに、あっという間に状況を好転させるチャンスがある。

Victor Wembanyama
(Getty Images)

ロッタリー中位のチームたち

例年なら、ドラフトロッタリーで勝てばチームは喜ぶだろう。だが、ことしのドラフトはいつもと違う。全体1位指名どころか、トップ4についてすら、まだ意見が一致していないのだ。

ホークス、ワシントン・ウィザーズ、ヒューストン・ロケッツ、そしてスパーズにかかるプレッシャーは大きい。さらに悪いことに、選択を誤れば大きな代償を払うことになるかもしれないのだ。『RealGM』によると、これらの指名権で選ばれる選手たちの1年目の保証年俸は、760万ドル(約11億8560万円/1ドル=156円換算)から1050万ドル(約16億3800万円)となる。

もちろん、上位指名が望ましいことに変わりはない。だが、今回はロッタリーで中位となったチームにとって素晴らしいドラフトでもある。その年のベストプレイヤーたちがこれらの順位の指名となる可能性が、例年よりも高いのだ。

これらのチームのファンは、ロッタリーで「負け」となったことをあまり悪く思うべきではない。2013年のドラフトにとても似ているのだ。ヤニス・アデトクンボが全体15位指名だった当時のように、何もないところからその年のベストプレイヤーが出てくるかもしれない。

フランスの有望選手たち

フランスバスケットボール界にとっては良い一年だった。ウェンバンヤマは絶対的な本物のようであり、ルディ・ゴベアは年間最優秀守備選手賞を受賞している。

そしてフランスにはさらに2人、有望なビッグマンたちがいる。アレックス・サーとザカリー・リザシェーは、『スポーティングニュース』の専門家カイル・アービングによるモックドラフトで全体1位と4位予想だ。その場合、ホークスとスパーズに指名されることとなる。

フランスはバスケットボールの育成大国となりつつある。ウェンバンヤマの弟も控えているのだ。

ヒューストン・ロケッツ

ロケッツがトップ4指名権を得る可能性は2つあった。もともとの指名権が全体4位までになっていたら、彼らはそれを保っただろう。だが、全体12位でオクラホマシティ・サンダーに渡ることとなった。しかし、ロケッツには保護条件なしのブルックリン・ネッツの指名権もあった。トップ4となる確率は20.3%だったが、それが全体3位指名権となったのである。

タンクを拒んだチームにとっては、非常に良いリターンだろう。昨年はオフシーズンに大きな改善を行い、今季は41勝41敗と昨季の22勝から大きく成績を向上させた。

Scottie Barnes and Trae Young
(Getty Images)

トロント・ラプターズ

ラプターズは指名権を保つために、6位までの指名権となることが必要だった。そして、プレイオフ進出を目指すグループから、その目標を満たすことに方針を変えたのだ。だが、負け続けたここ数か月は何にもならなかった。ラプターズの指名権はスパーズに送られることになったのである。

これは、2023年のトレードデッドライン(トレード期限)でラプターズが行った取引の終わりとなる。ヤコブ・パートルと引き換えに、ケム・バーチ、2024年ドラフト指名権、将来の2巡目指名権2つを手放した取引だ。パートルは良い選手だが、これだけの条件には見合わなかった。

デトロイト・ピストンズ、ポートランド・トレイルブレイザーズ、シャーロット・ホーネッツ

ピストンズにとっては再び残酷なシーズンとなった。リーグ最少の17勝に終わった昨年は、全体5位指名だった。そして今季は14勝に終わり、また全体5位指名となったのである。

ブレイザーズは4位までとなり得る指名権が2つあった。だが、ゴールデンステイト・ウォリアーズからの指名権は14位に。もともとの指名権は7位となった。ホーネッツと並んでリーグワースト3位の成績だった彼らだけに、厳しい結果だ。

そのホーネッツは、全体6位指名権とブレイザーズよりわずかに良い結果となった。もちろん、彼らが望んだような順位ではないだろう。だが、彼らは昨年、全体2位でブランドン・ミラーを指名しており、これからヘッドコーチが新たにチャールズ・リーとなる。ロッタリーの結果は素晴らしくなかった。だが、ホーネッツの状況は良くなるかもしれない。

原文:NBA Draft Lottery winners & losers 2024: Hawks, Spurs get lucky; Raptors, Pistons face bitter disappointment(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。