NBAドラフト2021 トップ3プロスペクト紹介

大西玲央 Reo Onishi

NBAドラフト2021 トップ3プロスペクト紹介 image

7月29日(日本時間30日)、ニューヨーク州ブルックリンのバークレイズ・センターにてNBAドラフト2021が開催される。

2021-22シーズンからプレイが可能となる、合計60人(1巡目で30人、2巡目で30人)のルーキーたちが指名される運命の日だ。

今年のドラフトは層が厚いという呼び声が高く、注目される選手も多い。今回は多くのドラフト予想サイトでトップ3としてあげられる選手を紹介したい。


Cade Cunningham

ケイド・カニングハム - PG

カニングハムはオクラホマステイト大学で1年プレイした203cm、100kgの大型ポイントガードだ。1年生ながらも平均20.1得点、6.2リバウンド、3.5アシスト、1.6ブロック、3ポイント成功率40.0%を記録し、チームを4年ぶりのNCAAトーナメントへと導いた。

高校の頃から注目されている選手だったカニングハムは、高校最後の2年間をモントバード・アカデミーでプレイ。ディアンジェロ・ラッセル、ベン・シモンズ、RJ・バレットなどを輩出した超名門校だ。そこでカニングハムは圧倒的な強さを誇るチームの中核としてプレイし、歴代最強高校選手のひとりと称されるほどとなった。

ガードとしては大きなサイズ、そして7フィート(213cm)を超えるウィングスパン(腕を広げた長さ)という恵まれた体格から繰り広げられるオフェンスは多彩だ。中でも外でも得点をすることができ、コートビジョンと判断力の高さが可能とするパスの数々で、味方のオフェンスを作り出す。ディフェンスでも嗅覚が高く、長さを使った守りが光る。

小さく素早いガード相手に横の動きでついていくようになることが、当面の課題となるだろう。爆発的な身体能力の高さを持ち合わせているわけではないため、どちらかというとそのIQとフィジカルで切り開いていくこととなる。

比較対象としてはよくルカ・ドンチッチがあげられるが、いきなり世界屈指のプレイヤーとの比較は荷が重いかもしれない。シェイ・ギルジャス・アレクサンダーや、若い頃のグラント・ヒルなどが連想される。

Jalen Green

ジェイレン・グリーン - SG

グリーンは198cm、82kgのシューティングガードで、高校最終年に平均31.5得点、7.5リバウンド、5.0アシストを記録するなど、その得点能力が高く評価されている選手だ。2018年にアルゼンチンで開催されたFIBA U-17バスケットボール・ワールドカップではMVPに輝き、アメリカ代表を金メダルへと導いている。

多くの名門大学にリクルートされながらも、進学ではなくNBA Gリーグ・イグナイトと1年50万ドルの契約を結び、NBA Gリーグでプレイすることを選択した。

イグナイトでは15試合をプレイし、平均32分の出場で17.9得点、4.1リバウンド、1.5スティール、3P成功率36.5%と、プロ相手でもプレイできることを見せつけた。19歳とまだ若いものの、Gリーグでプレイした経験値はほかの同年代に比べて大きいだろう。

グリーンは上述したカニングハムとは違って、その身体能力の高さから得点を生み出す屈指のスコアラーだ。リングに向かう爆発力や、ドリブルから作り出されるステップバックジャンパーなど、あらゆる形で得点を重ねてくる。

最近のシューティングガードに比べるとそこまでサイズがあるわけではないため、NBAに入ってそこにどうアジャストするのかは重要になりそうだ。パスとディフェンスも悪いわけではないが、プロではより高度なレベルでのパフォーマンスが要求される。

NBA選手との比較では、爆発力が売りのザック・ラビーンやブラッドリー・ビールなどがあげられる。

Evan Mobley

エバン・モーブリー - C

モーブリーは213cm、97キロのスキルのある長身センターだ。高校時代には2年連続でカリフォルニア州ゲータレード・プレイヤー・オブ・ザ・イヤーに選出され、ドリュー・ホリデーに続いて同賞を2度受賞した史上2人目の選手となった。

多くのリクルートを受けながら、進学したのはUSC(南カリフォルニア大学)。33試合に出場し、平均16.4得点、8.7リバウンド、2.4アシスト、2.9ブロックを記録し、1年生ながらPac-12カンファレンスの最優秀新人選手は当然のこと、最優秀選手と最優秀守備選手にも選ばれた。

オフェンス面では、ピック&ポップで外から、ピック&ロールで中から攻めることができるだけでなく、シュートせずにプレイメイクにも回ることができるなど、とにかく多彩。ビッグマンながらも、オフェンスの起点となれるタイプだ。

ディフェンス面でも、多様性のある選手で、ピック&ロールを上手く守ることができる上に、223cmのウィングスパンでリムプロテクターとしても優秀だ。

懸念点はまだ体格が出来上がっていないことから、屈強なインサイド選手が活躍するNBAで、どこまでフィジカル争いができるかだろう。

NBA選手との比較では、クリス・ボッシュやサイズのあるバム・アデバヨなどが考えられる。


NBA公式動画をチェック!

大西玲央 Reo Onishi

大西玲央 Reo Onishi Photo

アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。