ナゲッツはウルブズに敗れた第1戦で何がうまくいかなかったのか?

坂東実藍 Miran Bando

Jeremy Vernon

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デンバー・ナゲッツはミネソタ・ティンバーウルブズとのウェスタン・カンファレンス・セミファイナル第1戦で99-106と敗れた。

ナゲッツがポストシーズンのシリーズで追う立場になったのは、上位シードのゴールデンステイト・ウォリアーズと対戦したNBAプレイオフ2022のファーストラウンド以来のことだ。2023年は常にシリーズをリードしてNBA優勝を飾っている。

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ウルブズとの第1戦で、ナゲッツは何がうまくいかなかったのか。そしてこれはシリーズの残り試合に向けて何かを暗示しているのか。ここで見ていこう。

アンソニー・エドワーズの活躍

ずっとNBA有数の若手選手と見なされてきたエドワーズだが、このポストシーズンのプレイぶりは、スーパースターの地位を手にしようと決意しているかのようだ。

第1戦でエドワーズはフィールドゴール29本中17本成功の43得点、7リバウンド、2ブロックを記録した。若き日のマイケル・ジョーダンを彷彿させるエドワーズは、主にミッドレンジからナゲッツを苦しめ、自在に決めるターンアラウンドフェイダウェイジャンパーでナゲッツの選手を困惑させた。

エドワーズは前半だけで25得点をあげており、チームで唯一となる15本超のFG試投を記録している。プレイオフでは2試合連続の40得点超だ。22歳以下でこの記録は、コービー・ブライアントに続く2人目である。

また、エドワーズはまだ経験がまずまずだが、すでにウルブズの疑いなきリーダーとなっている。コートで最も声を出している選手であることはしばしばだ。必要な時にチームメイトを励まし、方向性を与えている。

そんなエドワーズに対し、ナゲッツは守備で堅実に対抗できなかった。ジャマール・マレーはふくらはぎの痛みで普段よりもステップワークが遅い。クリスチャン・ブラウンはエドワーズに対峙するには十分な速さがなく、ケンテイビアス・コールドウェル・ポープとレジー・ジャクソンはポストアップしたエドワーズを効果的に阻むだけの強さを欠いている。

ナゲッツがエドワーズに対抗する策を見つけられなければ、第2戦も落とし、深刻な問題を抱えて敵地での連戦に向かう危険に陥るかもしれない。

マッチアップの問題

ロサンゼルス・レイカーズとのファーストラウンドをナゲッツが支配した理由のひとつは、オフェンシブリバウンドをコントロールできたからだ。レイカーズとの5試合では常に9オフェンシブリバウンド超を記録している。だが、ウルブズとの第1戦では3オフェンシブリバウンドにとどまった。

シリーズの大半でレイカーズのビッグマンはアンソニー・デイビスだけだったが、ウルブズは常に最低2人を擁する。ルディ・ゴベアかカール・アンソニー・タウンズ、あるいはナズ・リードだ。

ナゲッツは第1戦でゴベアに最多の13リバウンドを許し、タウンズ、リードとのコンビでアーロン・ゴードンがシャットアウトされた。ゴードンは9得点、3リバウンドにとどまっている。

ゴードンはレイカーズとのシリーズで平均13.8得点、9.8リバウンドを記録した選手だ。第3戦では29得点をあげている。そのゴードンが攻撃で活躍できず、守備でも第4クォーターにリードを守るのに苦しんだ。

タウンズがファウルトラブルに陥った中で、リードは第4Qに14得点をあげ、ウルブズの勝利に貢献した。今季のシックスマン賞を受賞したリードだが、フェニックス・サンズをスウィープ(4勝0敗)で下したファーストラウンドでは、平均9.5得点、2.0リバウンドという数字だった選手だ。

ニコラ・ヨキッチの次にナゲッツの選手で長身だったのが、マイケル・ポーターJr.だ。しかし、彼にはポストで勝負する強さがない。そのため、ウルブズのビッグマンをスローダウンさせる役割を担ったのが、6フィート8インチ(約203センチ)のゴードンだった。だが、この戦略はここまであまり効果を出していない。

ジャマール・マレーの不調

レイカーズとのファーストラウンドでは、5試合のうち2試合で決勝点をあげ、歴史をつくったマレーだが、ポストシーズンで浮き沈みのあるパフォーマンスが続いている。

ウルブズとの第1戦で、マレーは試合開始から苦しみ、前半は無得点だった。プレイオフで自身初のことだ。後半は17得点をあげたが、ナゲッツの攻撃がウルブズのタフな守備を上回る助けとなるには足りなかった。

ウルブズはレギュラーシーズンでディフェンシブレーティング108.4と守備がNBA最高だったチームだ。レギュラーシーズンでナゲッツを2回にわたって100点未満に抑えた唯一のチームでもある。

このポストシーズンのマレーは、平均22.5得点、FG成功率40.3%、3ポイントショット成功率31.6%という数字だ。昨季のプレイオフでは平均26.1得点、FG成功率47.3%、3P成功率39.6%だった。

マレーが再びスロースタートになれば、ナゲッツにはひっくり返すだけの力がないかもしれない。

原文:What went wrong for the Nuggets in Game 1 against the Timberwolves?(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。

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Jeremy Vernon is a reporter and editor from Greensboro, North Carolina, with a decade of experience in the industry. His previous stops include MLB.com and two local papers in N.C. — the Monroe Enquirer-Journal and the Chatham News + Record. When he isn’t working, you can likely find Jeremy at the dog park with his two-year old lab mix, Summer.