NBAトレード期限後のバイアウト市場で注目のトップ選手たち ディンウィディーやラウリーら

Kyle Irving

坂東実藍 Miran Bando

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2024年のNBAトレードデッドライン(トレード期限)を迎え、タイトルを競うチームは次に、ロスターのアップグレードを目指してバイアウト市場に向かう。

バイアウト市場は通常、成功するか失敗するかだ。獲得可能な選手の大半は、優勝リングを目指すキャリア終盤のベテランたちだ。バイアウト市場で契約した選手が、常にインパクトを残したり、ローテーションに割って入るとは限らない。だが、タイトルを目指すチームにとって、ロスターに残された穴を埋めるための機会となる。

Spotrac』のキース・スミス記者が指摘したように、NBAの労使協定が新しくなり、「ファーストタックスエプロン」(※エプロンは例外条項などの制限を決定する基準額)を上回っているチームは、以前のサラリーがノンタックスペイヤー・ミッドレベル例外条項(1241万ドル/1ドル=149円換算で約18億4909万円)を上回っていた選手と契約することができない。ボストン・セルティックス、デンバー・ナゲッツ、ゴールデンステイト・ウォリアーズ、ロサンゼルス・クリッパーズ、マイアミ・ヒート、ミルウォーキー・バックス、フェニックス・サンズがこれらのチームに含まれる。

しかし、バイアウト市場で獲得可能なのは通常、1241万ドルの基準を超えないベテラン契約が終わる選手たちだ。一方で、以下のリストには、スペンサー・ディンウィディー、カイル・ラウリー、マーカス・モリスSr.、ジョー・ハリスなど例外もある。彼らは前述した7チーム以外との契約が可能だ。

『スポーティングニュース』では、バイアウト市場で注目のトップ選手たちをまとめる。

NBAトレード期限後のバイアウト市場のトップ選手たち

スペンサー・ディンウィディー

この市場に出回った中で最も驚きの選手がディンウィディーだ。ブルックリン・ネッツからのトレード後、トロント・ラプターズにウェイブ(保有権放棄)された。

30歳のガードは今季、ネッツで平均12.6得点、6.0アシスト、フィールドゴール成功率39.1%と苦しんだ。だが以前、プレイメーカーやスコアラーとして、信頼できる攻撃の戦力になれることを証明している。

ディンウィディーがダラス・マーベリックスでの53試合、ネッツでの26試合に出場し、平均17.3得点、6.5アシストを記録したのは、つい昨シーズンのことだ。

『ESPN』のデイブ・マクメナミン記者によると、ロサンゼルス・レイカーズが「先頭集団」にあるという。

カイル・ラウリー

ラウリーは1月にテリー・ロジアーのヒート移籍の取引でシャーロット・ホーネッツにトレードされた。ベテランガードはNBAでもう一度タイトルを手にしようとしている。そのため、ホーネッツのミッチ・カプチャックGMは、トレードかバイアウトに至るまで起用しないと約束した。

そしてトレードデッドラインでラウリーの取引はなかったため、バイアウト市場が注目される。

37歳のラウリーは全盛期が過ぎた選手だ。今季は平均8.2得点、4.0アシストにとどまっている。だが、オールスター選出6回の彼が、限られた出場時間の中で役割をこなし、タイトルを競うチームに優勝のDNAをもたらせることは変わらない。

誇り高き北フィラデルフィア出身のラウリーだけに、フィラデルフィア・76ersが有力な新天地候補と見られている。

マーカス・モリスSr.

モリスSr.はトレードデッドラインで2回トレードされた。バディー・ヒールドの取引で76ersからインディアナ・ペイサーズにトレードされ、それからダグ・マクダーモットの取引でサンアントニオ・スパーズにトレードされている。

再建中のスパーズは、モリスSr.の契約をバイアウトするようだ。

34歳のモリスSr.は、76ersで平均6.7得点にとどまった。だが、それ以前の9シーズンは常に平均二桁得点をあげている。

モリスSr.がスペーシングできるフォワードで、タイトルを競うチームに守備で貢献できるかもしれないことは変わらない。

キリアン・ヘイズ

ヘイズもこの市場にたどり着いたことが驚きの選手だ。NBAドラフト2020で全体7位指名されたヘイズはまだ22歳。デトロイト・ピストンズはトレードデッドラインの日にウェイブすることを選んだ。

ヘイズのキャリアは波乱のスタートになった。平均8.1得点、5.2アシスト、FG成功率38.2%、3ポイントショット成功率27.7%という数字だ。ロスターを埋めようとしているタイトルを競うチームと逆に、状況を変える機会を与えたいと望む再建チームが獲得するだろう。

サディアス・ヤング

ヤングはトレードデッドラインでラプターズからトレードされ、ネッツにウェイブされた。

万能なベテランフォワードはこの数年、毎日ローテーション入りする選手ではなかった。だが、堅実なディフェンダーかつ、攻撃のつなぎ役として一定の時間で貢献できる選手なのは変わらない。

加えて、ヤングはチームメイトとの関係やベテランのリーダー役として、リーグ有数の選手であることが知られている。

ダニュエル・ハウスJr.

ハウスJr.はトレードデッドラインで76ersからトレードされ、ピストンズにウェイブされた。

30歳のハウスJr.は今季、76ersでローテーション入りするのに苦しんだ。しかし、通算3P成功率35.6%を記録しており、3Pと守備で貢献する可能性を持つ選手であることは変わらない。

『The Athletic』のシャムズ・シャラニア記者によると、「複数のタイトルを競うチーム」がハウスJr.を狙うと見られている。

コーリー・ジョセフ

ジョセフはドラフト2巡目指名権や金銭と引き換えに、ウォリアーズからペイサーズにトレードされた。だが、ペイサーズにバイアウトされると見られる。

平均11.4分間のプレイで2.4得点と、ジョセフはウォリアーズであまり出場機会を得られなかった。2014年のスパーズの優勝メンバーである32歳は、タイトルを目指してプレイメークと守備ができるベテランガードを探すチームのターゲットになるだろう。

ジョー・ハリス

ハリスはトレードデッドラインでピストンズにウェイブされた。

通算3P成功率43.6%のハリスは、タイトルを目指してショット力の向上を望むチームの主要ターゲットになるだろう。32歳でもはやローテーションプレイヤーとしては計算できないが、フロアを広げられるスペシャリストだ。

ロビン・ロペス

ロペスはバックスからトレードされ、サクラメント・キングにウェイブされると見られる。

35歳の7フッターは、ロッカールーム内のポジティブな存在、そしてフロントコートの層に厚みをもたせる選手として、どんなチームからも一定の関心を寄せられるはずだ。

その他

ダニーロ・ガリナーリ(ピストンズ)、オットー・ポーターJr.(ジャズ)、デロン・ライト(ワシントン・ウィザーズ)といったベテランたちが、それぞれのチームにバイアウトされるかは分からない。だが、彼らが市場にたどり着けば、注目の候補となるだろう。

ガリナーリとポーターJr.はサイズとショット力をもたらす。一方、ライトは堅実なディフェンダーかつパサーだ。

原文:NBA buyout market: Spencer Dinwiddie, Kyle Lowry headline best players available after 2024 trade deadline(抄訳)
翻訳:坂東実藍

Kyle Irving

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You read that wrong – not Kyrie Irving. From Boston, graduated from the University of New Hampshire. Sixth season as a content producer for NBA.com's Global editions. Covering the NBA Draft has become his annual "dream come true" moment on the job. Irving has a soft spot for pass-first point guards, with Rajon Rondo and Steve Nash being two of his favorite players of all time.

坂東実藍 Miran Bando

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。