海外での試合開催でコロナ禍からの脱却を狙うNBA|NBAジャパンゲームズ2022

大西玲央 Reo Onishi

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さいたまスーパーアリーナで開催されたNBAジャパンゲームズ2019

3月15日、楽天グループとNBAが『NBA Japan Games 2022 Presented by Rakuten』を開催することを発表した。ゴールデンステイト・ウォリアーズとワシントン・ウィザーズが、9月30日と10月2日に埼玉県のさいたまスーパーアリーナにてプレシーズンゲームを行う。2019年に同会場で開催されて以来、3年ぶりのNBAジャパンゲームズだ。

2003年以来、16年ぶりに開催されたNBAジャパンゲームズ2019は、トロント・ラプターズとヒューストン・ロケッツが来日し、2試合のプレシーズンゲームが行われた。両試合ともソールドアウトとなる2万413人の来場者数を記録し、大盛り上がりとなった。

毎年の恒例となることが期待されたジャパンゲームズだが、その行く手を阻むこととなったのが世界中を襲った新型コロナウイルスの感染拡大だ。NBA 2019-20シーズンは2020年3月11日に中断し、7月30日に無観客でのバブル開催という形で再開された。

大幅にずれ込んだシーズンは2020-21シーズンの開幕を遅らせ、感染拡大が収まらないなかで、同シーズンはほぼ無観客という状態で開催された。

そして現在行われている2021-22シーズンは、ようやく例年通りのカレンダーに戻り、ほとんどの会場は有観客で開催することに成功している。

リーグが発表する入場者数を集計しているInsideHoops.comによると、今季の入場者数は、現地3月13日終了時点で平均1万6986人。中断した2019-20シーズンは平均1万7791人、新型コロナウイルスの影響を全く受けていない2018-19シーズンは平均1万7844人だったことから、例年よりも1000人弱減少している計算となる。

入場者数の減少は、会場によってワクチン接種証明書の提示やマスク着用のルールなどが存在することもあり、以前ほど気軽に行けなくなっているのが影響していると考えられる。単純に、まだ大勢の人がいる場所に行きたくないと感じている人もいるに違いない。

しかしチームによっては入場者数が増加しているところもあり、NBAとしてはようやく通常通りのシーズンに戻り始めたという手応えがあるだろう。

Logo NBA Japan Games 2022 Presented by Rakuten
NBA Entertainment

そこで次の段階として目を向けられたのが、海外でNBAの試合を開催するグローバルゲームズだ。NBAは以前から、日本以外にも中国、ヨーロッパ、中南米、近年ではアフリカなど世界中で試合を開催することに力を入れてきていた。

アダム・シルバーNBAコミッショナーも、本日の会見で「リーグのチームが海外渡航を再開することは、私たちがより普通な生活に戻りつつあることの証です」と語っている。

「こうしてNBAの試合を再び他の大陸に届けることができるというのは、我々にとって非常に励みになることです」。

日本政府は3月11日、大規模イベントにおける人数制限撤廃の新方針を提示し、欧米諸国ほどではないにしろ、徐々にコロナ関連の規制が緩和され始めている。NBAの基準と日本の基準が大きく異なることから、今回のジャパンゲームズが感染対策という観点でどのように開催されるのかは注目すべきポイントとなるだろう。

シルバーNBAコミッショナーも会見で言及していたように、2021年に東京オリンピックが開催され、2022年にはNBAジャパンゲームズ、そして2023年にはフィリピン、インドネシア、日本の3か国共催のFIBAバスケットボールワールドカップが控えている。日本には今、世界トップレベルのバスケットボールが毎年開催されるというまたとない機会が訪れているのだ。

NBAジャパンゲームズ2022が再び多くの注目を浴び、日本におけるバスケットボールの盛り上がりをさらに加速させるイベントとなることを切に願う。

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大西玲央 Reo Onishi

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アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。