『NBA 2K21』開発者インタビュー「今作は今まで以上にパワフル」

西尾瑞穂 Mizuho Nishio

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8月27日、人気NBAバスケットボール・ゲーム『NBA2K』シリーズの最新作『NBA 2K21』の発表会が開催された。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、アメリカにいる開発チームと日本をZOOMで結んだオンライン発表会となったが、数多くのメディアが参加したことからも、この人気タイトルに対する注目度の高さを伺わせた。

まず最初に行なわれた開発チームによるプレゼンテーションでは、『NBA 2K21』の注目要素として以下のポイントが紹介された。

■新しいゲームプレイ体験

『NBA 2K21』ではゲームプレイがさらに洗練されており、プロスティックによる新しいコンビネーション・ムーブが可能になったほか、ディフェンスのモーションスタイルも追加された。さらに、動きの処理エンジンを強化したことで、ユーザーの操作をダイレクトに反映できるようになった。また、選手作成の柔軟性も向上しており、ポイントガードの最高身長は203cmまで設定可能になっている。

ゲームプレイ・ディレクターのマイク・ワン氏は、「今作は今まで以上にパワフルになるように開発しました。スキルが高いユーザーはプロスティックのコントロールによって有利に試合を進められますが、その一方で、カジュアルなユーザーも楽しめるような調整に努めました」と、コメントしている。

■1年を通して楽しめる「マイチーム」モード

『NBA 2K21』のマイチームには長く楽しめる工夫がされており、今年の秋以降に発売予定の次世代機(PS5とXBOX SERIES X)に進行状況やコレクションをスムーズに引き継げるようになっている。また、シリーズ初の「シーズン制」を導入したことで、ユーザーは1年を通してマイチームを進化させられるため、最終的には無課金でトップレベルのピンクダイヤモンドを獲得することも可能だ。また、毎週末に配信される「マイチーム・リミテッド」モードで、ユーザー同志がオンライン上で対戦することもできる。

■高校生からスタートする「マイキャリア」モード

『NBA 2K21』の「マイキャリア」モードは高校時代からストーリーが始まり、ワシントン・ウィザーズの八村塁選手がプレイしたゴンザガ大大学や、フロリダ大学、シラキュース大学といったアメリカの有名大学に進学してNBA入りを目指すのが大きな注目ポイントだ。今作では、これまでの「マイキャリア」モード以上にユーザーのゲームプレイがストーリーの進行に与える影響が大きく、プレイ内容や成長度合いがドラフトやキャリアを大きく左右する。

日本のユーザーに特に人気が高い「マイキャリア」モードの進化について、シニア・プロデューサーのベン・ビショップ氏は「久々に大学のチームが公式ライセンスされたことに期待してもらいたいです。大学リーグはアメリカで非常に人気で、NBAとは違った盛り上がりを見せます。高校、大学でのプレイ経験を経て、NBAのスター選手になるという過程は、きっと皆さんに楽しんでもらえるはずです」と、太鼓判を押した。

■ネイバーフッドは全く新しい「2Kビーチ」へと進化

『NBA 2K21』のネイバーフッドは、2Kの開発スタジオのVisual Conceptsがあるカリフォルニア州の美しいビーチを再現した「2Kビーチ」へと変化を遂げた。ユーザーはビーチ特有の開放的な雰囲気の中で、3-on-3のストリートバスケや、5-on-5のPRO-AM、ショップでの買い物などを楽しむことができる。建造物のデザインなども一新されているため、ユーザーは今までとは違ったネイバーフッドの世界を堪能できるはずだ。

■「マイGM」モードや「マイリーグ」モードは、ユーザーのプレイによって内容が変化

自分だけのフランチャイズを築き上げることができる「マイGM」モードや「マイリーグ」モードは、2Kシリーズのユーザーの間でも非常に人気が高いモードだ。今作ではユーザーのプレイ内容によってフランチャイズの特色が変わる仕様になっているため、今まで以上に独自色が強いフランチャイズ作りが可能になっている。また、『NBA 2K』シリーズのコンセプトである”リアル”を追求するため、たとえ来シーズンのNBAのスケジュールが変わったとしても、『NBA 2K21』のゲーム内のスケジュールにすぐに反映されるようになっている。


発表会の後半に行われた質疑応答では、NBAのシーズン中断や無観客試合、コロナ禍におけるゲーム制作など、アメリカと世界を取り巻く特殊な現状に関係した質問について、エグゼクティブ・プロデューサーのエリック・ベニッシュ氏が以下のように答えた。

――今年1月のヘリコプター墜落事故で亡くなったコービー・ブライアントがカバー・アスリートに採用された『マンバ・フォーエバー・エディション』が日本でも話題になりましたが、ユーザーの反響は今まで以上に大きいでしょうか?

はい、大きな反響があります。できればコービーには違った形で今作に関わってもらいたかったのが本音です。ですが、コービーが人生を通して追い求めた勝利や偉業を讃えるには、これが私たちにとってもファンの皆さんにとっても最善の方法だと考えました。コービーが『NBA 2K21』のカバーアスリートになったことを誇りに思います。

――今年3月にNBAのシーズンが中断したことは、ゲームの制作工程に影響を与えましたか?

通常、『NBA 2K』シリーズは毎年6月以降に制作を開始するため、シーズン中断の影響は特に無く、いつも通りの制作工程で進行できました。むしろ7月末にシーズンが再開したことで、スタッフは非常に意識が高い状況で次回作の制作をスタートしています。

――シーズンのスケジュールがイレギュラーになっていることは、選手のレーティングに影響を与えましたか?

今は特殊な状況ですが、これまで熱心に情報収集とデータ分析を積み重ねてきたおかげで、私たちは選手の評価について独自の見地を持つことができているので、特に問題はありませんでした。

――シーズン再開後のNBAは無観客試合で行なわれていますが、ゲーム内でもその試合環境が反映されているのでしょうか?

開発チーム内で協議した結果、『NBA 2K21』では今まで通り観客を入れた試合会場を再現しました。会場内の雰囲気や空気感を再現することが、ゲームにとってプラスになると判断したからです。


アメリカでは今も黒人の人権や社会正義に関する抗議活動が続いており、『NBA 2K』シリーズの開発拠点があるカリフォルニア州では新型コロナウイルスの感染抑止を目的とした外出自粛要請も発令されたが、ベニッシュ氏は「『NBA 2K』シリーズの制作には挑戦がつきものです」と自信に満ちたコメントを残している。

「特に今作ではコロナ禍ということもあり、スタッフが主に自宅で作業することになった点や、実際に集まって会議することができなかったという点が、私たち開発チームにとっての大きな挑戦になったと思います。ですが、この状況に上手くアジャストして今まで以上に素晴らしいゲームを完成させたことは、私たちにとっての財産になりました」。

通常盤のカバーアスリートにもなったポートランド・トレイルブレイザーズのデイミアン・リラードが『Dame D.O.L.L.A.』としてサウンドトラックに参加したことでも話題の『NBA 2K21』は、9月4日(金)に発売される。『マンバ・フォーエバー・エディション』には通常盤よりも多くの特典が付くほか、次世代機のPS5版またはX BOX SERIES X版の『NBA 2K21』通常盤ゲーム本編も含まれるため、大変お得になっている。

西尾瑞穂 Mizuho Nishio

西尾瑞穂 Mizuho Nishio Photo

illustrator / NBA journalist / translator / manga producer / Utah Jazz season ticket holder / NBA選手のロペス兄弟が手がけるバスケ漫画『トランジションゲーム』のプロデューサーもやってます。