『NBA 2K17』制作の重要拠点「モーキャプ・スタジオ」潜入リポート - 後編(西尾瑞穂)

Mizuho Nishio

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スーツの着用が終わり、スタジオ内のコートに入った選手は、まず最初に、腕を広げたり、各関節を90度曲げたり、首を回したりといった基本的な動作を行ない、その動きをオペレーターがコンピュータで確認して、マーカーが適切な位置に装着されているかどうかをチェックする。

この「キャリブレーション」という作業はとても重要で、ここで関節等の位置がズレていると、ゲームのキャラクターにデータを当てはめたときに不自然な動きになってしまうのだ。

その後、フリースローや基本的なドリブルワークでウォームアップしつつ、徐々に高度なプレイへと移行していくわけだが、実はこの取材に来るまでに私が気になっていたことが1つあった。

それは、「モーション・キャプチャーという実際の試合とは違う現場で、果たして選手たちは本気でプレイするのだろうか?」ということだ。

当然、指先の動き等の細かい修正に関しては、モーション・キャプチャー後に、アニメーターの手によってデータを調整することは可能だが、ドリブルでカットインするときの鋭い動きや、ディフェンダーの脇の下を抜けていくような低い腰の落とし方は、できるだけ選手本人によるリアルな動きからデータを取得すべきなのは明らかだ。

しかし、こうした懸念は全くの杞憂に終わった。ゲームのプロデューサーをはじめ、ゲームプレイ責任者、選手にプレイの指示を与えるトレーナー、撮影ディレクターといったスタッフ全員が、とにかく選手の気分を高めるのが上手いのだ。

この日プレイしたタウンズとラッセルも、序盤は指示されたプレイをこなしていたが、途中からは「いつも試合でやっている得意のプレイを見せよう」とか「こんなプレイをしたら格好良いんじゃないかな」と自ら率先して提案をし始め、ついには「ダンクの後の決めポーズをやらせてくれ」と言って、何度も豪快なダンクを叩き込んでいた。

 

 

常に選手の新しい動きをゲームに取り入れるため、2Kのスタッフは日々NBAの試合をスカウティングし、様々な体型やプレイスタイル、そして特別なボールハンドリング技術や運動能力を持つ選手を探している。その中からモーキャプ・スタジオに招待する選手を決めるのだという。

ここでさらに重要なポイントが「その選手が真面目で練習熱心かどうか」という点なのだという。なぜなら、一旦スタジオに入ると、選手は最長で8時間かけて、数百パターンのモーションをプレイする必要があるからだ。その結果、新作の『NBA 2K17』の制作にあたり、新たに75~80人のNBA選手がこのモーキャプ・スタジオを訪れ、1000パターン以上の新モーションを追加することに成功したのだ。

広大なスタジオと最新設備といった技術面だけではなく、長年培われた2Kスタッフの経験とチームワークにより、シリーズを追うごとにNBA 2Kシリーズのモーションは進化している。

今回のスタジオ取材で、最新作の『NBA 2K17』を試遊することができたのだが、そのモーションのクオリティは前作の『NBA 2K16』と比べても格段にアップしている。皆さんもぜひ『NBA 2K17』をプレイして、NBA選手のリアルな動きを体感してほしい。

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文・写真:西尾瑞穂 Twitter: @jashin_mizuho Instagram: jashinmizuho


『NBA 2K17』公式サイト http://nba2k.jp/


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