NBA 2021-22シーズン中間地点におけるMVP候補たち

大西玲央 Reo Onishi

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全チームが41試合以上をプレイし、NBA 2021-22シーズンは半分を終えた。新型コロナウイルスの影響で多くのチームが、選手たちの入れ替えや戦力維持に振り回されている今季だが、そんななかでどの選手たちがMVP級の活躍を見せているのかチェックしてみよう。

※スタッツはNBA.com/Statsより。日本時間2022年1月20日の日程終了時点。

ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)

チーム成績:28勝19敗(東4位)
スタッツ:平均28.6得点、11.3リバウンド、6.1アシスト

2019年と2020年にシーズンMVPに輝き、昨季はバックスを見事優勝へと導いてファイナルMVPに選出されたアデトクンボは、今季も絶好調だ。シーズン序盤こそつまずいていたバックスだが、その後はアデトクンボが原動力となって持ち直している。

月を追うごとに数字を伸ばしており、1月に入ってからは平均31.8得点、10.8リバウンド、7.2アシストという驚異的なスタッツを残している。昨季のプレイオフで弱点とされていたフリースローでさえ、1月は平均試投12.7本で成功率78.9%だ。

ニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)

チーム成績:23勝20敗(西6位)
スタッツ:平均25.9得点、13.9リバウンド、7.4アシスト

2021年のMVPであるヨキッチは、平均スタッツだけ見ると昨季(平均26.4得点、10.8リバウンド、8.3アシスト)よりも少し劣るように見えるが、突出しているのは彼がコートに立っている時と立っていない時のチームスタッツだ。

ヨキッチが出場している時間帯のナゲッツのオフェンシブレーティング(100ポゼッション平均での得点。高い方が得点力がある)は114.7、ディフェンシブレーティング(100ポゼッション平均での失点。低い方が守備力がある)は104.7、ネットレーティング(オフェンシブレーティングとディフェンシブレーティングの差分)は10.0であるのに対して、ベンチに下がっている時間帯はオフェンシブレーティングが100.9、ディフェンシブレーティングが113.2、ネットレーティングがマイナス12.3と大幅に落ちるのだ。

参考値として、今季のネットレーティングでリーグトップなのはゴールデンステイト・ウォリアーズの8.1、リーグ最下位なのがデトロイト・ピストンズのマイナス9.6だ。ナゲッツは、ヨキッチが出ていればウォリアーズ級で、出ていなければピストンズ級という極端な状況となっている。

ジャマール・マレーにマイケル・ポーターJr.という主力を欠きながらも、昨季レベルのスタッツを残していることに彼の凄さがある。MVPはリーグ上位のチームから選出されることが多いが、「チームにとって最も重要な選手」という基準で選ぶとなれば、ヨキッチは間違いなくそれに値する。

ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・76ers)

チーム成績:26勝18敗(東5位)
スタッツ:平均28.0得点、10.6リバウンド、4.2アシスト

今、リーグで最も乗っている選手こそエンビードかもしれない。年末のワシントン・ウィザーズ戦から8試合連続で30得点以上を記録。記録が途絶えたボストン・セルティックス戦でも25得点、13リバウンド、6アシストの活躍を見せ、その後2試合連続で32得点を獲得。そして先日のマジック戦ではなんとわずか27分の出場で50得点、12リバウンドという数字を叩き出した。

ベン・シモンズの不在がチームにどう影響するのか注目されていた76ersだが、イースタン・カンファレンス首位のシカゴ・ブルズとはわずか2.5ゲーム差という好位置につけている。エンビードはそのチームの柱となっている。

ケビン・デュラント(ブルックリン・ネッツ)

チーム成績:28勝16敗(東3位)
スタッツ:平均29.3得点、7.4リバウンド、5.8アシスト

左ひざの捻挫で数週間離脱が必要となったことで、実際にシーズンが終わってMVPを獲得できるかは雲行きが怪しくなってきたが、前半だけの活躍に限れば、間違いなくMVP候補に上がるのがデュラントだ。

ネッツは最近でこそジェームズ・ハーデンが復調し、アウェイ戦だけは出場することとなったカイリー・アービングが戻ってきたものの、それまではデュラントひとりの力で勝利をもぎ取るケースが多かった。

その他

  • ステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)
  • デマー・デローザン(シカゴ・ブルズ)
  • ジャ・モラント(メンフィス・グリズリーズ)
  • クリス・ポール(フェニックス・サンズ)
  • ルディー・ゴベア(ユタ・ジャズ)

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大西玲央 Reo Onishi

大西玲央 Reo Onishi Photo

アメリカ・ニュージャージー州生まれ。国際基督教大学卒。NBA Japan / The Sporting Newsのシニアエディター。記事のライティング以外にもNBA解説、翻訳、通訳なども行なっている。訳書には『コービー・ブライアント 失う勇気』『レイ・アレン自伝』『デリック・ローズ自伝』「ケビン・ガーネット自伝』『ヤニス 無一文からNBAの頂点へ』。