NBAオフシーズン展望:ロケッツは現状維持が最善か?【前編】

Sean Deveney

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課題その1:ロースターの見直しは本当に必要か?

MVP候補ジェームズ・ハーデンが牽引するヒューストン・ロケッツは、大型トレードで獲得したクリス・ポールら4名をローテーションに加え、リーグ最多となる65勝を上げた。また、ウェスタン・カンファレンス・ファイナルでは、最終的にNBAチャンピオンとなったゴールデンステート・ウォリアーズと第7戦にまでもつれ込む接戦を演じてみせた。忘れてはいけないのが、ポールをケガで欠いた第6戦と第7戦でも、第3クォーターまでリードを奪っていたということだ。

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そこから見えてくる結論は、このロースターは今のところ全面的な見直しが必要だとは思えないということだ。NBAファイナルへの出場は果たせなかったが、ロケッツは事実上、今年のラリー・オブライエン・トロフィーを手にしたウォリアーズに肩を並べるほどの戦力を持ったチームだ。

しかし今ヒューストン周辺では、ロケッツが今夏、何か大それたことをしてくれるのではないかと噂されている。レブロン・ジェームズがクリーブランドからヒューストンへの旅支度をしたがっているという可能性はどうだろう。というのも、ロケッツはすでに優勝候補としての体制が整っており、メンバーにはジェームズの親しい友人であるクリス・ポールや、オリンピックでチームメイトだったハーデン、オリンピックでアシスタントコーチを務めたマイク・ダントーニなどがいるからだ。もしも彼の目標が“勝つこと”なのであれば、移籍先のファーストチョイスはロケッツであるに違いない。

しかしそれを実現させるのは、容易ではない。たとえジェームズ本人が東部テキサスでキャリアを終えたいと言ったとしても、だ。ましてや彼が実際にそのような望みを持っているということを示すものは何一つない。

ロケッツは、ポールを獲得したときと同様、ジェームズにクリーブランド・キャバリアーズと最終年の契約を結ばせ、その後トレードで獲得するという手を打つこともできるだろう。しかし、ロケッツは昨年、ポール獲得のために若手選手の席を空にし、今年のドラフト指名権も失った。また、しばらくの間はドラフト1巡目での指名順は遅い順番となるため、キャバリアーズのような再建中のチームと交渉するための武器を持っていないのだ。

そもそも、エリック・ゴードンとライアン・アンダーソンに加え、未来のドラフトの28~30位指名権をセットで渡されたところで、キャバリアーズがジェームズを引き渡すだろうか? あるいは、PJ・タッカー、ゴードン、ネネ、そしてほとんど起用されないベンチ選手を合わせたらどうだ? もちろん答えはノーだ。

ロケッツはゴードンとアンダーソンを、キャップスペースに余裕を持つ3、4位チームに放出しようと目論むかもしれないが、それらのチームには、この交渉に合意して、ロケッツを新たな“スーパーチーム”へと成長させるメリットがない。

今夏ロケッツが獲得に乗り出している、オクラホマシティ・サンダーのフォワード、ポール・ジョージについても同じだ。万一、ロケッツがいくつかの契約を打ち切ってトレードを可能にしても、チームには最小限のベテラン選手のみが残され、ロースターに空席を作ることになるだろう。

そうまでしてジェームズを獲得するというメリットは、確かにある。しかし今シーズンのロケッツを見る限り、彼らが再度ウォリアーズに挑戦するためには、それほど劇的な変更は必要ないだろう。彼らはすでにそのレベルに立っている。ウェスタン・カンファレンス・ファイナル後半戦であと少し力が及べば、今頃はロケッツがNBA王者になっていたとしてもおかしくないのだ。

課題その2:クリス・ポール

昨夏、ポールはロケッツとのトレードを容易にするため、LAクリッパーズとの最終年の契約を結ぶことに同意し、1億5千万ドルの契約を勝ち取る機会をふいにした。これは今夏にロケッツとの大型新契約を結べるであろうことを予想しての決断だったが、果たしてその額はいくらになるのだろうか?

ポールはマックス契約を望んでいる。これはごく自然なことだ。しかしその場合、5年間で2億ドル以上という高額の契約となるため、ケガから復帰した直後の33歳の選手に支払うには、幾分高すぎるようにも思える。37歳の時点で、4700万ドル近く稼ぐことになるのだ。とはいえ、選手会の会長であるポールの価値を安く見積もると、将来のFA市場で不利に働く可能性がある。

ポールには選択肢がほとんどない。他のオファーを望んだところで、サラリーキャップに空きがあり彼を獲得する資金が残っているチームがないのだ。4年間で1億5千万ドル程度の契約なら交わせるかもしれないが、現段階で彼にそれだけの額を支払う準備ができているチームがどこにあるだろうか?

それでも、ロケッツがポールに大金を支払うことは避けられないだろう。飲み込むにはつらい条件だが、キャップヒット(たとえばケガなどから選手を守る報奨条項)を減らす方法を見つけることが理想になる。しかし、ポールはホームタウン・ディスカウントを受け入れる姿勢は一切見せていない。

後編へ続く)

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Sean Deveney

Sean Deveney is the national NBA writer for Sporting News and author of four books, including Facing Michael Jordan. He has been with Sporting News since his internship in 1997.